2016年11月29日

教授法は教師の数だけ存在する。


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中村捷『名著に学ぶ これからの英語教育と教授法』(開拓社、2016年、p.268)より備忘のため書き留めておきます。


教授法には一つの魔法の杖のようなものがあるのではない。教授法は教師の数だけ存在する。教師は、経験の少ない初期には、様々な文献から情報を得て、それを実践し、改良しながら進んでいくことになるが、一定の経験を積んだ後では、自分自身の教授法を持つべきである。その教授法は固定的ではなく柔軟であるべきであって、各自が、その後の研究研鑽によって改善修正しながら、独自の個性的な教授法へと発展させていくべきである。そしてその教授法を絶えず点検改善することによって、さらに進化させるように努めなければならない。これが教師としての責務であると考える。


posted by 石崎 陽一 at 19:40 | Comment(0) | 教師論・学習指導・進路指導 | 更新情報をチェックする

文法規則を動的に使用できるように習熟させる


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中村捷『名著に学ぶ これからの英語教育と教授法』(開拓社、2016年、p.268)より備忘のため書き留めておきます。


文法は語学教育の根幹である。文法なくしては、言語学習は不可能である。しかしながら、これまでの文法教育には不必要な情報を教え込むような明らかな問題点もあって(中略)不定詞の用法の区別など英語の運用にまったく無関係な事項に重点を置く面があったことは否めない。一方、(中略)受動文の使用文脈などの問題は、実際の英語の運用において重要な役割を果たす情報である。文法指導では、このような情報を中心にして、生徒に文法規則を動的に使用できるように習熟させる具体的教授法が求められる。


posted by 石崎 陽一 at 19:37 | Comment(0) | 文法の学習・指導 | 更新情報をチェックする

文法訳読法は語学教育には不可欠である。


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中村捷『名著に学ぶ これからの英語教育と教授法』(開拓社、2016年、p.268)より備忘のため書き留めておきます。


文法訳読法は語学教育には不可欠である。従来の問題点は、英語教育においてこれ以外の訓練を十分にしなかったところにあるのであって、文法訳読法に語学教育上の欠陥があるのでは決してない。これまで様々なアプローチとかメソッドと呼ばれる方法が試されているが、それが実績をあげたということは聞いたことがない。語学の学習は単一の方法ですべてを律することができるほど単純な活動ではなく、語学学習は多面的であって、学習活動の内容にしたがって、それに適した方法が存在すると考えなければならない。


posted by 石崎 陽一 at 19:32 | Comment(0) | 教師論・学習指導・進路指導 | 更新情報をチェックする

2016年11月27日

common noun における common の意味について


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中山 仁『ことばの基礎1 名詞と代名詞』(研究社、2016年、p.9)は OED 第2版に基づき


common noun の common は「普通の」ではなく、むしろ「種に共通の」の意味で使われている


と指摘し、

common noun とは「固有名詞でない名詞」であり、


「固有名詞でない」とは、一般に「同類のものが複数ある」ということなので、言いかえれば(中略)「同類とされるものの個々の成員(メンバー)に、共通に付けられた名前」を表す


と説明しています。


posted by 石崎 陽一 at 14:15 | Comment(0) | 文法・語法ノート | 更新情報をチェックする

なぜ「甘い(a my)はいけない」か? − 決定詞[限定詞](determiner)という用語を導入するわけ


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中山 仁『ことばの基礎1 名詞と代名詞』(研究社、2016年)は


決定詞[限定詞](determiner)とは、具体的には a(n), the, my, some, this, each, both など、名詞の前に付いて名詞句を構成する要素の1つである。「決定」とは「名詞の指示の関係を決定すること」を意味する。例えば定冠詞 the は「特定のものを指すこと」、不定冠詞 a(n) は「特定のものを指していないこと」を表す。名詞・代名詞の所有格もしばしば特定のものを指す決定詞として用いられる。8品詞で言えば、a(n), theは冠詞、some, this, each, both などは形容詞、my, your などは代名詞ということになるが、決定詞とは指示という機能の観点からこれらの品詞をひとまとめにしたものである。(p.149)


と説明し、「甘い(a my)はいけない」理由を


統語上、決定詞の位置に入る要素は1つのみ(1つの名詞に付くことのできる決定詞は1つ)なので、所有格とそれ以外の決定詞を並べて用いることはできない。(p.151)


と説いて明快です。


(追記)

「甘い(a my)はいけない」という指導言は私が高校生のときに教わった武内昭二先生より授かったものです。

なお、決定詞という用語をはじめて私が耳にしたのは、高校卒業後まもないくらいの頃だったと記憶しています。


posted by 石崎 陽一 at 14:03 | Comment(0) | 文法・語法ノート | 更新情報をチェックする

単独で場所を表す所有格について


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中山 仁『ことばの基礎1 名詞と代名詞』(研究社、2016年、pp.187-9)は

She's staying at her mother's.

