2017年02月12日

「〜的な」の品詞と語と句の区別


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島村礼子『語と句の名付け機能 −日本語の「形容詞+名詞」形を中心に−』(開拓社、2014年、p.149)によれば、


日本語で形容動詞を一つの品詞として認めれば、「〜的(な)」は(中略)形容動詞に属するということになる。(中略)形容動詞に関しては諸説があり、独立した品詞と認める考え方のほかに、形容動詞を形容詞の一種とみなす考え方、もう一つは、形容動詞は名詞に属するという考え方がある。


とのことで、


形容動詞を独立した品詞として認める立場に立った上で、この品詞は形容詞と名詞(動詞でなく)の両方の特徴を併せもつ品詞であるという理由で、この品詞を、形容動詞ではなく「形容名詞」(adjectival noun)と呼んでいる


学者もいると紹介しています。


(追記)

関連記事はこちら。

「形容詞飢饉」


posted by 石崎 陽一 at 09:03 | Comment(0) | 文法・語法ノート | 更新情報をチェックする

形容詞の前置と後置


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This is a book more difficult than that.



This is a thing crucial to me.



This is a more difficult book than that.



This is a crucial thing tome.

と言えるのに、

He is a boy kind to anyone.



?He is a kind boy to anyone.

と言えない理由について、奥田隆一『英語語法学を目指して』(関西大学出版部、2013年、pp.113-4)において考究がなされており、有益です。


posted by 石崎 陽一 at 08:53 | Comment(0) | 文法・語法ノート | 更新情報をチェックする

「完了時制」? 「完了相」? 「完了形」?


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安藤貞雄『英語学の視点』(開拓社、1996年)より備忘のため書き留めておきます。


完了形は、動詞の語彙的・アスペクト的意味の上に、時制と完了のアスペクトという二つの文法形式が重なっている。名称は、ゆえに「完了時制」でも「完了相」でも不適当で、「完了形」が最もふさわしい。(p.53)

完了形の中核的な意味は、過去に始まり、発話時に至る期間中に事件があったという話し手の認識を示す、としてよい。これを一口で言えば、「現在との関連」(current relevance)、あるいは「拡大された今」(extended now)と特徴づけてもよい。(pp.53-4)

現在完了形は、典型的には、発話時において過去の事件を “回顧する” 文法形式である、と言ってもよい。(p.54)


(追記)

なお、単に過去の事件について述べ、その現在の結果については何も言及しないのであれば過去形を用います。

外界の事件はまったく同じだとしても、基準時(または話し手の視点)の取り方の違いで過去形か現在完了形かを使い分けるのですね。


posted by 石崎 陽一 at 08:44 | Comment(0) | 文法・語法ノート | 更新情報をチェックする

be used to と get used to


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宮原文夫 訳編『英会話表現活用辞典』(秀文インターナショナル、1987年、p.132)は

形容詞 used は accustomed(慣れている)と同じ意味であり、物事がどんなものであるかを知っていることを暗示する。used と共に用いる前置詞は to である。

と記し、

日向清人『国際標準の英語検定で問われる英文法力〈初級レベル〉』(秀和システム、2017年、p.228)は

〈be used to [何々]〉は「(最初から)そういうことには慣れている、なんでもない」というニュアンスです。(中略)これに対して、〈get used to [何々]〉は、変化のプロセスにウェイトを置いた言い方です。

と記し、たとえば

最初のうちは寒さに慣れなかったけど、だんだんと慣れてきたというニュアンス

が伝わると伝えています。

説明のワードチョイスが絶妙です。

英作文の授業準備に重宝する場面も多そうだなと感じました。


(追記)

関連記事はこちら。

be used to doing


posted by 石崎 陽一 at 08:20 | Comment(0) | 文法・語法ノート | 更新情報をチェックする

母語がすべての基本


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井上ひさし『井上ひさしの読書眼鏡』(中央公論新社、2011年、pp.118-9)より備忘のため書き留めておきます。


オーストラリアの首都キャンベラの、ある公立中学校を見学したときのことですが、ちょうど数学の小試験の最中で、黒板には、「ピタゴラスの定理を文章で説明しなさい」と大書してありました。

先生に、数学というよりは英語の試験ですねとたずねると、答えはこうでした。

「母語としての英語がすべての基本ですからね、数学もじつは英語として教えているのですよ」

(中略)

のちにわかったのですが、この姿勢はたくさんの国に共通していました。母語を軽く扱っているのは、わたしたちの国くらいのものでしょう。



posted by 石崎 陽一 at 07:36 | Comment(0) | 読解の学習・指導 | 更新情報をチェックする

膨大な蔵書は知識と知恵の泉/教育は真剣勝負


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渡部昇一・江藤裕之・平岡弘章『グローバル・エリート教育』(PHP研究所、2016年)所収、特別鼎談〈教育・留学の意味を考える〉より渡部昇一先生の御発言を書き留めておきます。


