2010年12月08日

発音記号の筆順


PB284196.JPG


発音の指導言について連載していたら、先日、


発音記号を板書する際に自信がないのだが
発音記号の筆順はあるのか、もしあるとしたらどういうものか


というご質問をいただきました。


そこで少し調べて見ましたところ、クエスチョン・ボックスシリーズ第T巻・発音篇(大修館書店、1960年、117〜118ページ)に次のような趣旨の記述がありました。


発音記号は必ずしも一定の筆順でなければならないというものではなく、極端な言い方をすればでき上がりが活字体の文字と似通っていればよいということになります。


筆順については、特に気にしなくてよいようです。ただ、


しかし、手の運び方の習性などによっておのずからこのような筆順をとるのが適当だと考えられるものはあります。


として使用頻度の比較的高いものに限ってですが紹介がありました。


(追記1)

同ページには著名な音声学者による発音記号の筆記体なるものが見本として載っていて興味深かったです。でもいつ使うのかな?

(追記2)

英語の文字(ローマ文字)の筆順については手島 良先生の記事が参考になります。



posted by 石崎 陽一 at 21:52 | Comment(0) | 発音・アクセント・文字(の指導) | 更新情報をチェックする

2010年12月04日

発音の指導言(参考文献)


PB284184.JPG


数回にわたって発音の指導言を連載してきました。

参考文献を折に触れて収集し、手元に置いて参照しながら
生徒の実態に合わせアレンジを加えたものです。

その中でも特に生徒の発音が善変した指導言を記しました。

ここで、参考にさせていただいた書籍を敬意を込めてご紹介します。


PC034211.JPG

川越いつえ『英語の音声を科学する』
(大修館書店、2007年)

牧野武彦『日本人のための英語音声学レッスン』
(大修館書店、2005年)

PC034210.JPG

竹林滋・渡邊末耶子・清水あつ子・齋藤弘子『初級英語音声学』
(大修館書店、1991年)

小泉保『音声学入門』
(大学書林、1996年)

PC034209.JPG

東後勝明監修『英語発音指導マニュアル』
(北星堂、2009年)

島岡丘『教室の英語音声学』
(研究社出版、1986年)

PC034204.JPG

ヤマダミツタケ『絶対ネイティブ発音! DVDブック』
(ダイヤモンド社、2005年)

スティーブ・ムライ『英語発音コツのコツ』
(国際語学社、2006年)

PC034203.JPG

明川哲也・クレイグ・ステファン『オバケの英語』
(宝島社、2004年)

靜哲人『カタカナでやさしくできるリスニング』
(研究社出版、1997年)

PC034208.JPG

英語音声学研究会『大人の英語発音講座』
(生活人新書、2003年)


PB214140.JPG


最後になりましたが決して最小ではなく、
学部時代に音声学を教わった菅原勉先生の学恩にも
感謝しなければなりません。

先生の授業は振り返ると

「むずかしいことをやさしく」教える

究極だったと思います。

今でもノートを大切にとっていて折に触れて見返します。

ノートを見返していますと、新聞配達、チラシの折り込み作業、
集金業務、新規顧客開拓のかたわら眠い目をこすってその日
受けた先生の講義をノートにまとめていた当時を思い出します。


PC034213.JPG
(クリックすると拡大します)


今後もバージョンアップを重ねていきたいと思います。ご意見、ご感想等お寄せいただけたら幸いです。

それでは、また。


(追記)

アルファベットの音作りについて、中津燎子『呼吸と音とくちびると』(午夢館、1975年、pp.39-72)に詳述があります。


posted by 石崎 陽一 at 01:00 | Comment(0) | 発音・アクセント・文字(の指導) | 更新情報をチェックする

発音の指導言(母音編)

発音記号 (2).jpg
英語の〈o〉という綴りに多い読み方ですが
日本語の「オ」で代用することなく、
「ア」より大きく口を開けて発音する
つもりでやるとうまくいきます。

口を縦に大きく開けてうがいをするイメージ、
もしくは口を大きく開けてのどの奥からあくびをしたイメージです。

自分では開けているつもりでも十分でない場合も多いので
「指が縦に3本入るくらい大きく」を意識します。


PA033923.JPG
発音記号 (1).jpg
この母音は話し手によっては日本語の「エ」に近く聞こえます。

両唇を後に引き、
日本語で「エ、エ、エ、エ、エ、エ…」と言いながら
あごを徐々に下げていくと出せます。


PA033929s.jpg
発音記号 (4).jpg
日本語の「ア」ほど口を開けないで、
短く「ア」と言うつもりで発音するとうまくいきます。
「あ、しまった!」「あ、忘れた!」のときの「あ」に近いです。

それくらい口の開き具合は小さく、
薄い板状のチューインガムを上下の前歯に軽く挟む程度でOKです。


PA033956s.jpg
発音記号 (5).jpg
まず、「ア」に近い音だという考え方は改めましょう。
発音の丁寧さ、速さ、前後の音、対応する綴り字などの条件によって
音色にかなりの変動があります。

つまり、この音には固定した一定の音色があるわけではないのですね。
弱く短くあいまいなことが特徴ですので俗に「あいまい母音」と呼ばれます。
専門用語ではschwa(シュワー)と言います。


PB284193.JPG
発音記号 (19).jpg
「ジェイ」という読み方から意外に思うかもしれませんが
これは[i]の下にひげを伸ばして作った記号で、
半母音というカテゴリーに入ります。
(ちなみに[u]を基に作られた[w]も半母音の仲間です。)

