2013年05月18日

<ai> を [ai] と読む場合


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<ai>という綴り字がローマ字読みできる場合って少ないですね。

Dalai などの人名や Shanghai, Hawaii, Maintz, Sinai などの地名のほか、

aisle ぐらいでしょうか。

あ、ギリシャの地母神の名前である Gaia もそうですね。


(追記)

本エントリーの執筆にあたり、成田圭一『英語の綴りと発音 「混沌」へのアプローチ』(三恵社、2009年、p.110)を参照しました。


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2013年05月06日

いわゆる「名前動後」の原則について


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2音節語では、名詞では前の音節に第1強勢があり、動詞では後の音節に第1強勢があることが多いですね。

このいわゆる「名前動後(diatone)」の原則について、長井氏晸 著・荻原恭平 改訂『新訂新版 英語ニューハンドブック』(研究社、1967年、p.83)は


このわけは動詞は、その後へ edinger (人)などがつくことが多いのでそこが音調のアクセントを持つことが多いのである。


と述べており、目を引かれた次第です。


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2013年03月28日

文強勢


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「文中のどの語に強勢をおき、どの語にはおかないか」といった文強勢の問題に関して、

中島文雄監修『英語教育と英語学』(大修館書店、1976年)所収の今井邦彦「音声と文法」(pp.98-102)が簡にして要を得た説明をしており有益です。


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2013年03月12日

生活に合った発音を優先させる


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吉川美夫『ことば 生活 辞書』(篠崎書林、1972年、p.126)より備忘のため書き留めておきます。


それにしても、日本人の英語の発音は、辞書に出ている発音記号に正確すぎてかえって日本式英語に響くのではないかと思う。あちらにいて、よくわかる英語が聞こえてきたら、まず同郷人と思えば、まちがいない。これも日本の伝統的統一英語教育のおかげかと、感謝せざるを得ない。

(中略)

Cockney はともかく、英語の発音を辞書に正確には書けないが、発音の容量は辞書の発音記号で知るものではないことはたしかである。もっと生活に合った発音を優先させると、clothes [klouðz] や months [mʌnθs] など、舌をかまずとも済むはず([klouz][mʌnts])である。



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2012年10月20日

タモリさんのデタラメ外国語



タモリさんの得意とされるデタラメ外国語の数は、英語、ドイツ語、フランス語、ロシア語、中国語北京方言、広東方言、タイ語、ベトナム語、朝鮮語、アフリカの言語らしきものなど、十数の言語にわたります。

その持ちネタの中でも特に出色の出来映えと思われる「7カ国語バスガイド」というネタが大変面白く、私の大好物です。





意味はさっぱりわからないけれどもいかにもその言語っぽく聞こえるから不思議です。

一語一語を個々に聞くと、全く意味をなさないインチキの羅列であるにも関わらず、全体を通して聞きますと、いかにもそれらしく聞こえる。

このネタを聞くたび、アクセントやイントネーションといった、いわゆるプロソディーがいかに言語にとって重要であるか、改めて実感させられます。

よって、強さ、高さ、長さなどのプロソディックな側面をうまくとらえることが、自然な外国語を話すコツの一つと言えるのではないか。

そう考えている次第です。


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2012年09月30日

第二強勢について(補遺)


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これまで二音節語の第二強勢について、以下の記事を書いてきました。(青字をクリックするとジャンプします。)


第二強勢について(その1)

第二強勢について(その2)


結論は出たのですが、先日の古書店巡りの際、竹林滋『英語のフォニックス』(ジャパンタイムズ、1981年)を入手し、以下の記述に出会って、すっきりした次第です。


英語の多音節語では、ひとつひとつの音節の強さが違います。この違いをアクセントが強いとか弱いとか言うわけです。英語のアクセントの違いは学者によって多少意見が違いますが、一般には3つの段階に分けられていまして、いちばん強いのを第一アクセント、その次に強いのを第二アクセントと呼び、いちばん弱いアクセントを弱アクセントと呼びます。(中略)弱アクセントがあると言う代わりに、俗にはアクセントが無い、と言うことがあります。(p.117)