少なくとも文系の学者は自分専用の図書館を持つべきだというのが私の持論です。もともと図書館はみんなのためにあるものですから、膨大な数の書物が必要ですが、自分専用ということなら、その何千分の一の蔵書で事足ります。(p.148)


生徒が質問に来たときには、振り向きざまに刀で斬るように答えるのです。三千時間の予習は、この一瞬のためにあるのです。それだけで生徒はついてきます。(p.120)


大きく振りかぶって左下へ振り抜く、かつての授業での先生のお姿が、目に浮かぶようです。


posted by 石崎 陽一 at 07:28 | Comment(0) | 文法の学習・指導 | 更新情報をチェックする

2017年02月11日

いわゆる represented speech(描出話法)について


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いわゆる represented speech(描出話法)について備忘のため書き留めておきます。


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posted by 石崎 陽一 at 22:18 | Comment(0) | 文法・語法ノート | 更新情報をチェックする

暗示的知識と明示的知識の関係


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Rod Ellis, The Study of Second Language Acquisition(Oxford, 2008, pp.420-1, 423-4, 749, 881)に基づいて、implicit knowledge(暗示的知識)と explicit knowledge(明示的知識)の関係についてまとめておきます。

non-interface position(非インターフェイスの立場)


'learnt' knowledge is completely separate and cannot be converted into 'acquired' knowledge

つまり、learning〈学習)≠ acquisition(獲得)とする立場です。

Stephen Krashen は learning と acquisition とを峻別し、implicit knowledge と explicit knowledge の関わりを否定します。

言語使用に必要なのは acquired knowledge(獲得された知識)であって、learnt knowledge(学習された知識)は発話をチェックする見張りの機能しか果たさないと主張します。

Monitor Theory と呼ばれる考え方です。

strong interface position(強いインターフェイスの立場)


explicit knowledge converts into implicit knowledge through practice

つまり、明示的知識が一定の練習を経てやがて暗示的知識に変化していくとする立場です。

意識的に学習された知識が練習の結果として自動化(automatization)されるようになる。

すなわち、言語学習を一種のスキル習得ととらえる考え方です。

weak interface position(弱いインターフェイスの立場)


it [= explicit knowledge] contributed indirectly to the development of implicit knowledge by helping learners to notice linguistic forms in the input and to carry out a comparison between what they have noticed and their own current interlanguage

つまり、

a role for explicit knowledge



a facilitator of implicit knowledge

とする立場で、Rod Ellis が立案しました。

Jack C. Richards & Richard Schmidt, Longman dictionary of language teaching and applied linguistics(Pearson, 2010, p.292)は次のように記しています。

(なお、訳文は高橋貞雄・山崎真稔・小田眞幸・松本博文 訳『ロングマン言語教育・応用言語学辞典』(南雲堂、2013年、p.220)によります。)


explicit knowledge may be successfully incorporated into the implicit knowledge system if it becomes available at just the right time in the development of the implicit system, or explicit knowledge about the regularities of a language may help learners to notice these regularities when processing input, which leads to the development of implicit knowledge.

明示的知識は、暗示的な体系が発達するさいのちょうど良い時期に利用することができれば、うまく暗示的な知識の体系に組み込まれていく。あるいは、ある言語についての規則性についての明示的知識は、学習者がインプットを処理するさいにその規則性に気づく手助けになり、それが暗示的知識の発達につながっていく



(追記1)

interface(インターフェイス、共有領域)について、Jack C. Richards & Richard Schmidt, Longman dictionary of language teaching and applied linguistics(Pearson, 2010, p.292)は次のように記しています。

(なお、訳文は高橋貞雄・山崎真稔・小田眞幸・松本博文 訳『ロングマン言語教育・応用言語学辞典』(南雲堂、2013年、p.220)によります。)

the relationship between implicit and explicit learning and knowledge

暗示的学習および知識と明示的学習および知識の関係



(追記2)

Rod Ellis のスライド資料はこちら。

Implicit and Explicit Language Teaching


posted by 石崎 陽一 at 22:17 | Comment(0) | 文法の学習・指導 | 更新情報をチェックする

暗示的知識と明示的知識の定義


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implicit knowledge(tacit knowledge, intuitive knowledge)は「暗示的知識(暗黙の知識、直観的知識)」と訳されます。

explicit knowledge(明示的知識)に対する用語です。

その定義を、Jack C. Richards & Richard Schmidt, Longman dictionary of language teaching and applied linguistics(Pearson, 2010, p.274)より備忘のため書き留めておきます。

なお、訳文は高橋貞雄・山崎真稔・小田眞幸・松本博文 訳『ロングマン言語教育・応用言語学辞典』(南雲堂、2013年、p.220)によります。


knowledge that people can be shown (by their behaviour, their judgements about grammaticality, and so forth) to possess intuitively, but which they are unable to articulate. Implicit knowledge is constracted with explicit knowledge, which is verbalizable.

