2019年01月14日

なぜ plenty of に a を添え a plenty of と言わないか?


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本ブログの読者の方より、

なぜ plenty of に a を添え a plenty of と言わないか?

というご質問をいただきました。

以下、私なりの回答を記したいと思います。

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posted by 石崎 陽一 at 19:15 | Comment(0) | 文法・語法ノート | 更新情報をチェックする

2019年01月05日

比較構文における省略について


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國學院大學・久保田正人先生が運営されている英語質問箱というサイトがあります。

その質疑応答の中で興味を引かれたやりとりを備忘のため書き留めさせていただきます。


:The climate of Japan is milder than that of Engliand. が The climate of Japan is milder than of England. のように、than の後で the climate を省略できないのはなぜでしょうか?

というのは、Corpus of Contemporary American English で次のような文をみつけたからです。

1) China's economy was actually 49% bigger than Japan's.

2) the price of their goods in the United States is now less than in Japan.

3) education is a more significant dividing line in the political behavior of whites than of minorities.


:最も標準的な説明としては、「比較は同じ資格をもつもの同士に限られる」というくらいでしょう。the climate of Japan と that of England はともに「(ある国の)気候」を表しているので OK。China's economy と Japan's は、Japan's のような固有名詞の所有格は名詞を伴わずとも先行詞と同じ名詞の省略があると解釈されるので、OK。the price of their goods in the United States における in the US は、「米国固有の」というほど強い意味で前の名詞句を修飾しているわけではなく、たまたま米国で売られている場合の値段に言及しているだけですから、これは the price of their goods という名詞句を副詞的に修飾していることになります。つまり米国という国自体の性質に由来するものごとを表しているわけではなく、単に場所の範囲を表しているだけです。このような副詞表現は動詞句内に移しても意味は変わりません。The price of their goods is now lower in the United States than in Japan. のようにです。問題は前置詞の of が用いられている場合です。the climate of Japan における of は後続する土地に固有の性質を表します。このような強い修飾関係にある表現は分断したり一部を省略することは通例できません。than of England が許されないゆえんです。そこで問題になるのが3)の用例です。この場合の of whites/of minorities はどう解釈されるのかです。「政治的言動の境界線」というのが何を指しているか分かりませんが、この文をふつうに英文解釈してみると、「政治的言動の境界線として教育のあるなしが意味を持つのは、少数民族の人たちより白人たちの方である」というくらいでしょう。つまりこの of whites や of minorities は the political behavior を直接修飾しているというより、むしろ、「〜に関して」の意で副詞的に用いられていると考えられます。次の文も類似の構造であるように思われます。Race is even more sharp a dividing line in New York politics [today] than it was [in the early 1960s]. そうであるならば of whites と of minorities は副詞句同士で問題がないことになります。



posted by 石崎 陽一 at 21:24 | Comment(0) | 文法・語法ノート | 更新情報をチェックする

that と the one


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國學院大學・久保田正人先生が運営されている英語質問箱というサイトがあります。

その質疑応答の中で興味を引かれたやりとりを備忘のため書き留めさせていただきます。


:ある英和辞典に

先行する語が可算名詞で、下記のように of 句以外の修飾語句を伴う場合、the one も用いられる。

との記述があり、次の例文が挙げられています。

The restaurant above us is busier than the one downstairs.

This apple is not as good as the one I bought yesterday.

それならば、of 句では the one を使えない理由は何なのでしょうか?


:確かに、通例、of 句で the one が使えないことが多いですね。その理由は分からないとしか言いようがありません。ただ、すべての of 句で使えないわけではなく、例えば次の性質を持つ名詞の代わりには使えないとされています。

1)不可算名詞: advice, arrival など
2)可算名詞であっても、あるものを構成する必須の部分を表す名詞: cover(本の表紙), leg, sleeve など
3)組織内の立場あるいは人間関係を表す名詞: boss, dean, king, friend など
4)血縁関係を表す名詞: mother, father, sister など
5)目的語をとる動詞の名詞形で人を表す名詞: designer, student, supporter など

