2016年02月28日

語源や語形成に注目させる語彙指導


ELL95_baranosakuniwa500-thumb-260xauto-2948.jpg



語源研究には、大きく分けて3つの「楽しみ」があると言えます。

1つ目は「知る楽しみ」です。

これは語源物語的な書物を読んだり、ある単語を語源辞書で調べることにより達成されます。

授業においては、例えば、


英語の kind は「生まれを同じくするもの」の原義から「種族、種類、種」という名詞の意味が出た。(「同類、一族、親族」を表す名詞 kin と同根。)形容詞としては、kind はもともと「生まれのよい(well-born)」「しつけのよい」という意味で用いられていた。

「生まれ育ちがよい」と「品がよい」し「上品で優美な」ものだが、日本語でもこの「品」は「しな」と読んで「事物の等級、またそのちがい」の意から「種類」の意を表したり「階級、身分、地位」の意から「家柄」の意を表したりしていたのは興味深い。

kind は「種類」と「優しい」というまったく関係のない意味を持っているようだけども、両者とも「生まれ」という根本的な意味でつながっている。実は genre や gentle という単語とも同語源である。



という指摘をすれば、「語源を知る楽しみ」を生徒に堪能させることができるでしょう。

2つ目は「考える楽しみ」です。

つまり、語源が明らかでない単語について、擬音(onomatopoeia)や音象徴(sound symbolism)、あるいは意味の連鎖などを使って、元来のイメージをつかむ喜びです。

これは「探る楽しみ」、あるいは「発見する楽しみ」と言い換えることができます。

この2つの喜びのほかに、もう一つ、語源を勉強する楽しみがあります。

それは「語彙を増やす楽しみ」です。

古くは森鴎外が『ヰタ・セクスアリス』で医学用語を覚える際の語源の効用を説いていますし、

江藤淳の『漱石とその時代』や川島幸希の『英語教師 夏目漱石』には、夏目漱石も東大で教えるときは語源を重視した授業を行ったということが書かれています。



JS745_gyakouume500-thumb-260xauto-2635.jpg



高校時代、「市街地の開発、町づくり」のことを urban development と言うのだと知ったとき、覚えるのに苦労していた suburb(郊外)のことを、ああそうか、あの単語は sub- + urb、つまり「下」「副」を示す sub-(cf. submarine, subway, subtitle)と「市街地、町、都会」の意味の urb(cf. urban, urbane)とが結びついたものだったのか、そうだったのかと大いに納得したものでした。

それまでの私は、「郊外」にあたる英語は「s, u, b, u, r, b」という具合に、ただやみくもに暗記していたのです。

これを機に、綴りを記憶する際の労力が半減し、英語という言語の背景にある文化のようなものに興味を抱くことになったのを今でも鮮明に覚えています。

英語は表意文字である漢字と異なり、わずか26文字がさまざまに組み合わされて単語が作られています。

この文字は表音文字であり意味がないため、ただ棒暗記で覚えたものは、すぐ忘れたり意味を混同したりしがちです。

しかし、理屈や経験をもって覚えたものの場合、忘れていても一度引き出せば、また思い出しやすくなります。あれはそんなことを実感する出来事でした。



PAK56_karadonnna500-thumb-260xauto-2875.jpg



主としてこうした個人的経験から、石崎は、教科書や単語集などを通じて生徒たちの頭に単語が蓄積されたタイミングで、語形成(word formation)に注目することで、単語を整理整頓し、さらに語彙の増補を図る指導を行っています。

単語の整理整頓はいわばごちゃごちゃになった引き出しを整理するようなものですから、語形成に注目する学習の開始時期としては、学習者の頭の中にある程度単語のストックができた時点が効果的だと考えることができます。

そこで、そのような時期を見計らい、自作教材を用い、語根(root)と接辞(affix)を教え、意味を持った塊を記憶や類推の鍵として単語を覚える方法を紹介しています。

もちろん、英単語には構造があって複数のパーツが複合してできているとは言っても、分析することで、すべての単語の定義が判明したり、語義が類推できたりするわけではありません。


要するに、この語彙学習法は万能ではないのですね。


よって、何から何まで語形成の知識で片づけようとする姿勢は危険です。

しかし、語形成の知識からわかることも多いことは、石崎の体験からも言えます。

そこで、私は、取り扱う単語を厳選した上で、suburb を sub- + urb と分解することで覚えるように、a+b=cのような考え方で一見して現在の意味が生まれた背景に納得がいくように提示することを私は心がけています。