For example, native speakers of English intuitively know the regularities of article use (when to use the definite, indefinite, or zero article), but they are usually unable to say what any of those principles are. Foreign language learners of Englis, on the other hand, may have quite a lot of explicit knowledge about the rules for using English articles, while their unmonitored production may reveal that this explicit knowledge has not been internalized.


人が(その行動や文法性についての判断などによって)直観的に所有していると示すことができるが、それを口に出して説明することのできない知識。暗示的知識は、言葉で言うことのできる明示的知識(explicit knowledge)と対比される。たとえば、英語の母語話者は冠詞の使い方の規則性(定冠詞、不定冠詞、無冠詞をいつ使うか)について直観的に知っているが、その原理が何であるかについて通常は言うことができない。一方、英語の外国語の学習者は、英語冠詞の使用法の規則について明示的な知識を持っていても、指導を受けない状態での発話には、明示的な知識が内在化されていない(定着していない)場合が見られる。



(追記)

以上のほか、いわゆる第二言語習得研究の成果を網羅したハンドブックである The Study of Second Language Acquisition(Oxford, 2008, p.418)において、Rod Ellis は、

implicit knowledge について、

intuitive, procedual, systematically variable, automatic, available for use in fluent, unplanned language use

なものとし、

explicit knowledge について、

conscious, declarative, anomalous, inconsistent (ie. it takes the form of 'fuzzy' rules inconsistently applied), generally only accessible through controlled processing in planned language use

なものとしています。


posted by 石崎 陽一 at 22:07 | Comment(0) | 文法の学習・指導 | 更新情報をチェックする

英語教育における英語史の効用




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英語教育における英語史の効用について、Norbert Schmitt & Richard Marsden, Why Is English Like That?:Historical answers to hard ELT questions(The University of Michigan Press, 2006, p.D)より備忘のため書き留めておきます。


Perhaps you have found yourself confronted by awkward questions from your students such as:

● Why is night spelled with gh?
(中略)
● Why does English have so many synonyms like intelligent, clever, astute, and bright?

You may have found yourself at a loss for satisfactory responses, and you may have had to provide vague answers, such as "That's just the way it is." Luckily, there are historical answers to these questions.(中略)

We believe students long for good explanations for these quirks and exceptions [= the quirks and exceptions in English that can be explained on a historical basis] and appreciate it if you can give them concrete reasons for their existence. Pedagogically, the explanations are not guaranteed to help your students learn English any faster, but at a minimum, we feel that they can help alleviate their frustration with some of the seemingly unreasonable aspects of the language, and, as a result, maintain their motivation and interest. At best, the explanations may help your students to a more informed understanding of the English system and may actually facilitate their learning.



(追記)

渡部昇一・江藤裕之・平岡弘章『グローバル・エリート教育』(PHP研究所、2016年、pp.115-20)所収、特別鼎談〈教育・留学の意味を考える〉より、平岡弘章先生(清風中学校・高等学校副校長)の御発言を引きます。


アメリカで英語をネイティブに習っていたときのことです。

常々疑問に思っていたことがあり、ネイティブに尋ねてみました。

(中略)

すると、彼は半ばあきれたようにこう答えました。

「君は大きな間違いをしているようだ。今なら間に合うよ。幸い君はアメリカに来たばかりだし、そんなバカな考えは早く忘れてしまいなさい」。さらにこう続けました。「どうして空は青いんだい?」両腕をしかたなさそうに広げながら、「同じことだよ。説明なんてできない」。そう言って話は終わりました。

アメリカ滞在中にほかのネイティブにもいくどか同じ質問をしてみましたが、答えはほとんど同じでした。

冗談じゃない。日本で自分の専門分野で飯を食っている者が、その説明として「空は青いから青い」と片づけてしまえば、たちまちその職を失うことになるだろう。私の抱く疑問はそんなにおかしなものだろうか……。

(中略)

私にしてみれば、英語をより理解するためには、丸暗記でなく、少しでもネイティブに近い感覚で言葉の持つニュアンスをつかむことが必要だと考えていたからです。

(中略)

今の日本の社会で英語を習得するには、その英語を教える側の人間がよく理解し、その理解を深く噛み砕いて与えること。(中略)

教える側が英語をよく勉強していることこそが、日本の英語教育の要となります。(中略)あますところなく分析し、勉強し、自信を持って教えるべきです。(中略)

生徒が疑問に思ったこと、興味を持ったことに真摯に向きあい、それに応え、理解と興味を持たせるのが、教師の大きな役割だと思うのです。



posted by 石崎 陽一 at 20:33 | Comment(0) | 英語史的な説明 | 更新情報をチェックする
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