*The arrival of the king was followed by the one of the queen.(「女王の到着」のつもり)
Which sleeve did you mean? -- *The one of the dress.(「そのドレスの袖」のつもり)
Which king did you see? -- *The one of Belgium.(「ベルギーの王様」のつもり)
Whose mother is she? -- *The one of John.(「ジョンの母親」のつもり)
What kind of designer is he? -- *The one of dresses.(「婦人服のデザイナー」のつもり)

1)〜5)以外では(すべてではありませんが)使える場合があります。

The production of Madame Butterfly was better than the one of Tosca.((プッチーニのオペラについて言えば)「トスカ」より「蝶々夫人」の方が出来映えが良かった)

これ以上には分かりません。



posted by 石崎 陽一 at 21:19 | Comment(0) | 文法・語法ノート | 更新情報をチェックする

of 句で限定される名詞の冠詞


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國學院大學・久保田正人先生が運営されている英語質問箱というサイトがあります。

その質疑応答の中で興味を引かれたやりとりを備忘のため書き留めさせていただきます。


:ある英和辞典に due to lack of evidence と lack of funding という用法が載っています。名詞+of 句の形では、ほかにあるうちの1つであれば、a がつきますが、そうでない場合、of 句での限定により the がつくと考えているので、the をつけない理由が分からず質問させていただきました。


:Cobuild 英英辞典の WordBank で検索してみると、the lack of の形は 80 例あります。それらの用例を見てみると、例えば But the lack of hard evidence is not deterring other countries from following Canada's lead.(厳然とした証拠がないからといって・・・)のように、前の文脈に出ていた内容を再度繰り返す「前方照応」用法の定冠詞が多いようです。また、Although the nation spends more than £ 100 million a year on sun-care products, the lack of information on packaging is disturbing. のように、of に後続する名詞が2語以上から成っている例も目立ちます。of に後続する名詞が1つだけという例は 80 例中8例のみでした。例えば the explanation for the lack of success might be due to want of care on the part of those in whose charge he was のような例です(この場合の定冠詞も前方照応用法です)。そうすると lack of evidence や lack of funding も、証拠がないことや資金が不足していることが既知の情報であるような文脈に用いられていれば、定冠詞が付く可能性もあるやもしれないということになります。ただし、of に後続する名詞が1つだけで、しかも定冠詞が付くといった用例が少ないということにも注意すべきでしょう。要するに、lack は元々定冠詞が付きにくい名詞であるということのようです。「ある」ものを限定することは容易ですが、「ない」ものを限定するのは難しいということなのかもしれません。なお、a lack of における不定冠詞は、例えば Many families break up because of a lack of money. や An important source of dissatisfaction was a lack of challenge. のように、「任意の1つ」の意ではなく、「相当の」「まったくの」といった、程度の甚だしさを表す用法のものであると思われます。


posted by 石崎 陽一 at 21:14 | Comment(0) | 文法・語法ノート | 更新情報をチェックする

最上級形容詞の前置 ー the closest we’ll come to encountering ET の構造について


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國學院大學・久保田正人先生が運営されている英語質問箱というサイトがあります。

その質疑応答の中で興味を引かれたやりとりを備忘のため書き留めさせていただきます。


:次の文はNational Geographic Magazine の2015年5月号の記事 "It’s Time for a Conversation" からの抜粋です。(they は dolphins を指します。)

They’re a kind of alien intelligence sharing our planet − watching them may be the closest we’ll come to encountering ET.

下線部が、まるで、the closestが名詞でその後に関係代名詞節が置かれているかのように見えます。解説をお願いできないでしょうか?


