2017年03月26日

いまは廃用となった say の不定詞付き対格(accusative with infinitive)の用法


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安藤貞雄『現代英文法講義』(開拓社、2005年、p.358)は


John is said to be a millionaire.


という英文は


* People say John to be a millionaire.


という「現在ではすたれている」構文に対応する受動文であると指摘し

Christopher Marlowe(1564-1593)が手がけたローマ詩人 Ovid の Amores の翻訳より


This thou wilt say to be a worthy ground.
(これこそは立派な分野だ、あなたは言うだろう)



という例を挙げ、

これはラテン語法(Latinism)でいまは廃用であるとする OED 第二版のコメントを付しています。


posted by 石崎 陽一 at 10:41 | Comment(0) | 文法・語法ノート | 更新情報をチェックする

2017年03月25日

事実ではなく「想念」を表す動詞のモード:仮定法現在


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まず最初に、「仮定法」という用語について確認しておきましょう。


仮定法は subjunctive mood を訳したものですが、少し前の文法書では subjunctive mode という用語も用いられていました。

この mode(やり方、方法)という語は日本語でもモードというカタカナ書きで使われるようになりました。

例えば、この記事を書いているパソコンには文字の入力モードがいくつかあります。

ひらがな入力モードや半角英数入力モードなどです。

またエアコンなどには消費電力を節約するための、プリンターにはインクを節約するためのエコノミーモードがついています。

入試を控えた中高生は受験モードに入っています。

こんな具合に、です。

いずれも普通とは違う「使い方」ですけれども、仮定法もこれと同じと考えてください。

すなわち、事実を事実として述べる普通の表現方法(直説法)とは異なり、

仮定法とは「頭の中のこと」「想念」を述べるのに用いるモード(動詞の形)ということなのですね。



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I insist that she leave at once.


Talmy Givón, English Grammar: A Function-Based Introduction, Volume U(John Benjyamins, 1993, p.275)より拝借した上の例文、

she という主語に対して leave という動詞の原形がきていても誤りではありません。

これはこの文全体の動詞が insist(求める)であり、この動詞に続く中身の部分(that 以下の内容)は要求した時点ではまだ現実になっておりません。

すなわち、要求内容というのは「事実」ではなく、「想念」である。

そのことを文法上で示すために用いられているのが leave という動詞の原形であり、このような動詞の原形の使い方を仮定法現在と呼んでいます。

このように、英語では、モード切替によって、すなわち、動詞の形を通して、気持ちの機微を伝えることができるというわけですね。


英語を聞くとき、読むとき、仮定法がわかれば、話し手の気持ちが実感をもって理解できます。

英語を話すとき、書くとき、仮定法が使えれば、自分の気持ちを正確に伝えることができます。

学んだことを、ぜひ実践でも利用してみてください。


それでは、また。


(追記)

たとえば18世紀のいくつかの英文法書において、すでに mood ではなくて mode が使われていました(関連記事)し、20世紀半ばでも Bergen Evans and Cornelia Evans, A Dictionary of Contemporary American Usage(Random House, 1957, pp.483-6)が subjunctive mode という項目を立てて英語における「法」を解説しています。


posted by 石崎 陽一 at 16:11 | Comment(0) | 文法・語法ノート | 更新情報をチェックする

2017年03月20日

hundreds of … の指すものの数


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『研究社 英語の数量表現辞典 増補改訂版』(研究社、2007年、p.23)より備忘のため書き留めておきます。


英語では 1600 を sixteen hundred と表現することがあるので hundreds of … の指すものの数が 1000 を超えることもある。thousands of … は数万程度まで、millions of … も数千万程度まで含みうる。また、桁にとらわれず漠然と「莫大な数の」の意味でこれらの表現を使うこともある。


(追記)

『上掲書』には tens of, hundreds of, thousands of, tens of thousands of, hundreds of thousands of, millions of, tens of millions of, hundreds of millions of, billions of など漠然とした大きな数が一覧になっており便利です。


posted by 石崎 陽一 at 16:04 | Comment(0) | 文法・語法ノート | 更新情報をチェックする

関係副詞の非制限用法で、why や how を用いたいとき


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安井稔『英文法総覧』(初版;開拓社、1982年、p.135)が


関係副詞の非制限用法は、when と where に限られるが、why や how を用いたいときには、for which reason, in which などをもって代用させる


と指摘していてハッとしました。


posted by 石崎 陽一 at 15:57 | Comment(0) | 文法・語法ノート | 更新情報をチェックする

2017年03月18日

電子化された『古事類苑』


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(クリックすると拡大します)



国際日本文化研究センターによれば、『古事類苑』とは

明治政府の一大プロジェクトとして明治12年(1879)に編纂がはじまり、明治29年(1896)から大正3年(1914)にかけて出版された、本文1,000巻、和装本で350冊、洋装本で51冊、総ページ数は67,000ページ以上、見出し数は40,354項目におよぶ大百科事典

であり、

ここには、前近代の文化概念について、明治以前のあらゆる文献からの引用が掲載されており、日本文化を理解するうえでたいへん有用な事典

です。


近年では電子化が進み、同センターが

古事類苑全文データベース

古事類苑ページ検索システム

を公開しています。


なお、冒頭の写真は国文学研究資料館の公開している

古事類苑データベース

です。


(追記)

渡部昇一・谷沢永一『読書連弾』(大修館書店、1979年)から『古事類苑』に関する渡部先生の御発言を書き留めておきます。

知識の宝庫として百科事典というのは物を書く人にとっても、単に知らないことを調べるんじゃなくてスプリングボードになるんじゃないかなと考えたことがありました。(pp.95-6)

古い百科事典というとみなバカにするし、百科事典的知識というのは今は恥ですね。ところが、案外知られていないけれどもいい百科事典というのは大変便利です。(中略)百科事典というのは素朴進化論的に新しければいいものだという迷信が一般になっているんですね。(p.96)

私も大学在学中も、それ以後も『古事類苑』を教えてくれる人には一人も逢わなかった。結局知るようになったものの、誰もほめる人がなかった。今価値が認められて再版も出てますが。やっぱり昔流の国学者の集め方というのは素朴なものですが、それだけに使い道はあるんでしょう。(p.98)


posted by 石崎 陽一 at 16:38 | Comment(0) | 愛用の(学習用)サイト | 更新情報をチェックする

視覚は精神活動に直結する?


