2017年02月12日

膨大な蔵書は知識と知恵の泉/教育は真剣勝負


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渡部昇一・江藤裕之・平岡弘章『グローバル・エリート教育』(PHP研究所、2016年)所収、特別鼎談〈教育・留学の意味を考える〉より渡部昇一先生の御発言を書き留めておきます。


少なくとも文系の学者は自分専用の図書館を持つべきだというのが私の持論です。もともと図書館はみんなのためにあるものですから、膨大な数の書物が必要ですが、自分専用ということなら、その何千分の一の蔵書で事足ります。(p.148)


生徒が質問に来たときには、振り向きざまに刀で斬るように答えるのです。三千時間の予習は、この一瞬のためにあるのです。それだけで生徒はついてきます。(p.120)


大きく振りかぶって左下へ振り抜く、かつての授業での先生のお姿が、目に浮かぶようです。


posted by 石崎 陽一 at 07:28 | Comment(0) | 文法の学習・指導 | 更新情報をチェックする

2017年02月11日

いわゆる represented speech(描出話法)について


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いわゆる represented speech(描出話法)について備忘のため書き留めておきます。


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posted by 石崎 陽一 at 22:18 | Comment(0) | 文法・語法ノート | 更新情報をチェックする

暗示的知識と明示的知識の関係


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Rod Ellis, The Study of Second Language Acquisition(Oxford, 2008, pp.420-1, 423-4, 749, 881)に基づいて、implicit knowledge(暗示的知識)と explicit knowledge(明示的知識)の関係についてまとめておきます。

non-interface position(非インターフェイスの立場)


'learnt' knowledge is completely separate and cannot be converted into 'acquired' knowledge

つまり、learning〈学習)≠ acquisition(獲得)とする立場です。

Stephen Krashen は learning と acquisition とを峻別し、implicit knowledge と explicit knowledge の関わりを否定します。

言語使用に必要なのは acquired knowledge(獲得された知識)であって、learnt knowledge(学習された知識)は発話をチェックする見張りの機能しか果たさないと主張します。

Monitor Theory と呼ばれる考え方です。

strong interface position(強いインターフェイスの立場)


explicit knowledge converts into implicit knowledge through practice

つまり、明示的知識が一定の練習を経てやがて暗示的知識に変化していくとする立場です。

意識的に学習された知識が練習の結果として自動化(automatization)されるようになる。

すなわち、言語学習を一種のスキル習得ととらえる考え方です。

weak interface position(弱いインターフェイスの立場)


it [= explicit knowledge] contributed indirectly to the development of implicit knowledge by helping learners to notice linguistic forms in the input and to carry out a comparison between what they have noticed and their own current interlanguage

つまり、

a role for explicit knowledge



a facilitator of implicit knowledge

とする立場で、Rod Ellis が立案しました。

Jack C. Richards & Richard Schmidt, Longman dictionary of language teaching and applied linguistics(Pearson, 2010, p.292)は次のように記しています。

(なお、訳文は高橋貞雄・山崎真稔・小田眞幸・松本博文 訳『ロングマン言語教育・応用言語学辞典』(南雲堂、2013年、p.220)によります。)


explicit knowledge may be successfully incorporated into the implicit knowledge system if it becomes available at just the right time in the development of the implicit system, or explicit knowledge about the regularities of a language may help learners to notice these regularities when processing input, which leads to the development of implicit knowledge.

明示的知識は、暗示的な体系が発達するさいのちょうど良い時期に利用することができれば、うまく暗示的な知識の体系に組み込まれていく。あるいは、ある言語についての規則性についての明示的知識は、学習者がインプットを処理するさいにその規則性に気づく手助けになり、それが暗示的知識の発達につながっていく



(追記1)

interface(インターフェイス、共有領域)について、Jack C. Richards & Richard Schmidt, Longman dictionary of language teaching and applied linguistics(Pearson, 2010, p.292)は次のように記しています。

(なお、訳文は高橋貞雄・山崎真稔・小田眞幸・松本博文 訳『ロングマン言語教育・応用言語学辞典』(南雲堂、2013年、p.220)によります。)

the relationship between implicit and explicit learning and knowledge

暗示的学習および知識と明示的学習および知識の関係



(追記2)

Rod Ellis のスライド資料はこちら。

Implicit and Explicit Language Teaching


posted by 石崎 陽一 at 22:17 | Comment(0) | 文法の学習・指導 | 更新情報をチェックする

暗示的知識と明示的知識の定義


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implicit knowledge(tacit knowledge, intuitive knowledge)は「暗示的知識(暗黙の知識、直観的知識)」と訳されます。

explicit knowledge(明示的知識)に対する用語です。

その定義を、Jack C. Richards & Richard Schmidt, Longman dictionary of language teaching and applied linguistics(Pearson, 2010, p.274)より備忘のため書き留めておきます。

なお、訳文は高橋貞雄・山崎真稔・小田眞幸・松本博文 訳『ロングマン言語教育・応用言語学辞典』(南雲堂、2013年、p.220)によります。


knowledge that people can be shown (by their behaviour, their judgements about grammaticality, and so forth) to possess intuitively, but which they are unable to articulate. Implicit knowledge is constracted with explicit knowledge, which is verbalizable.