本書はさすが啓蒙書だけあって、冒頭で示した記事の執筆時に援用した論文のエッセンスが簡潔にまとめられています。

そして、強母音(完全母音)に関連して、次のように記されているのです。


もっと厳密に申しますと、常に第一アクセントか第二アクセントを伴って発音される母音です。我が国の英和辞典などではごく少数の例外を除きまして、一般に第一アクセントの直前や直後の母音は、たとえ第二アクセントを受けている強母音であっても、第二アクセントの記号[ ‵ ]を付けないのが普通です。(中略)これはあまり第二アクセントを付けますと煩わしくなるという考え方からです。しかしこれらの母音は(中略)弱母音ではありません。それよりも多少強い強母音なのです。これらの音節は弱アクセントを受けていると理解されておられる方が多いと思いますのでご注意下さい。(p.122)


現代の書物において、ここまで明快な記述がなされている本を私は寡聞にして知りません。

「最新必ずしも最善ならず」の一例ですね。


(追記)

第二強勢に関して、土屋澄男『英語コミュニケーションの基礎を作る音読指導』(研究社、2004年、pp.20-2)に詳述があります。


posted by 石崎 陽一 at 11:32 | Comment(0) | 発音・アクセント・文字(の指導) | 更新情報をチェックする

2012年09月16日

-ment で終わる語の第一アクセント位置


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最近“アクセント ment”などの検索フレーズで訪問される方が増えていますので、今回は -ment で終わる語の第一アクセント位置について記したいと思います。


-ment という語尾は通常、動詞に付いて次のような意味の名詞を造ります。

(1)行為の結果:impróvement(改良), achíevement(成就)など
(2)手   段:adórnment(飾り), escápement(逃げ口)など
(3)動作・過程:móvement(運動), méasurement(測量)など
(4)状態・性質:disappóintment(失望), séntiment(情緒)など


そして、上の例でわかる通り、-ment で終わる語のアクセントは、もとの語のアクセントの位置と同じです。

もっとも、-ment で終わる語の中には

augmént(増す)
cemént(セメントで塗る)
lamént(嘆く)
tormént(苦しめる)


のような二音節の動詞がありますが、これらの語のアクセントは
-ment の上にあります。


(追記)

本記事の執筆にあたり、郡司利男『英語学習逆引辞典』(開文社、1967年、p.386)を参照しました。


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2012年09月02日

第二強勢について(その2)


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以下、ご教示いただいた参考書を基に記します。




筆の進め方として、まずは問題提起から。


“format”という語の第一強勢は〈o〉にかかっているのに、第二音節にある〈a〉の発音は曖昧母音や弱母音とはならず[æ]となります。

これははたして第二強勢がかかっていると言えるのでしょうか?



結論を先に示すと、是と言うことができる、ということになります。


では、どうしてこの結論に至るか、と言えば、第二強勢の解釈に諸説あることによります。

竹林滋『英語の語強勢について:英語における強勢の記述(1)』(東京外国語大学論集Vol.17, 1963年)によると、

Jones 学派の学者は

[Ə, i, u]以外の母音でも弱強勢として発音されることがある

としています。

これに対し、Jones 学派以外の学者(米国の John Samuel Kenyon(1874-1959)や英国の Roger Kingdon(1891-1984)など)は、

第一強勢を受けていなくても、[Ə, i, u]以外の母音は弱強勢より強いから第二強勢を受けている

と考えるべきだとしています。

例えば、

Jones が adverse という語の第一音節に第一強勢の記号のみを付けているのに対し、

Kingdon は第二音節にも第二強勢の記号を付けて表記していることが挙げられています。

さて、ここで、如上の二つの主張を基に考えますと、

format という語の第二音節にある〈a〉の発音は

前者の解釈なら、

弱強勢となった[æ]

であり

後者の解釈なら、

卓立性において第一強勢には及ばないが弱強勢とは言わない第二強勢がかかっている

ということになりますね。

竹林先生ご自身は『上掲書』において


Jones:English Pronouncing Dictionary(1917, 1963)において彼が採用している強勢の記述において最も問題なのは語中の第一強勢の後に来る第二強勢の表記である。(p.54)