:そのとおりだと思います。基本形の「come close to+(動)名詞」から形容詞の close が最上級になって関係詞節の先行詞になったわけですが、形容詞句が先行詞になる場合、前後の文脈から、その文の内容に最も適した名詞概念をかぶせて解釈すると分かりやすくなります。そのような名詞概念としては、例えば、This is the closest we can get to the beach by car. ならば「地点」でしょうし、Prior to those halcyon days at the start of the 1980s, the closest the county had come to success was reaching a Lord's final where they lost to Kent in the Gillette Cup of 1967. のような文であれば「時」でしょう(いずれも Cobuild の WordBank の用例)。watching them may be the closest we'll come to encountering ET. は「状況」の概念を加えると分かりやすくなるように思います。「イルカの行動を見ていると、将来、ET と遭遇したときも、このようなものなのだろうかと思わされる」というくらいでしょうか。come close to を最上級に強めた表現の意味(「〜もほとんど同然だ」)から考えて、思い切って、watching them may be (the closest we'll come to) encountering ET. のように括弧の部分を隠してみるのも解釈の第一歩として有効かもしれません。

posted by 石崎 陽一 at 21:09 | Comment(0) | 文法・語法ノート | 更新情報をチェックする

2019年01月04日

相当語(句)(equivalent(s))という概念 ー寛容と厳正ー


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例えば、the white of an egg や in short, from bad to worse などにおける white や short, bad や worse は、元来形容詞であるのが名詞の働きで用いられたものです。

細江逸記は『精説英文法汎論』(泰文堂、1942年、pp.81-2)で上記の如きを「名詞相当語(句)」と呼びました。

相当語(句)(equivalent(s))という概念に関する大塚高信氏の記述を『日本の英学一〇〇年 大正編』(研究社出版、1968年、p.216)により備忘のため書き留めておきます。


文中の機能により品詞の実際の働きを示そうという仕組み

文を五個の形にきめ、文中の機能を若干の数に決定し、各機能はどの品詞が代表するかをまず決めておいて、同じ機能がその品詞以外の品詞、または句・節によって果たされているときには、それらの語類または句・節は、本来その機能を果たすものと決めた品詞の equivalent と見てゆくと、従来ばらばらであったものが、互いに関連づけられることになって、各品詞間の関係がはっきりしてくる。


(追記)

the white of an egg や in short, from bad to worse などにおける white や short, bad や worse の如きを大塚高信氏は『英文法の知識』(三省堂、1956年、p. 25)において「名詞役」と呼んでいます。(『上掲書』(pp. 24-6, 155)および『英文法を顧みる』(大修館書店、1962年、pp.67-72)も参照。)

品詞はいわば語の籍であり、資格である。二重国籍に類した二重語籍の語もあるが、だいたい各語は名詞・形容詞・動詞…という一定の籍に属する。しかしアメリカの籍にある人が日本の外務省で働いてもよいように、名詞の語籍にあるものが、形容詞の役目をしてもさしつかえない。ただその場合でも、名詞は名詞であって、形容詞ではないのである。だから理想的にいえば、資格の名称と職の名称とは異なっているべきである。(中略)職名を表すには、便宜上、その職能を最も頻繁に果たす品詞の名称を借りて(後略)(p.25)

品詞名と役名はちょうど学校の官名と職名にあたる。教授・助教授・講師・事務官・傭員というのは品詞名で、学長・学部長・教務主任などの役名は文の要素名に相当する。学長や学部長の役を、都合で講師が代行しても、講師たる資格にかわりはないと同じく、副詞が名詞役をしているからとて、名詞ということはできない。(p.26)

なお、『英文法新講』(吾妻書房、1949年、pp.9-18)では、依然として、軍隊における(陸軍大尉、陸軍少佐などの)官名と(何々中隊長、何々大隊長などの)職名に例えていました。


posted by 石崎 陽一 at 19:28 | Comment(0) | 文法・語法ノート | 更新情報をチェックする

2018年12月30日

否定辞 not の勢力範囲(作用域;scope)を考えると見えてくる意味のちがい


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否定辞 not の勢力範囲(作用域;scope)を考えると見えてくる意味のちがいというものがあります。


(1)He didn't marry her because she was rich.

(2)Because she was rich, he didn't marry her.



(1)では not は marry her because she was rich を打ち消していますので、「彼女がお金持ちだから結婚したわけではない」の意となります。

(2)では not は marry her を打ち消していますので、「彼女がお金持ちだから結婚しなかった」の意となります。



(3)You must not go there.

(4)You don't have to go there.