For example, native speakers of English intuitively know the regularities of article use (when to use the definite, indefinite, or zero article), but they are usually unable to say what any of those principles are. Foreign language learners of Englis, on the other hand, may have quite a lot of explicit knowledge about the rules for using English articles, while their unmonitored production may reveal that this explicit knowledge has not been internalized.


人が(その行動や文法性についての判断などによって)直観的に所有していると示すことができるが、それを口に出して説明することのできない知識。暗示的知識は、言葉で言うことのできる明示的知識(explicit knowledge)と対比される。たとえば、英語の母語話者は冠詞の使い方の規則性(定冠詞、不定冠詞、無冠詞をいつ使うか)について直観的に知っているが、その原理が何であるかについて通常は言うことができない。一方、英語の外国語の学習者は、英語冠詞の使用法の規則について明示的な知識を持っていても、指導を受けない状態での発話には、明示的な知識が内在化されていない(定着していない)場合が見られる。



(追記)

以上のほか、いわゆる第二言語習得研究の成果を網羅したハンドブックである The Study of Second Language Acquisition(Oxford, 2008, p.418)において、Rod Ellis は、

implicit knowledge について、

intuitive, procedual, systematically variable, automatic, available for use in fluent, unplanned language use

なものとし、

explicit knowledge について、

conscious, declarative, anomalous, inconsistent (ie. it takes the form of 'fuzzy' rules inconsistently applied), generally only accessible through controlled processing in planned language use

なものとしています。


posted by 石崎 陽一 at 22:07 | Comment(0) | 文法の学習・指導 | 更新情報をチェックする

英語教育における英語史の効用




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英語教育における英語史の効用について、Norbert Schmitt & Richard Marsden, Why Is English Like That?:Historical answers to hard ELT questions(The University of Michigan Press, 2006, p.D)より備忘のため書き留めておきます。


Perhaps you have found yourself confronted by awkward questions from your students such as:

● Why is night spelled with gh?
(中略)
● Why does English have so many synonyms like intelligent, clever, astute, and bright?

You may have found yourself at a loss for satisfactory responses, and you may have had to provide vague answers, such as "That's just the way it is." Luckily, there are historical answers to these questions.(中略)

We believe students long for good explanations for these quirks and exceptions [= the quirks and exceptions in English that can be explained on a historical basis] and appreciate it if you can give them concrete reasons for their existence. Pedagogically, the explanations are not guaranteed to help your students learn English any faster, but at a minimum, we feel that they can help alleviate their frustration with some of the seemingly unreasonable aspects of the language, and, as a result, maintain their motivation and interest. At best, the explanations may help your students to a more informed understanding of the English system and may actually facilitate their learning.



(追記)

渡部昇一・江藤裕之・平岡弘章『グローバル・エリート教育』(PHP研究所、2016年、pp.115-20)所収、特別鼎談〈教育・留学の意味を考える〉より、平岡弘章先生(清風中学校・高等学校副校長)の御発言を引きます。


アメリカで英語をネイティブに習っていたときのことです。

常々疑問に思っていたことがあり、ネイティブに尋ねてみました。

(中略)

すると、彼は半ばあきれたようにこう答えました。

「君は大きな間違いをしているようだ。今なら間に合うよ。幸い君はアメリカに来たばかりだし、そんなバカな考えは早く忘れてしまいなさい」。さらにこう続けました。「どうして空は青いんだい?」両腕をしかたなさそうに広げながら、「同じことだよ。説明なんてできない」。そう言って話は終わりました。

アメリカ滞在中にほかのネイティブにもいくどか同じ質問をしてみましたが、答えはほとんど同じでした。

冗談じゃない。日本で自分の専門分野で飯を食っている者が、その説明として「空は青いから青い」と片づけてしまえば、たちまちその職を失うことになるだろう。私の抱く疑問はそんなにおかしなものだろうか……。

(中略)

私にしてみれば、英語をより理解するためには、丸暗記でなく、少しでもネイティブに近い感覚で言葉の持つニュアンスをつかむことが必要だと考えていたからです。

(中略)

今の日本の社会で英語を習得するには、その英語を教える側の人間がよく理解し、その理解を深く噛み砕いて与えること。(中略)

教える側が英語をよく勉強していることこそが、日本の英語教育の要となります。(中略)あますところなく分析し、勉強し、自信を持って教えるべきです。(中略)

生徒が疑問に思ったこと、興味を持ったことに真摯に向きあい、それに応え、理解と興味を持たせるのが、教師の大きな役割だと思うのです。



posted by 石崎 陽一 at 20:33 | Comment(0) | 英語史的な説明 | 更新情報をチェックする

2017年02月10日

「自発使役」の意味を表す make


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make には「ある事柄が原因となって、別の事柄が自発的に(自然に)生じる」という意味を表す使い方があります。