筆者はすべての位置において第二強勢を表示することが理論的にも実用的にも適当であると考える。(pp.56-7)


と表明されており、

実際、竹林滋・桜井雅人『<英語の演習 第1巻>音韻・形態』(大修館書店、1985年、p.56)においては「強母音は常に第一アクセントまたは第二アクセントを伴った音節に現れ」るとして、

context, program, window などの語は第二音節に第二強勢の印を付けて例示されています。

(ちなみに、teacher, over などの語は第二音節に弱強勢の印を付け、第二強勢とは区別しておられます。)

つまり、強母音の存在は第二強勢を前提とするという立場をとっておられるわけです。




最後に、まとめとして、これらを総合して考えますと、

二音節語に第二強勢は存在するとして論じられることがある

と言うことができます。

また、

第二強勢は、第一強勢よりは弱く発音されるものの、音の特質としては曖昧音にはならない

と解釈できそうです。


(追記1)

Daniel Jones(1881-1967)について、『英語学人名辞典』(研究社、1995年、p.165)は

イギリスの音声学者。Sweet の後を受け英国派音声学を樹立、多くの後継者を育成し、世界的名声を博した。

と記しています。

(追記2)

竹林滋・桜井雅人『〈英語の演習 第1巻〉音韻・形態』(大修館書店、1985年、p.56)では、二音節語について

一般の英和辞典では第一アクセントの直前または直後の第二アクセントには記号をつけないことが多い。

と記されています。


(追記3)

竹林滋『英語の語強勢について:英語における強勢の記述(1)』(東京外国語大学論集Vol.17, 1963年)より備忘のため書き留めておきます。

従来の音声学においては母音や子音にその記述の重点が置かれ、強勢やイントネーションはそれらに大して従属的な地位にしかおかれていなかった。強勢の表記についても、それは単に、母音と子音の連続から成る単語のどの音節が強く発音されるか、ということを示すだけのいわば補助的記号に過ぎなかったのである。従って
強勢のある位置が自明であれば−単音節語ではもちろん自明である−強勢符号を付ける必要は全く認められなかったわけである。
(p.57)

単音節語が単独に発音される場合には第一強勢をとる、という立場に賛成するものである。(p.59)

単音節語に強勢が「ない」という表現は無強勢の音節というものを肯定するものである。つまり英語の音節は第一強勢、第二強勢、弱強勢のほかに無強勢というものも伴うことがある、という結論になる。これは全く不必要なことであり、また不合理なことである。筆者は英語の語強勢の段階においては、すべての音節(の仲の音節主音を成す母音音素)は発話の際には第一強勢、第二強勢および弱強勢の単位のいずれかを伴う、という設定をするのが最も合理的な記述であると信ずる。(p.60)


(追記4)

岩崎民平『岩崎民平文集』(研究社、1985年、pp.429-30)にも詳述があります。


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2012年09月01日

第二強勢について(その1)


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現代英語において、強勢の置かれない音節(弱音節)では、母音は弱化して曖昧母音か弱母音の[i],[u]となる(か脱落する)のです。

しかし、“format”という語の第一強勢は〈o〉にかかっているのに、第二音節にある〈a〉の発音は曖昧母音や弱母音とはならず[æ]となります。

これは強勢が来たときのこの母音字の読み方です。

したがって、最初私はこの〈a〉に第二強勢が来ていると思い込んでいました。

ところが、辞書を見ると第二強勢の印( ` )が付いていないのです。

参照した『ジーニアス英和辞典 第4版』(p.ix)には「第2強勢には ` をつけた」と書かれているにも関わらず、です。

この辞書に収録されている二音節語には複合語を除いて第二強勢の印はついていませんが、多音節語をみると、例えば fórmalìsm のように、たしかに第二強勢の印がついているものもあります。

そこで、以下の疑問を抱きました。

1.“format”という語の〈a〉という母音字は強勢が来たときの読み方([æ])をするが、はたして第二強勢がかかっていると言えるのか?