(3)では not が go there を打ち消していますので、「そこへいかないことをしなければならない」、つまり「そこへ行ってはいけない」の意となります。
 
(4)では not が have to go there を打ち消していますので、「そこへ行かなければならないことはない」、つまり「そこへ行く必要はない」の意となります。



(5)Happily, he didn’t die.

(6)He didn’t die happily.


(5)では not が die を打ち消していますので、「幸いなことに死ななかった」の意となります。

(6)では not が die fortunately を打ち消していますので、「幸せな死に方をしなかった」の意となります。



(7)The trains aren't often late.
(8)The trains often aren't early.


(7)では not が often を打ち消していますので、「列車は頻繁に遅れるわけではない」の意となります。

(8)では not が early を打ち消していますので、「列車は早く来ないことが頻繁にある」の意となります。



なお、to 不定詞の否定形や分詞構文の否定形も、

左から右に書かれる英語では、否定辞 not の勢力範囲は、原則として、not の置かれた位置から右方向に向かう

ことさえ理解していれば、ことさら覚える必要はなくなると思われます。


posted by 石崎 陽一 at 10:24 | Comment(0) | 文法・語法ノート | 更新情報をチェックする

2018年12月27日

「because + 節」と「because of + 句」との言い換えの是非


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英和辞典では、because of は群前置詞だから名詞句を従え、because は接続詞だから節を従えるという形式面での説明しかなされません。

八木克正氏による次の記事は意味的な対応関係について言及し、貴重です。

「because+節」と「because of+句」(大修館『英語教育』2008年8月号 Question Box 欄)


(追記)

関連記事はこちら。

2013年の英語流行語大賞


posted by 石崎 陽一 at 19:49 | Comment(0) | 文法・語法ノート | 更新情報をチェックする

2018年10月25日

Reading is to the mind what food is to the body. の構造


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Reading is to the mind what food is to the body. という英文の構造について、中村捷『発話型 英文法の教え方・学び方』(開拓社、2018年、p.65)は具体例を添えて成り立ちを説明しています。備忘のため書き留めておきます。


この文は次のようにして作られる。

(a)Food is nourishment to the body.(食べ物は身体への栄養である)

(b)Reading is nourishment to the mind.(読書は精神への栄養である)

(a)の nourishment を what に換えて文頭に移動すると what food is to the body ができる。これを(b)の nourishment に代入すると次の文が得られる。

(c)Reading is what food is to the body to the mind.

しかしこの文は不格好なので形を整えるために what food is to the body を文末に移動する。(中略)

(d)Reading is to the mind what food is to the body.



posted by 石崎 陽一 at 07:42 | Comment(0) | 文法・語法ノート | 更新情報をチェックする

2018年09月10日

複数名詞を伴った絶対最上級の1例、という捉え方


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〈the + 形容詞の最上級 + 複数形の名詞〉は、「最も〜なもののグループ」という意味を表す。その前に one of を置けば「最も〜なものの1つ[1人]」という意味になる。(『アトラス総合英語』(ピアソン桐原、2012年、p.259))


複数名詞を伴った絶対最上級の1例である。(木村明『英文法詳解』(培風館、1967年、p.240))


本来、最上級で表されるものはたった1つのものであるはずだが、英語の最上級は1つのグループを指すことがある。最上級がこの意味を表す場合は、〈one of the + 形容詞の最上級 + 複数名詞〉(最も〜のうちの1人[1つ])の形で使われる。one の代わりに some が使われ、「最も〜のうちの数人[いくつか]」の意味を表すこともある。(『ジーニアス総合英語』(大修館書店、2017年、p.269))


posted by 石崎 陽一 at 19:42 | Comment(0) | 文法・語法ノート | 更新情報をチェックする

2018年08月27日

No sooner で始まる文における than の省略と倒置について


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She had been on the phone to a friend when she noticed a strange smell start to spread through the house. No sooner had she escaped through the front door did flames start rising through the roof.