この自作教材は派生した単語数の多い、すなわち応用範囲の広いと思われる構成要素を見出しに掲げ、関連語をその下にリストアップし、いくつかの工夫を加えたもので、これまで多くの生徒から好評を得ています。


本校でも使用の時期が訪れたようです。


(追記1)

成田義光・長谷川存古・小谷晋一郎『講座・学校英文法の基礎 第一巻 発音・綴り・語形成』(研究社出版、1983年、pp.134-56)において複合語に関する詳述がなされており有益です。また、『上掲書』(p.203)では

生徒の英語学習のある段階で、既習の単語を用いて語形成の大略の説明を与えることは、将来の英語学習に有益であろう。英語の経験を重ねていくうちに自然に身についていくのが単語の知識であるが、その形式を明示的な形で示し、指導しておけば、その効率はより大になると考えるものである。

と述べています。


(追記2)

関連記事はこちら。

ことばへの興味を育む

語源を用いた語彙学習について


posted by 石崎 陽一 at 19:43 | Comment(0) | 語彙の学習・指導 | 更新情報をチェックする

2015年09月25日

あなたのやり方は間違っているかも!? − 効果的な暗記の方法


MAR88_mokuren500-thumb-260xauto-3414.jpg



効率的な勉強法に関する研究成果が Science 誌(2008年2月15日号)に掲載されています。


Jeffrey D. Karpicke, et al., The Critical Importance of Retrieval for Learning という論文によれば、

効率的な勉強法とは、


同じことを反復して学ぶ(暗記)より、
思い出すこと(テスト)を重視したほうがよい



とのことです。


実験は非常に単純で、


アメリカの大学生にスワヒリ語の単語40個を1週間かけて覚えさせる


というものです。


ここでは毎日単語の暗記(覚える)とテスト(思い出し)を行わせるのですが、

それぞれ毎日のテストの結果に基づいて、次の日の勉強方法を以下の4つのグループに分けます。


1.毎回すべての単語を「暗記」

➔ 「テスト」


2.前回のテストで間違った単語のみ「暗記」

➔ 「テスト」は全単語について毎回行う


3.「暗記」は全単語について毎回行う

➔ 前回のテストで間違った単語のみ「テスト」


4.前回のテストで間違った単語のみ「暗記」

➔ 「テスト」



そして1週間後に全単語についてもう一度テストを行うのですね。


さて、成績がよかったのはどのグループでしょうか?


続きを読む
posted by 石崎 陽一 at 13:09 | Comment(0) | 語彙の学習・指導 | 更新情報をチェックする

2015年06月23日

指小辞(diminutive)について


flower (26).jpg



指小辞(diminutive)は、

話し手がある人や生き物に対して小ささ、幼さ、または可愛さを感じ、同時に親愛の気持ちをもって使用する

接尾辞です。

(ときとして軽蔑の感じを伴うことがあります。)

聞き手は指小辞表現を聞くことによって、話し手の、対象に対する心理的距離の小ささを理解します。

指小辞は多種多様で、興味深い事例が多いです。

主として、西川盛雄『英語接辞の魅力−語彙力を高める単語のメカニズム−』(開拓社、2013年、pp. 67-78)より、いくつか紹介します。

英語の指小辞の例


-ie / -y

auntie, birdie, cookie, doggie, hippie, movie, pantie, rookie; Ausie; Annie, Bobbie, Charlie, Jimmie, Eddie, Johnie; kitty, mammy, piggy

-let

armlet, booklet, bracelet, cutlet, droplet, flowerlet, fruitlet, kinglet, leaflet, pamphlet, piglet, playlet, ringlet, sparklet, starlet, wifelet

-et / -ette

banquet, blanket, bonnet, bouquet, bucket, casette, castanet, cigarette, clarinet, leatherette, marionette, mountainette, novelette, pallet, pipette, pocket, socket, sonnet, statuette, streamlet, ticket, trumpet

-cle / -cule

animalcule, dramaticule, icicle, molecule, muscle, particle, poeticule, uncle, vermicule

-ling

authorling, cageling, chickling, darling, duckling, earthling, goatling, gosling, kingling, nurseling, pigling, princeling, seedling, spiderling, suckling, underling, weakling

-kin

devilkin, ladykin, lambkin, manikin, napkin, pumpkin, wolfkin

-en  

chicken, kitten, maiden

日本語の指小辞の例

   
-ちゃん

母ちゃん、リカちゃん、ワンちゃん、坊っちゃん

-坊、-ぼ   

けちん坊、甘えん坊、かくれんぼ、さくらんぼ、たんぼ、トシ坊(←今ならトシりんかな!?)