それとも、

2.“format”という語の〈a〉という母音字は非強勢だけれども曖昧母音や弱母音にならず、強勢を受けるときの母音字の音価を保持していると言うべきなのか?

だとすれば、

3.どういうときにそのようなことが起こるのか?

以前、如上の疑問を呈したところ、工学院大学の佐藤眞理子先生からご教示をいただきました。

この件につきまして、回を分けて記したいと思います。


(追記1)

私が参照した文献は以下の通りです。

ピーター・ローチ著/島岡丘・三浦弘訳『英語音声学・音韻論』
(大修館書店、1996年)

川越いつえ『英語の音声を科学する』
(大修館書店、2007年)

小泉保『音声学入門』
(大学書林、1996年)

竹林滋・渡邊末耶子・清水あつ子・齋藤弘子『初級英語音声学』
(大修館書店、1991年)

牧野武彦『日本人のための英語音声学レッスン』
(大修館書店、2005年)


(追記2)

竹林滋『英語のつづり字と発音の指導』(研究社、1984年、p.65)は「英語には弱母音を表す特別の母音字がないので、強母音を示す母音字(中略)をそのまま使っている」と指摘しています。


posted by 石崎 陽一 at 18:39 | Comment(0) | 発音・アクセント・文字(の指導) | 更新情報をチェックする

<ei>を[ei]と読む場合


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<ei>という綴り字がローマ字読みできる場合って少ないですね。

geisha のような(英語にとっての)外来語や Beirut, Sein, Taipei などの固有名詞を除けば、

eight, feint, freight, neighbor, rein, surveillance, veil, vein, villein くらいが主要なものです。


(追記1)

<ou>を[ou]とローマ字読みできる場合も少ないですね。

soul, shoulder など、<l>が後続する場合が多いようです。

(追記2)

本エントリーの執筆にあたり、成田圭一『英語の綴りと発音 「混沌」へのアプローチ』(三恵社、2009年、p.114)を参照しました。

(追記3)

河合茂『英文法概論 復刻版』(明倫出版、1988年)の附録(p.24)に記述があります。


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2012年08月08日

l を重ねる、重ねないの問題


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井上義昌『詳解 英文法辞典』(開拓社、1966年、p.434)より備忘のため書き留めておきます。


語尾に l のある動詞は、その前に母音字がある場合、そこに強勢のあるなしにかかわらず l を重ねるのがイギリス式で、強勢があれば重ね、なければ重ねないのがアメリカ式である。


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2012年08月03日

フォニックス的な指導を取り混ぜる


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単語の読み書きの指導において、大きく分けて2通りのやり方があります。

一つは、単語をまるごと読み、アルファベットでスペリングをそのまま書き写して暗記する方法で、whole word recognition、または sight method と呼ばれます。

flowerを[fláuƏ]と読み、f-l-o-w-e-rと覚えるやり方です。

もう一つは、それぞれの単語を構成している音(=文字)を分析的にとらえさせ、音と文字およびスペリングの規則とを理解させた上で、読み書きを修得させる方法で、phonics method と呼ばれます。

flower を fl-ow-er、すなわち<fl>=[fl],<ow>=[au],<er>=[Ə]としてとらえさせ、各々のスペリングと音との関係を理解させた上で[fláuƏ]と読ませるやり方です。

書く際は[fl]+[au]+[Ə]➜ fl+ow+er というように、音を、相当するスペリングに還元させてから行わせます。


私は発音指導に際し、この phonics method を補助的に援用しています。

例えば

ai, ay, ea, ee, ey, ie, oa, oe, ow, ue, ui

などの母音について指導する際、

2つ並んだ母音字のうち前者を長母音として発音し、後者は発音していない

点に注意を向けさせます。

たとえば、rain や coat は i や a を斜線で消して発音されていないことを示すわけです。

このように音と綴り字の関連に少し触れるだけで、理解(記憶)の大きな助けになるように思われます。


(追記)

<ow>=[au]

という知識は brown, cowboy, down, how, now などの語の知識からも引き出して点検させることができますし、allow や crowd の下線部の発音や綴りに習熟させる際に有益です。