これは慶應大学・商学部の入試問題で2017年に出題された英文ですが、

did flames start rising through the roof

の箇所が倒置を起こしています。

本記事では、この文の適否について記します。

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posted by 石崎 陽一 at 06:20 | Comment(0) | 文法・語法ノート | 更新情報をチェックする

2018年08月26日

名詞の前に現れる過去分詞、使用の適否の基準


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形容詞の前置修飾と後置修飾の関係で the murdered man は可だが the killed man は不可という記述を見かけます。

なぜ the killed man が不可なのでしょうか。

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posted by 石崎 陽一 at 11:17 | Comment(0) | 文法・語法ノート | 更新情報をチェックする

2017年11月05日

冗語的な as の用法について


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2013年に行われた大阪医科大学の入学試験(英語)に次の一節があります。


Right from an early age, even before they can talk, people find that helping others is inherently rewarding, and they learn to be sensitive to who is helpful and who is not. Regions of the brain activated by helping are the same as those activated when people process other pleasurable rewards.

Anyone who assumes that babies are just little egoists who enter the world needing to be socialized so that they can learn to care about others is overlooking other tendencies as species-typical. Humans are born predisposed to care how they relate to others.



読者の方から下線部の構造についてご質問をいただきました。

以下に私なりの説明を記したいと思います。


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posted by 石崎 陽一 at 15:07 | Comment(0) | 文法・語法ノート | 更新情報をチェックする

2017年11月03日

The time will come soon when か The time will soon come when か


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(クリックすると拡大します)


posted by 石崎 陽一 at 00:17 | Comment(0) | 文法・語法ノート | 更新情報をチェックする

2017年09月12日

場面に合った構文の選択を


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いわゆる There is 構文は、聞き手に見えているものを指して使うことはできません。


例を挙げますと、木の上の鳥が、話し手には見え、聞き手には見えていないとき、話し手は


There is a bird in the tree.


と言うことができます。


しかし、会話する2人が鳥かごの鳥を見ながら話すとき、


There is a bird in the cage.


とは言えません。


たとえば、こうしたことを知らずに、聴衆に見えている図表を前に There is 構文を使ったらどうなるでしょうか。

発表の内容を理解してもらう以前に、英語のミスで信用を失う可能性すらあるのですね。


指導者としては、場面に合った構文の選択ができるよう、学習者に伝えていく心がけが大切だと思われます。


(追記1)

関連記事はこちら。

提示の there 構文


(追記2)

Google Books Ngram Viewer を用いることで、数百年前から今日までの書籍に現れる単語(2語以上ならそのフレーズ)の流行り廃りを時系列の折れ線グラフで見ることができます。

(関連記事はこちらをクリック。)

bird in the tree / on the tree の2つの言い方を Google Books Ngram Viewer にかけてみた結果が次の画面です。


bird_in_the_tree_bird_vs_bird_on_the_tree.JPG
(クリックすると拡大します。)



posted by 石崎 陽一 at 19:43 | Comment(0) | 文法・語法ノート | 更新情報をチェックする

2017年09月09日

英語の時制は二つか?


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時間関係を表す動詞の活用形を時制と呼んでいます。


英語には

現在時制(現在形=非過去形)



過去時制(過去形)

の二つしかなく、

未来時制なるものはない。


英語にあるのは、「未来時制」ではなく、

代用的・迂言的な「未来表現」

である

とされるのが一般的です。



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一方、大塚高信『英文法論考 − 批判と實踐』(研究社、1952年、pp.76-7)は

文法上の形態を屈折語尾に限ることは間違いで、

will, shall は形式語と見て、英語に未来時制があると考えることも可能である

という趣旨のことを述べています。


イェスペルセン(Otto Jespersen, 1860-1943)は have や be に過去分詞、現在分詞のついた完了形、進行形を(名称はともかくとして)認めているのだから、

同じ筆法で will, shall のついた動詞形を未来時制と呼んで悪い理由はないとの旨を記しています。


以上、備忘のため書き留めておきます。


posted by 石崎 陽一 at 22:38 | Comment(0) | 文法・語法ノート | 更新情報をチェックする

2017年08月08日

強調効果を生み出す − 語順の転倒


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日本語は、「が」や「を」といった助詞があるおかげで、単語の配列はかなり自由です。

例えば、

「その熊がその男性を襲ったんだ」



「襲ったんだよ、その男性を、その熊が」

などと語順を変えて言うことが可能です。


一方、英語には助詞がありません。

正しく意味を伝えるためには、単語の配列(語順)が大切になります。

The bear attacked the man.