-こ、-っこ

ひよこ、どじょっこ、ふなっこ

英語の指大辞の例

   
なお、英語には物を大きく見せる指大辞(augmentative)というのもあります。

例えば、ball を大きく見せる balloon, bass の大きなものは bassoon, dragon に由来する dragoon などです。


(追記)

大塚高信『英文法ノート』(泰文堂、1948年、pp.75-6)に「名前の diminutive 」と題する記事が収められています。


posted by 石崎 陽一 at 19:07 | Comment(0) | 語彙の学習・指導 | 更新情報をチェックする

2014年12月28日

hang up という句動詞について


www.lowes.com
(retrieved from:http://is.gd/mXwwg0


hang には何かを「(展示のために)掛ける」の意があります。


She is hanging a picture up on the wall.
(この女性は絵を壁に掛けているところです)



このように、up と一緒に用いることが多いのですけれども、この up には


低い位置・レベル・基準などから
高い位置・レベル・基準などに動くこと



を基本的意味に含んでいるとされます。

つまり、up は「固定の方向」を説明しているわけですが、これには、上の写真からも、頷けますね。

ちなみに、


She is hanging up a picture on the wall.


のように、

up が a picture という目的語を飛び越えて前進し、動詞と直結する場合も散見されます。



www.onemoregadget.com.jpg
(retrieved from:http://is.gd/FBPRWd



同様に、「コートをフックに掛ける」は


hang up a coat on a hook


と言えますし、


「電話を切る」を


hang up the phone


と言うのも納得がいきます。

すなわち、壁掛け型の電話(wall phone)が用いられていた頃、電話を切るために受話器を置くには、壁に取り付けてあった受話器台に受話器を掛けることになっていたのですね。

(なお、上例の the phone とは the phone receiver(受話器)のことです。)



www.etsy.com
(retrieved from:http://is.gd/0Io1Cu



(追記1)

up という不変化詞(particle)には

低い位置・レベル・基準などから高い位置・レベル・基準などに動くこと

という基本的意味が備わっているとの記述はクリストファ・バーナード『バーナード先生のネイティブ発想・英熟語』(プレイス、2003年、p.89)より引用しました。


(追記2)

「電話をかける」の「かける」はどういう漢字を書くのかという疑問に関して、飯間浩明 氏による記事を興味深く拝読しました。


(追記3)

白川静『常用字解』(平凡社、2003年)より備忘のため書き留めておきます。

「架」という漢字は

加に加えるの意味があり、木(二本の柱)の上にかけ渡すもの、またかけ渡すことをいい、「たな、けた、かける」の意味に用いる(p.44)

とされ、

架橋、高架、書架、担架

などの用例があります。

一方、「掛」という漢字は

わが国では上から物をかけて垂らす(中略)の意味に使う(p.46)

とされ、

掛画(かいが)、掛軸

などの用例があります。


posted by 石崎 陽一 at 11:32 | Comment(0) | 語彙の学習・指導 | 更新情報をチェックする

2014年04月01日

学術用語の素材


N612_suitekigahikaruakaibara500-thumb-260xauto-1625.jpg



科学の世界では、新しい概念を盛り込むため、原則として新しい語を創造します。

つまり、専門的学問の各分野で用いられる学術用語の大部分は人造語です。

素材を組み合わせて人工的に合成されたものが多い。

自然科学の基礎をなす化学、物理学、生物学、数学、地質学、天文学等、

そしてまた、その応用である工学、医学、薬学、農学等において、

そうした新造語の素材はギリシャ語かラテン語から採られています。

というのも、英語がこの両古典語と密接な関係を持っており、なじみやすいからなのですね。


(追記)

堀田隆一先生のブログより関連記事にリンクを張らせていただきます。

科学語彙においてギリシア語要素が繁栄した理由

近代英語期の科学語彙の爆発

学名




posted by 石崎 陽一 at 07:38 | Comment(0) | 語彙の学習・指導 | 更新情報をチェックする

2014年03月26日

語形成に注目する語彙学習 − 私の経験から



adorn という英単語があります。


to make more beautiful, attractive, or interesting


とある英英辞典は定義していて、


to adorn the table with flowers
 (テーブルを花で飾る)


adorn.jpg



The arch was attractively adorned with roses.
 (アーチはバラできれいに飾られていた)


adorn_2.jpg



an expensively adorned room
 (ぜいたくに飾られた部屋)


adorn_3.png



のように用いるほか、


Fred adorned his story with all sorts of adventures that never happened.