なお、<ow>は語末、および d, n の前で用いられ、語頭および語中では out, house などのように、主として<ou>が使われます。


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2012年07月31日

複数を示すのに文字を連ねる表記について


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p. が page を示すのに対し、その複数 pages は pp. になります。

また、l. が line を表すのに対し、その複数 lines は ll. になります。

このように頭文字を重ねるのは、その名詞の複数を示すラテン語の略字の習慣によるものです。


この略字の習慣が見られるものに学位があります。

日本では M.B.A. や Ph.D. がよく知られていますが、ラテン語で「法学士」(bachelor of Laws)を意味する Legum Baccalaureus の略字は LL.B. となりますし、「法学博士」(doctor of laws)を意味する Legum Doctor の略字は LL.D. となります。

というのも、legum とは lex(=law)の属格複数だからです。

(では、Litt.D は? 調べてみてください。)

この方法が英語においても真似られて上記のように表示される習慣ができたとされます。


(追記1)

本エントリーの執筆に際し、『現代英語教育講座 第九巻 英語の諸相U』(研究社、1965年)所収、上野景福「符号・記号・略語の由来」(p.179)を参照しました。

(追記2)

MSS(manuscripts)や exx(examples)なども、同じアルファベットを2つ続けることによって複数形の省略された表現です。


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2012年07月27日

noticeable の e について


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『特製版 英文法シリーズ 第一集』(研究社、1959年、p.69)より備忘のために書き留めておきます。(漢字は新字体に改めてあります。)


母音字で始まる接尾辞の前では語幹の黙字 -e は省くという一般原則(e.g. love>loving, lovable)に対する例外の一つは、-e の省略が c,g の音価に影響する場合である。‘notice+able’を noticable とすれば[k]と読まれるから noticeable とし、‘gauge+able’も gaugable では[g]となるから gaugeable[géidƷƏbl](測定することのできる)とする。


(追記)

間違いやすい綴字としては、他に peaceable, changeable, manageable; outrageous などがあります。

もし -able の前の e を落とすと -cable, -gable となり、これは [-kəbl] [-gəbl] と発音される恐れがあるのですね。


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2012年07月11日

his に見られる有声化現象について


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安井稔『英語教育の中の英語学』(大修館書店、1982年、p.81)より備忘のため書き留めておきます。


his の発音は、OE, ME では[his]で、Mod E では[hiz]であるが、この種の有声化現象は、文強勢を受けない音節に見られる、一般的なもので、PE における of, with などの摩擦音が、通例、有声であるのと同じ原理によるものである。


(追記)

上記における略語および専門用語に関して『大修館英語学事典』(大修館書店、1983年)や『研究社英語学辞典』(研究社、1940年)、『新英文法辞典』(三省堂、1965年)などを参照しつつ簡単なコメントを以下に付しておきます。

OE:古英語。Old Englishの略。文献に伝わる最古の英語は7世紀末のもので、その頃からノルマン征服(the Norman Conquest, 1066年)の後1100年頃までの英語を指します。

ME:中英語。Middle Englishの略。1100年頃から1500年頃までの英語を指します。

PE:Present-day English の略。特に20世紀以降の英語を指す。さらに最近の英語を指す場合にはContemporary Englishをそれぞれ使います。


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2012年01月16日

<g>の発音について


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今日は3年生は自己採点、1・2年生は実力テストでした。

私は実力テストの監督業務と受験生の面談の合間を縫ってセンター試験を計時して解いてみました。

全体的にやや易化したという印象が強かったですね。

詳しくはまた改めて記事にしたいと考えています。


さて、そのセンター試験、英語(筆記)の第1問B・問3について、読者の方から次のようなコメントをいただきました。


この問題、
identity は"i - den - ti - ty"に
geographyは"ge - og - ra - phy"にわけられて、
どちらとも第二音節アクセントだから一致、
と見抜かなければなりませんでした。
「アイ」は二重母音で「エオ」は連母音だ
と見分けられなければいけないわけですが、
高校生には難しすぎると思いませんか?