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話の内容が理解できないとき、日本語では「話が見えない」と言いますね。

英語には I see. という言い方があります。

いずれも「見る」即ち「わかる」ということであり、視覚が精神活動に直結している例と言えそうです。

興味深いと思いました。


posted by 石崎 陽一 at 16:05 | Comment(0) | 興味をもったこと | 更新情報をチェックする

2017年03月16日

pasta と paste



発音がまるで違うために同じ語源だと気づかない単語のセットがたまにあります。


たとえば、pasta と paste もそのようなペアです。



pasta.jpg
(retrieved from: https://goo.gl/fgtW3T



pasta(パスタ)はイタリア料理に使う麺類の総称です。


スパゲッティ・ペンネ・マカロニ・ラビオリ・ラザニアなど種類が豊富ですけれども、

小麦粉の練り物という共通点があります。



paste.jpg
(retrieved from: https://goo.gl/8HcjNm



一方、paste(ペースト)は粉状のものを練り上げたり、肉や内臓、野菜などを煮てすりつぶし、のり状に練ったりして作った食品を指す語です。


paste と pasta はどちらもギリシャ語で大麦のポリッジ(barley porridge)を意味する pastá に由来しますが、

いずれも「結果」に着目した語であると言うことができるでしょう。


(なお、ポリッジ(porridge)とは、大麦やオートミールを水やミルクで煮て作るお粥です。)



Barley-porridge.jpg
(retrieved from: https://goo.gl/FgqIBT


(追記1)

レバーなどに香辛料を加えてペースト状にしたパテ(pâté)や、焼き菓子の総称として用いるペーストリー(pastry)も同語源です。


(追記2)

本記事の執筆にあたり、以下の文献を参照しました。

『明鏡国語辞典 第二版』(大修館書店、2010年)
『旺文社 詳解国語辞典』(旺文社、1985年)
『英語語源辞典(縮刷版)』(研究社、1999年)


posted by 石崎 陽一 at 21:36 | Comment(0) | 語源の話 | 更新情報をチェックする

2017年03月15日

many / most of the students の違い


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many と most の違いについて、友繁義典『英語の意味を極めるT − 名詞・形容詞・副詞編 −』(開拓社、2016年、pp.43-4)は次の例を挙げて説明しています。


(a)Many of the students passed the exam.

(b)Most of the students passed the exam.


たとえば、ある先生が難しい試験を100人の学生に課したとします。

この先生は30人程度が合格すればよいところであると考えていたとします。

しかし、その予想に反して45人が合格したとすれば(a)のように言えます。

一方、95人が試験に合格した事実をそのまま伝えるには(b)のように言います。


このように、

most は全体の中で占める比率が過半数(大部分)だと客観的に述べる場合に用いる

のに対し、

どれだけの比率なら many と言い得るかについては、話し手の主観的な見方も交えて文脈によって異なる

と説いて明快です。


(追記)

関連記事はこちら。

a few について(その1)


posted by 石崎 陽一 at 17:05 | Comment(0) | 文法・語法ノート | 更新情報をチェックする

2017年03月14日

書評が掲載されました。


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『英語教育』(2017年4月号)の見本誌が手元に届きました。

本号では堀田隆一先生による英語史の入門書

『英語の「なぜ?」に答える はじめての英語史』(研究社、2016年)

の書評記事を執筆しています。



「英語史」と言うと初心者は難解なイメージを抱くかもしれませんが、

本書はビギナーにも非常にわかりやすく説明がなされています。

余計なことは言わず、言えば必ず的に当たるという慨があります。

また、ポイントを明らかにするためにいろいろの図をはさんで解説の助けとしています。



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堀田先生は定期的な更新と高い品質、濃い情報密度が驚異的なブログを長きにわたり運営されていますけれども、

学究者が博引傍証するような趣きは少しもこの書に見られません。


同書は簡潔と親切で入門書の範例となる明快の極致です。

読みさえすればどこででも大きな収穫が期待できます。


すべての英語教師(の卵)をはじめ、英語にかかわる方すべてに自信をもって勧められる好著です。


posted by 石崎 陽一 at 18:05 | Comment(0) | 近況報告・雑感 | 更新情報をチェックする

2017年03月06日

「私は彼らを怒らせるようなことは一切言わないように気をつけた」という日本語の英訳


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私は彼らを怒らせるようなことは一切言わないように気をつけた。

という日本語を以下のように英訳するとします。


さて、以下の(a)〜(f)の英訳、それぞれの適否はどうでしょうか?

(a)I was careful to say nothing that made them angry.

(b)I watched my tongue so as not to say a single word that would make them angry.

(c)I was careful not to say anything to make them angry.

(d)I was careful not to say what would made them angry.

(e)I paid attention so as not to say anything that would make them angry.

(f)I was careful about not saying any words that would make them angry.


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posted by 石崎 陽一 at 20:01 | Comment(0) | 文法・語法ノート | 更新情報をチェックする
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