という文を

Attacked the man the bear.

と言っても意味をなしませんし、

The man attacked the bear.

とすると、意味が全く逆になってしまいます。

「その熊が(the bear)」「襲った(attacked)」のように、英語では

主語の次に述語動詞を置く

のが普通の語順であり、この

普通の語順を変えるのは、決まった場合に限られる

のですね。



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私たちになじみ深いのは、疑問文をつくるときでしょう。


The bus was late. → Was the bus late?

The bus came late. → Did the bus come late?



こんなふうに、普通の語順が疑問文の語順になることを

語順の転倒

と呼んでいますが、実は、この語順の転倒は疑問文をつくるとき以外にも起こります。

次の例をご覧ください。


(1)I never dreamed of that.

(2)Never did I dream of that.


どちらも「今までそのことは夢にも思わなかった」という意味を表しています。

しかし、(2)は、never という否定語で文が切り出されているため、続く部分に語順の転倒が生じています

(2)の下線部が疑問文でもないのに疑問文の語順になっているのは、それが理由です。

別の例を見てみましょう。

「not only A but(also)B」(AだけでなくBも)という表現が使われています。


(3)The bus was late as usual. It not only came late, but today it broke down.

(4)The bus was late as usual. Not only did it come late, but today it broke down.


双方とも「バスはいつもどおり遅れた。遅れて来ただけでなく、今日は故障もしたんだよ」という内容を伝えています。

ところが、(4)では、(3)の文中にある not only という否定語句が文頭に出され、それに伴い、語順が転倒しているのがわかります。

このように、疑問文ではないのに語順の転倒が生じている場合、混乱しやすく、意味をとりにくくなるので、注意が必要です。

しかし、そもそも、なぜ、正常な語順をあえて変えるのでしょうか?



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それは、(3)〜(4)の例の場合、not only で文を始め、後続する部分に(疑問文でもないのに)語順の転倒を起こすことで、

not が否定するのは only なのだ

ということを明確にするためです。

そうやって

どの部分が否定の対象になっているか

をはっきりと示し、聞き手の注意を引きつけているわけです。

結果として、

文全体に強調効果を生み出す

ことにつながるのですね。


なお、「not only A but(also)B」(AだけでなくBも)という表現は、話し手がAよりもBのほうに重きを置いているときに用いる言い方です。

Aには話し手が「言うまでもないこと」として挙げる例が、Bに話し手が言わんとする内容がそれぞれ盛り込まれることまで押さえておくと、英文における情報の軽重や流れを的確にとらえることができるでしょう。


それでは、また。


(追記)

「語順の転倒」は「倒置」とも呼ばれます。


posted by 石崎 陽一 at 12:20 | Comment(0) | 文法・語法ノート | 更新情報をチェックする

2017年07月22日

目的を表すいろいろな言い方


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(1)「何々するために」と、ある行動・行為の目的を表すにはふつう to 不定詞を使います。

I stood on the chair to change the light bulb.(電球を換えるために椅子に乗った)

【注意】

「何々のために」という意味の英語に for という前置詞があります。前置詞の後ろには名詞・代名詞・動名詞が続きますから for doing とすればたしかに「何々するために」となりますが、この言い方はある物の使用目的をいう場合にのみ使うようにします。

This knife is for cutting cheese.(このナイフはチーズを切るためのものです)

This knife is used for cutting cheese.(同上)


(2)目的をもっとはっきり示す場合には in order to do や so as to do を使います。

I shut the window in order to keep out the insects.(虫が入らないように窓を閉めた)

I shut the window so as to keep out the insects.(同上)



(3)in order to do はやや文語的で、もっぱら「目的」を表します。so as to do は口語的で、「目的+結果」の含みをもっています。

I moved to a new apartment so as to be nearer to my work.((結果として)職場にもっと近くなるように、新しいアパートに引っ越した)