今回はこの問いに関して回答を試みたいと思います。


結論から言うと、私には高校生に難しすぎるとは思われませんでした。

というのも、「現時点では最も信頼性の高い語彙リスト」とされる「JACET8000」によると、

identityはレベル2(高校初級レベル)、geographyはレベル3(高等学校英語教科書レベル)であり、

必修語として高校ではきちんと発音できるように指導をしているからです。

また、上級学年になると、次のような発音と綴り字の関係についても知識として学習することも指摘しておきます。

すなわち、<g>に関してですが、綴り字から見ますと、次にe, i, yが来るときには[dƷ]と読む、というルールです。

これにはcage(おり), large(大きい), gin(ジン), gym(体育館)など、枚挙に暇がないほどの例があります。

(今回の第1問でも、gender, gene, religionが出題されていました。)

そしてこのルールはget(手に入れる)の他、hanger, finger, longerなど一部の例外を除き、大部分の単語が規則に従っています。

ですから、今回出題されたgeographyにおいても、

語頭の<g>の次にeが来ていることから、<ge>を[dƷi]と読むことはさほど困難ではなかったろうと思われるわけです。

geographyの下線部を二重母音字としての<eo>と誤解し、解答に際して混乱をきたした受験生はむしろ少なかったのではないでしょうか。

私見を述べさせていただきました。


(追記)

本記事の執筆にあたり、次の文献を参照しました。

成田圭市『英語の綴りと発音 「混沌」へのアプローチ』』(三恵社、2009年、p.115)
島岡丘『教室の英語音声学』(研究社、1986年、p.4)
『「大学英語教育学会基本語リスト」に基づくJACET8000英単語』(桐原書店、2005年)


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2011年12月15日

音節の分け方について(簡易版)


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3年生は授業でセンター試験対策をしています。

第1問Bのアクセント問題は辞書の記載のように音節には区切られておらず、戸惑う生徒が多いので、改めて次の話をします。

1.アクセントは原則、母音にしかこない

言われて初めて意識する生徒も少なくないようです。

また、ごく大雑把に言って、

2.音節の数は発音される母音の数に等しい

例えば employee や aggressive といった語を使い

「発音する母音を指摘してみよう」

と問いかけます。

そして発音する母音を下線で示し、

employee

aggressive

それぞれ3音節から成ることをつかませるわけです。

そして、

3.左から右に第1音節、第2音節…と数える

と指摘します。そのとき、英語は左から右に書かれる言語だからね、と言い添えます。

意外とこの3についても、言われて初めて意識に上るというか自信をもつ生徒が多い気がします。

私が学年に入って持ち上がるときは1年次から話をしていきますが、3年4月からの受け持ちとなると足並みを揃える必要があるのですね。

以前もう少し詳しめに記した記事がありますのでよろしければご笑覧ください。

こちらをクリック ➜  音節の分け方について


(追記)

上で「アクセントは原則、母音にしかこない」と敢えて「原則」という字を入れたのは次の事情によります。大塚高信『英単語の知識』(垂水書房、1961年、p.213)より備忘のため書き留めておきます。

音節を背負うものは、大体において母音である。ただし little の最後の[l]のように子音でも音量の大きいもの、例えば[m][n][l]などは音節を形成することができる。これを Syllabic Consonant とよぶ。

なお、Syllabic Consonant は成節子音と訳されています。


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2011年01月21日

単語の発音指導について


単語の発音の学習について、高1から生徒に折に触れて言い続けていることを記しておきます。


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まず、最低限、カタカナのレベルでは正しいものにします。例えばlooseなら「ルース」と読めるように。


次のポイントは第一アクセント(強勢)の位置です。どの母音を強く読むのか、その場所を特定します。(ちなみに、アクセント(強勢)は子音にはきません。)