このようないわゆる「自発使役」の用法について、久野ワ・高見健一『謎解きの英文法 使役』(くろしお出版、2014年、pp.3, 9-11)は次のような諺をはじめ、典型例をいくつか提示しています。


Absence makes the heart grow fonder.(離れていると愛情がかえって増すものだ)

Love makes the world go round.(愛は世界を動かす、この世を動かしているのは愛である)

You just sit down here and have a nice cup of coffee. It'll make you feel better.(まあここに座って美味しいコーヒーでも飲みなさい。気分がよくなりますよ)



なお、ここで言う「自発」は文法用語で


そうしようとは思わないのに、自然にそうなる/自然に起こる」という意味(p.189)


だと注記しています。


posted by 石崎 陽一 at 20:33 | Comment(0) | 文法・語法ノート | 更新情報をチェックする

1つのセンテンスの長さ


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豊田昌倫・堀正広・今林 編著『英語のスタイル − 教えるための文体論入門』所収、富岡龍明「英作文とスタイル」(p.213)より備忘のため書き留めておきます。


ある調査・研究によると、英文の1つのセンテンスの長さは歴史的にだんだん短くなってきているとのことです。1つのセンテンスの長さは、16 世紀のエリザベス朝の頃は約 45 words, 19 世紀のビクトリア朝の頃は約 29 words, 現代では 17 〜 20 words 程度であり、明らかに短文化・簡潔化が進んでいる状況です。時代が進むにつれて、装飾的な回りくどい表現を避けて、簡略で無駄をそぎ落とした文章構成が尊ばれるようになってきていると言えます。


posted by 石崎 陽一 at 19:54 | Comment(0) | 作文の学習・指導 | 更新情報をチェックする

「ことばに対する畏敬の念」をもつ大切さ


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鳥飼久美子『話すための英語力』(講談社現代新書、2017年、pp.220-1)より備忘のため書き留めておきます。


英語に、sense of wonder という言葉があります。自然などの対象に触れることで受ける、ある種の不思議な感動を表現する概念です。環境汚染に警鐘を鳴らした『沈黙の春』の著者レイチェル・カーソン(Rachel Carson)の遺作 The Sense of Wonder で知られるようになった言葉で、すべての子供が生まれながらに持っている「センス・オブ・ワンダー」(神秘さや不思議さに目を見はる感性)を、いつまでも失わないで欲しいという、カーソンの願いがこめられています。

邦訳のタイトルがどうなっているか調べたら『センス・オブ・ワンダー』と単純にカタカナになっていたので、日本語に訳しようがなかったのかもしれませんが、私はあえて「畏敬の念」という日本語を使いたいと思います。そして、レイチェル・カーソンが自然について語った sense of wonder を、言語について使い、「ことばに対する畏敬の念」の大切さを語りたい。言語についての神秘さや不思議さに感動する感性があって初めて、外国語学習が実りあるものになると信じているからです。



posted by 石崎 陽一 at 19:41 | Comment(0) | 教師論・学習指導・進路指導 | 更新情報をチェックする

「−させる」が表す四つの用法


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高見健一『受身と使役 − その意味規則を探る』(開拓社、2011年)より備忘のため書き留めておきます。(下線は原文のママ。)


その社会的、人間的関係から、お互いにさまざまな事柄を指示したり、依頼したりできる一定の社会習慣的な制御力(コントロールできる力)(pp.201-2)


被使役主が人間の have 使役文は、使役主と被使役主の関係が、教師と学生、受付係とベルボーイ、ファッション・フォトグラファーとモデル、医者と患者、上司と秘書、親と子供、コーチと選手、ホストとお客、監督と俳優、夫と妻、友達同士、秘書と教授のように、使役主が被使役主に対して一定の社会習慣的な制御力を持ち、被使役主に指示・依頼さえすれば、被使役主が当該の事象を「抵抗」なく行う場合に用いられる(p.203)


(追記)

『上掲書』(pp.182-3)では、日本語の「−させる」を、強制の場合は make, 説得の場合は get, 指示の場合は have, 許容・放任の場合は let と、四つに区別し一覧表にまとめています。

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なお、上の表で示された用法は

使役主が被使役主に強制したり、説得したり、指示したり、許容したりして被使役事象が生じることから分かるように、被使役主が人間に当てはまる用法

であると述べています。


posted by 石崎 陽一 at 00:00 | Comment(0) | 文法・語法ノート | 更新情報をチェックする

2017年02月08日

教科書コレクション画像データベースの公開画像の拡張


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広島大学図書館にて教科書コレクション画像データベースの公開画像の拡張がなされています。


広島大学図書館教科書コレクション画像データベース

広島大学図書館教科書コレクション画像データベース解題一覧


posted by 石崎 陽一 at 19:11 | Comment(0) | 愛用の(学習用)サイト | 更新情報をチェックする
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