(4)よって so as to do を文頭で使うことは多くありません。

In order to appreciate this poem, you should read it aloud.(この詩を鑑賞するためには声を出して読むべきです)


(5)「何々しないために」という場合にはふつう not to do とはせず、in order not to do または so as not to do の形を使います。not の位置に注意してください。

Mike didn't say where he was going so as not to worry her.(彼女を心配させまいと、マイクは行き先を告げなかった)


(6)単に not to do とするのは以下のような限られた場合に限ります。

Take care not to fall.(転ばないように気をつけてね)

Be careful not to fall.(同上;ただし、こちらの言い方の方がふつう)

We're here not to talk but to act.(ここに集まったのは話し合うためではなく、行動するためだ)


(7)to 不定詞を使って目的を表す場合、to 不定詞の意味上の主語を表すには for 何々 to do または in order for 何々 to do を使います。

Fred stepped aside for her to pass.(彼女が通れるように、フレッドは脇へどいた)

Fred stepped aside in order for her to pass.(同上)



(8)このように文法上の主語(文全体の主語)と to 不定詞の意味上の主語が違うときは so that などの接続詞も使えます。so that はあとに助動詞 can, may; will が続きます。

Talk louder so that I can hear you.(聞こえるようにもっと大きな声で話してください)


(9)主節の動詞が過去形の場合には次のように過去形の could, might; would を使うことに注意が必要です(時制の一致)。

Lucy took a job so that her husband could continue studying.(夫が学業を続けられるように、ルーシーは働きに出た)

Lucy took a job for her husband to continue studying.(同上)



(10)口語ではthatを省略することもあります。

I gave him the key so he could move my car.(私の車を移動できるように、彼にキーを渡してやった)


目的を表すのに、so that の他にも for fear や in case という接続詞があります。


(11)「何々するのを恐れて」という意味で「何々するといけないから」という場合には for fear を使います。for fear は文語調ですが、will(would) を続けると口語調に近くなります。

My father doesn't travel by air for fear he will have a heart attack.(父は心臓発作を起こすといけないので、飛行機の旅行はしません)

I held her hand for fear she would fall.(彼女が倒れないように、私は彼女の手をつかんでいた;時制の一致に注意)



(12)「何々する場合に備えて」という意味で「何々するといけないから」という場合には in case を使います。in case は予防の意味を含みます。英英辞典を引くと、so as to be safe if (something happens) とあります。

Keep the window closed in case it rains.(雨が降るといけないから、(その予防として)窓を閉めておきなさい)



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2017年07月17日

日本語の「気づく」にあたる英語の動詞 realize, notice, recognize の使い分け


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次の日本語を(a)〜(c)のように英訳するとき、

「気づく」にあたる動詞 realize, notice, recognize をどのように使い分ければよいでしょうか?

外国に行ってはじめて日本の伝統文化の素晴らしさに気づく場合が多い。

(a) It is often not until you go abroad that you realize the greatness of traditional Japanese culture.

(b) It is often not until you go abroad that you notice the greatness of traditional Japanese culture.

(c) It is often not until you go abroad that you recognize the greatness of traditional Japanese culture.


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2017年04月22日

less and fewer


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I've got less problems than I used to have.


という用例を挙げ、Michael Swan, Practical English Usage(OUP, 2016, p.169)は


In an informal style, less is quite common before plural nouns.


と認めた上で、


Some people consider this incorrect.


と注記しており親切です。


実際、私も


Which expression should we teach to students, fewer books or less books? (of course, on a prescriptive basis, the latter is not grammatically correct; on the other hand, nowadays, "less books" types of expression can often be found on various media.)


という質問をした際、インフォーマントの一人から


You should never teach “less books.” Besides being increasingly common, the ignorant use of “less” rather than “fewer” with respect to number is also laughed at and generally derided. In terms of the level of stupidity it suggests, it’s roughly equivalent to saying “I literally died laughing” rather than saying, hyperbolically, “I nearly died laughing.”


という助言を提供されたことがあります。


posted by 石崎 陽一 at 11:23 | Comment(0) | 文法・語法ノート | 更新情報をチェックする
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