第一アクセント(強勢)のある母音にあたる文字の上に記号( ´ )を付けましょう。


覚えるときには、もちろんルールというのがないわけではないのですが、ルールそのものよりも強く読んで覚える、という方が実践的だと思います。


強く読む際、同時に首を縦に振ったり、足踏みを鳴らしたりするのも有効です。


最後に、第一アクセント(強勢)がある母音については、その発音を正確に覚えましょう。


実用上から言うと、英語の発音は強勢の置かれる母音が何より重要であり、その点を明瞭に発音すれば最も通じやすいからです。


ノートにはその母音の下に発音記号を転記しておきます。


これから教科書や単語集などに出てきた単語を覚える際、一つ一つ発音記号を辞書で確かめてその発音記号を全部覚えるようなことはせず、

まず、最低限、普通に聴き取れるレベルで正しいということ、これが一つ。


もう一つは、どこを強く読むのか、そして最後に、その強く読んだ場所の音はどんな音なのかということを正確に頭に入れていくようにしていってください。


音声CDや電子辞書の発音機能などを積極的に活用し、目と耳と口と手、そして身体と頭、様々な側面から学習することが大切です。


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教え方としては、単語のアクセントの型はそれぞれの語特有のものと考え、文字を書く手に綴り字を覚えさせるように、1つ1つ辞書で発音を確かめ、発声器官にその都度覚えさせるよう日頃からの指導が大切であろう。もう1つのアプローチは、幾つかの法則を覚えそれによってアクセントの位置を覚える方法である。但し、法則には例外が付き物なのでその点にも十分な注意が必要である。
『英語発音指導マニュアル』(北星堂、2009年、p.5)



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2011年01月20日

音節の分け方について


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2011年センター試験・英語(筆記)の第1問Bは第1アクセント(第1強勢)の位置を問う問題でした。


ただ、その他多くの入試問題と異なり、綴りを音節に分けていないために戸惑う受験生も少なからずいたのではないでしょうか。


音節を区切らずに各単語を提示した理由は、恐らく、時として辞書によっても一致を欠く場合があるからだと思われます。


今回は参考書を使いながら、音節の分け方の原則(分綴法)について記します。


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まず、田中菊雄『英語広文典』(白水社、1953年、pp.36-37)に拠って音節についてまとめてみます。


音節の定義と説明

1.「音節」を意味する英語syllableの原義は“take”で、「一つかみ」すなわち「一つかみに言える一連の音」が語源です。

2.一つ一つの音の間には自然と仲のよいのと仲の悪いのがあるもので、仲のよいのが自然に結合して一つの連音、つまり一つの音節を作ります。

3.例えばpenはpとeとnの三つの音が自然に結合して「一つかみ」の音になって、一回の努力で発声ができます。

4.ところが、pencilという語はどんなに早口で言っても音は自然と二つの節(ふし)に分かれます。まず一回の努力でpenと言ってから、次にもう一回の努力でcilと発声します。

5.そこで、penを1音節語、pencilを2音節語と呼んでいます。

6.一つの音節には必ず1個の母音を含みます。そして時には母音一つでも1音節を作りますが(a, Iなど)、子音だけでは決して音節を作ることはできません。

7.2音節語であるpencilは、いわば一軒の家に仲のよい家族が2家族住んでいるような状態で、pen-cilと二つに分離することができます。

8.もちろん印刷したり書いたりするときにはこのような印(ハイフン)は付けずに続けますが、行末が詰まったりしたときはその切れ目に印(ハイフン)を付けて後半を次の行に送ります。

9.ちなみに、英語は左から右に綴っていきますので、左から順に第1音節、第2音節、…のように数えます。


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次に、『上掲書』(p.38)により音節の分け方について述べます。


分綴(ぶんてつ)法

1.綴りを音節に分ける切り方には2種類あります。第一は歴史的語源の切れ目(abs-tract)、第二は発音上の切れ目(ab-stract、動詞)です。

2.この両者が衝突する場合には第二の方、すなわち発音上の切れ目の方に重きを置きます。よって、abstractはab-stractと分割します。

3.つまり、発音に基づいて(従って、ではなく)綴りを切るわけですが、この第二の切り方には12個もの原則があって複雑です。


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発音に基づいて綴りを切る12の原則を『上掲書』(pp.38-41)より抽出しておきます。原則ですから例外を含むものもあります。