の下線部のように単独で場所を表す所有格について、

上例のような

個人宅

のほか、

St Paul's (Cathedral) のような公共の建物(場所)



McDonald's のようなデパート・店・診療所など

を含め、主に3つのタイプがあると整理しています。


posted by 石崎 陽一 at 13:57 | Comment(0) | 文法・語法ノート | 更新情報をチェックする

a friend of Tom's と a friend of Tom の比較


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中山 仁『ことばの基礎1 名詞と代名詞』(研究社、2016年、pp.174-86)は


a friend of Tom's と a friend of Tom では意味が異なるという意見もあるが、それは一部に限られる


とし、実際のところ、後者にすべきところで前者を用いるのは普通のことだと指摘しています。


なお、上例のように


主要部が「人」ではなく、hat, book などのように「もの」の場合は別である


として、

「Dickie の帽子」の意では

(×)a hat of Dickie
(○)a hat of Dickie's


であり、

「Alfred Beasley の本」の意では

(×)a book of Alfred Beasley
(○)a book of Alfred Beasley's


であるという点を用例を挙げて示しており、きめ細やかです。



posted by 石崎 陽一 at 13:51 | Comment(0) | 文法・語法ノート | 更新情報をチェックする

-s's にするか -s' にするか − 固有名詞で綴りが s で終わる場合 


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中山 仁『ことばの基礎1 名詞と代名詞』(研究社、2016年、pp.156-7)は


固有名詞で綴りが s で終わる場合、-s' と -s's の両方が可能で、どちらを多く使用するかは固有名詞によって傾向が異なる


とし、COCA と BNC で調査した結果


Chris's, Dickens's, James's のように、-s's の使用が特に目立つ例もあれば、Burns'(s), Jones'(s) のように、使用頻度にさほど大きな違いがない例もあり、傾向が一定しているわけではないことがわかった


と報告したうえで、


実際に使用する際は、一貫性が保たれていればどちらの形でも特に差し
支えないと思われるが、St James's Park(セント・ジェームズ公園(ロンドンの王立公園))のような固有名称については本来の形を用いることが望ましい



と、実践的な助言を学習者に与えており有益です。


(追記1)

『上掲書』(p.157)には、固有名詞の -s's の「アポストロフィ+s」の発音や Jesus, Moses の所有格と発音について注記があります。

(追記2)

宇賀治正朋『英語史』(開拓社、2000年、p.272)は

● 属格接尾辞の表示としてアポストロフィ(apostrophe)(')を使用する慣習は、シェイクスピア以後に始まった

● アポストロフィを用いた単数属格表示 -'s はおよそ1680年に、複数属格表示 -s' はおよそ1780年過ぎに始まった

と述べています。


posted by 石崎 陽一 at 13:38 | Comment(0) | 文法・語法ノート | 更新情報をチェックする

2016年11月22日

What does it matter? という文における what について


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生徒から、

What does it matter? という文における what について

問われました。


小さなことも「とりあえず覚えてしまおう」で済ませず、

また、What does it matter? などと一蹴せず、

根本的なところから見直していく姿勢は重要です。

疑問をもつことが何かのきっかけになる場合が多くあるからです。


以下に細江逸記『英文法汎論』(新改訂版;篠崎書林、1971年、p.113)の説明を引いておきます。


need, profit, care などとともに用いられる what は、古英語の疑問代名詞 hwæt(= what)の対格 hwæt の直系で in what way, by what, why などの意になる。(ついでに言えば、今日の why はこの hwæt の具格(Instrumental Case)hwy の変形である)。


如上の「need, profit, care など」の「など」には、avail, matter, signify も入ります。


以下に私が収集した用例を記しておきます。


What does it matter?

What does it profit him?

What do you care about it?

What does it avail to do so?

What does it need to be done?



現代英語ではこれらの what は副詞で why の意であると考えればよいでしょう。


(追記1)

COCA では How does it matter? では0件ですが、Why does it matter? では97件ヒットしました。

ちなみに、What does it matter? は285件でした。


(追記2)

河合茂『英文法概論 復刻版』(明倫出版、1988年、p.209)は

Interrogative Adverb としての what

という項目を立て、

主として care, avail, matter, signify, need, etc. の Verb と共に使用せられるもの

とし

what の Adverbial Accusative から來たもので、how? how much? to what extent? の意を有してゐる

と述べています。

なお、

the + Comparative の前に用ひることもある

として

What(= to what extent)is he the better for it?

の例も挙げています。


(追記3)

『特製版 英文法シリーズ 第一集』(研究社、1959年)は

all over the world, all at once, all the better for; this far; that famous

などのような、all, this, that といった不定代名詞の副詞用法と同じく、

この what も副詞用法で、歴史的には副詞的対格(Adverbial Accusative)であると指摘しています。(p.80)

その一方で、

記述的立場から見れば、人称代名詞以外には特に対格を示す語尾変化がないし、また発生的に見ても格変化喪失後に副詞的に用いられるようになった例も多いから「副詞的対格」というのはあまり適当な名称ではない

とも述べています。(p.124)

なお、不定代名詞の副詞用法には、ほかに、anything, little, much, everything, nothing, something などが挙げられます。

much the same の much のような使い方もきっとそうですね。


(追記4)

慶應大学の堀田隆一先生のブログ記事でも扱われており、有益です。

疑問詞 what の副詞的用法

what with A and what with B

「5W1H」ならぬ「6H」

The sooner the better


posted by 石崎 陽一 at 02:14 | Comment(0) | 文法・語法ノート | 更新情報をチェックする

2016年11月20日

happy と glad の使い分けについて


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英語表現の授業で happy と glad の使い分けについて話題になりました。

レファレンス類を調べてもはっきりとはわからず仕舞い。

マーク・ピーターセン先生にお尋ねしたところ、次のようなコメントをいただきました。


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posted by 石崎 陽一 at 18:57 | Comment(0) | 文法・語法ノート | 更新情報をチェックする
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