「ヤッター」と言うときの「ヤ」の前に入る小さい「ィ」です。
「ギ」と「イ」の中間の感じを目指すと良いです。


posted by 石崎 陽一 at 00:00 | Comment(0) | 発音・アクセント・文字(の指導) | 更新情報をチェックする

2010年12月03日

発音の指導言(子音編その3)

発音記号 (18).jpg
舌先が歯茎(しけい)に触れますが
接触が強く、長くなります。

舌の裏筋を相手に見せるイメージで
舌先を歯茎にしっかりつけて声を出しましょう。


40.JPG


ちなみに、大学の音声学の授業では板ガムを渡され

「味がなくなるまで噛んでください」

と指示されました。

何の意図があるのかな、と思って皆でクチャクチャモグモグしていると

「それでは上の歯の裏側、少し上の辺に
 そのガムを舌で押しつけ貼りつけてください」

そして続けて

「で、そのガムを舌で口の外に押し出すようにしたその口の構えで
 声を出します。肺からの空気が舌にぶつかり、舌の両側から息が
 左右2方向に別れて口の外に抜けるイメージです」

との指示。

やってみると、「できた!」

「これはウエハースを使っても構いません」

音声学の菅原勉先生には大変お世話になりました。


posted by 石崎 陽一 at 01:15 | Comment(0) | 発音・アクセント・文字(の指導) | 更新情報をチェックする

2010年12月02日

発音の指導言(子音編その2)

発音記号 (12).jpg発音記号 (13).jpg
舌先を上の前歯にあてず、下の前歯の裏側に置いて、
「スー」という音を出す練習をしてください。

このとき声も出せば[z]の音になります。


PA033887.JPG
発音記号 (8).jpg
「静かに!」という意味で、口の前に人差し指で「シッ!」と言ってみてください。

ちなみにこの記号は‘s’という文字を縦長にして
作っていますので long‘s’と呼ばれています。

このとき声も出せば次の音になります。
発音記号 (9).jpg
ちなみにこの記号は[z]の下にひげを伸ばして作られていますので
long‘z’と呼んでいます。

PA033923.JPG
発音記号 (10).jpg
少し唇を突き出して息だけで「チ」と言いましょう。
何か不愉快なことがあり舌打ちをするつもりで。

このとき声も出せば次の音になります。
発音記号 (11).jpg
唇を突き出して「ッヂ」と言う感じで。

瞬間音であることを意識しましょう。
長く伸ばすことができないのが特徴なのですね。

先の
発音記号 (9).jpg
が息の続く限り伸ばすことができるのと対照的です。

また、吐き出す息の量が少ないと
発音記号 (9).jpg
に、吐き出す息の量が多いと
発音記号 (11).jpg
になる、という言い方もできます。


posted by 石崎 陽一 at 23:53 | Comment(0) | 発音・アクセント・文字(の指導) | 更新情報をチェックする

2010年12月01日

発音の指導言(子音編その1)


84.JPG


合唱祭前に担任するクラスの合唱練習を見に行ったときのこと。

ひとしきり歌った後、音楽の先生が講評をされる。


「この部分はことばを手の中からこぼさないように、大事に大事に
 ことばを運んでいって。はい、じゃあこの前後を練習します」


こうした指導言の直後から見違えるようによくなるから驚きでした。
(私のような素人にもはっきりわかるくらいの変化です。)


      コ  ト  バ  ノ  チ  カ  ラ


それからというもの、翻って英語の発音指導の際の指導言
というものを意識するようにしています。


46.JPG


私が高校生の頃受けた助言で、

「エの口をしてアと言う」

というのがありました。

しかし実際にエの口でアと言ってみてもやっぱりアにしかならず、
途方に暮れた記憶があります。

今でも鮮明に思い出せるほどですから、
よほど印象に残ったのでしょう。

そういえば

「舌を上の歯と下の歯で噛んで発音します」とか

「歯で下唇を噛みます」とか、

そんなアドバイスももらったなぁ^^;

噛んでしまうと隙間がなくなってしまい、調音できませんよね。

この手の意味不明の指導言を耳にされた方も多い
のではないでしょうか?

ここでは、回を分け、生徒の発音が善変した指導言
をご紹介したいと思います。


40.JPG


以下、特に口の構えを中心に記します。
発音記号 (17).jpg発音記号 (16).jpg

上の前歯を下唇に軽くあて、その狭い隙間から声を出し続けます。
固い風船を一生懸命膨らませるような気持ちで。

下唇のあたりに震えを感じられますか。
下唇がかゆくなれば成功です。

このとき息だけを出せば[f]の音になります。

PA033944s.jpg
発音記号 (6).jpg発音記号 (7).jpg

舌先を歯の裏にあてるか、
もしくは上下の歯の間からわずかに出すかし、
その隙間から息を出します。

このとき声も出せば[ð]の音になります。


PA033926s.jpg


上に挙げた4つの音はいずれも摩擦音です。

例えば夫婦間の摩擦もそうですが、
摩擦は溝がなければ起こりません。

唇を噛んだのでは溝がなくなってしまいますから、
この音を出すことはできません。

隙間を作ることが肝腎なのですね。


(追記)

夫婦間の溝は埋めた方がいいよな…


posted by 石崎 陽一 at 22:15 | Comment(2) | 発音・アクセント・文字(の指導) | 更新情報をチェックする
ページトップへ戻る