分綴の12の原則

1.1音節語は決して分けない。

2.合成語はそれを組織する単純語に分解する。

例例例.overcoat → over-coat

3.母音が並んでいる場合は「重母音」でない限り分解する。「重母音」とはcoatの〈oa〉、oilの〈oi〉などのように母音一つと同価値の母音のことです。

例例例.oasis → o-a-sis

4.アクセントのある長母音は普通次の子音から離す。

例例例.water → wa-ter, paper → pa-per

5.アクセントのない長母音は必ず次の子音から離す。アクセントのない長母音とは、potatoの最初の〈po〉と最後の〈to〉のように、アクセントのある長母音よりも短く粗略に発音するものを指します。

例例例.police → po-lice

6.ある種の母音+r は決して離さない。

例例例.parent → par-ent, order → or-der

7.短母音は普通次の子音と合体させる。

例例例.camel → cam-el, general → gen-er-al

8.母音と母音の間にある二個の子音は普通分けて前後の音節にそれぞれ属させる。

例例例.sudden → sud-den

9.母音と母音の間にある一個の子音は、@前の母音が長ければ離し、A短ければ合体させる。

例例例.@nature → na-ture Anatural → nat-u-ral

10.母音と母音の間に三個あるいは三個以上の子音のあるときは前の母音は普通第一の子音のみと合体させる。

例例例.castle → cas-tle, instrument → in-stru-ment

11.母音代用音である〈l〉は前に短い母音のあるときにも直前の子音と合体させる。

例例例.apple → ap-ple

12.半母音([w]や[j])に響く母音字はその半母音の属すべき音節に属させる。母音字が半母音に響くというのは、例えば〈u〉が[w]の音に、〈i〉が[j]の音に響く場合である。

例例例.liquid → li-quid, Italian → I-tal-ian


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学習者には、こうした原則を具体例とともに適切な時期に示し、実際に分綴の作業をさせ、疑わしきは信頼すべき辞書によって確かめるよう指導するのがよいと思います。


(追記1)

笹井常三『英文ライティング・ハンドブック』(研究社、1989年、pp.25-7)に「分節」の主なルールが挙げられています。

(追記2)

岩崎民平『岩崎民平文集−英語ひとすじの生涯』(研究社、1985年、p.176)では「この語[=syllabication]は実際の発音についていう syllable の意味にも用いられるので word-division といったほうが無難であろう」と述べられています。

(追記3)

竹中治郎『英語分節辞典』(愛育出版、1983年、pp.E-ID)に「分節法通則」が記されています。

(追記4)

田中菊雄『英語広文典』(白水社、1953年)については黒田龍之介『寝るまえ5分の外国語 語学書書評集』(白水社、2016年、pp.102-3)に紹介があります。それによると、

かつて詳解文法は「広文典」というタイトルのことが多かった

といいます。


posted by 石崎 陽一 at 00:39 | Comment(4) | 発音・アクセント・文字(の指導) | 更新情報をチェックする

2010年12月08日

発音記号の筆順


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発音の指導言について連載していたら、先日、


発音記号を板書する際に自信がないのだが
発音記号の筆順はあるのか、もしあるとしたらどういうものか


というご質問をいただきました。


そこで少し調べて見ましたところ、クエスチョン・ボックスシリーズ第T巻・発音篇(大修館書店、1960年、117〜118ページ)に次のような趣旨の記述がありました。


発音記号は必ずしも一定の筆順でなければならないというものではなく、極端な言い方をすればでき上がりが活字体の文字と似通っていればよいということになります。


筆順については、特に気にしなくてよいようです。ただ、


しかし、手の運び方の習性などによっておのずからこのような筆順をとるのが適当だと考えられるものはあります。


として使用頻度の比較的高いものに限ってですが紹介がありました。


(追記1)

同ページには著名な音声学者による発音記号の筆記体なるものが見本として載っていて興味深かったです。でもいつ使うのかな?

(追記2)

英語の文字(ローマ文字)の筆順については手島 良先生の記事が参考になります。



posted by 石崎 陽一 at 21:52 | Comment(0) | 発音・アクセント・文字(の指導) | 更新情報をチェックする
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