のようにも使える動詞です。


−−−−−−


高校時代、石崎はこの adorn という動詞を覚えるのに苦労していたのですが、ある日たまたま adorn が


ad- + orn


という造りになっていることに気がつき、

しかも、

後半要素の orn が「飾り、装飾(品);飾る、装飾する」を意味する ornament の下線部と同根だと悟ったとき、

あれだけ覚えにくかったのが嘘のようにすっと頭に入ったのでした。



わかった!.gif



英単語はわずか26文字が様々に組み合わさって作られています。

この文字は表音文字であり、表意文字である漢字と異なって意味がないため、

ただ棒暗記で覚えたものは、すぐ忘れたり意味を混同したりしがちです。

しかし、理屈や経験をもって覚えたものの場合、忘れていても一度引き出せば、また思い出しやすくなる。

あれはそんなことを実感する出来事でした。

頭の中にある程度単語のストックができた時点では、語形成に注目して単語を覚えるのも有効な方法のひとつだと実感している次第です。


(追記1)

某所から依頼されて語形成に注目させる語彙指導について原稿を書きました。5月の発行だそうです。その頃が近づきましたらまたお知らせさせていただきますね。


(追記2)

ad- という接頭辞は、英語の to にあたるラテン語の前置詞 ad(e.g. ad Rōmam(ローマへ), ad urbem(市へ))に由来し、方向や変化の概念を表します。

今回扱った adorn という動詞においても、語幹 orn が「飾る」を意味しており、飾りつけの前後で飾りつけられる事物の様相は「変化」するわけですね。

このように、ad- という接頭辞は概念を表すにすぎず、具体的な意味はありませんので、

語源的なアプローチで単語の意味を記憶したり類推したりする場合は、取り除いて考えるのがよいでしょう。

adorn のケースで言えば、語幹である orn の意味にフォーカスすれば、十分、語彙理解の助けになると思われます。

なお、ad- の綴り字は後続する語幹の発音に応じて変化することに注目しておきましょう。

すなわち、[c, f, g, l, n, p, q, r, s, t] の前位では ad- は逆行同化を起こし、

ac- (account, acquire), af- (affirm), ag- (aggravate), al- (allure), an- (announce), ap- (appoint), ar- (arrange), as- (assimilate), at- (attain)

のようにスペリングが変わるのですね。


(追記3)

牧野武彦『日本人のための英語音声学レッスン』(大修館書店、2005年、p.144)は

音の連続の中で、ある音が隣接の他の音に似る現象

を同化(assimilation)と呼び、なかでも

次の音に備えてその音の性質の一部を先取りするもの

を逆行同化(regressive assimilation)と呼ぶ。

そう定義しています。

例えば

width ([d] ➔ [t])

length ([g] ➔ [k])

of course ([v] ➔ [f])

have to ([v] ➔ [f])


など、

次の音が引き金になって、手前の音を標的にして同化作用を起こしており、

発声の進行方向に対して逆になっているから「逆行」なのですね。

こうした同化作用は、東後勝明監修『英語発音指導マニュアル』(北星堂、2009年、p.24)によると

比較的スピードが速い発話におけるスムーズな発音を促すための現象の1つ

とされます。

なお、記事で挙げた account などの諸例は、同化した音が綴り字に現れているものです。


posted by 石崎 陽一 at 19:55 | Comment(0) | 語彙の学習・指導 | 更新情報をチェックする

逆戻し(reversal)の un-


MAR78_kosumosumurasaki500-thumb-260xauto-3649.jpg



un- という接頭辞は


unhappy, unlucky, unfair


などのように、形容詞に付いて否定または逆転を表しますが、

動詞や名詞にも付いて多くの語を造ります。


続きを読む
posted by 石崎 陽一 at 19:03 | Comment(0) | 語彙の学習・指導 | 更新情報をチェックする

2014年03月24日

collocation について(その2)


OJS_umeedaappu500-thumb-260xauto-1384.jpg



増井元『辞書の仕事』(岩波新書、2013年、p.74)より備忘のため書き留めておきます。


「顰蹙」と「買う」とのように、ある語とある語とが慣用的につながることを言語学では「コロケーション」と言いますが、「相性」とか「縁」とか呼ぶ人もいます。(中略)鈴木喬雄さんは、言葉の「相性」という言い方で、慣用的なことばのつながりを重視され、ことばAがことばBと相性がいいとき、積極的にそれを辞書に書くべきだと説かれました。


(追記)

関連記事はこちら


posted by 石崎 陽一 at 22:08 | Comment(0) | 語彙の学習・指導 | 更新情報をチェックする

2014年01月24日

多義語の覚え方(その6)


img120.jpg




多義語の中にはその語が本来持っている一般的な意味を種々の特別な意味に発展させたものがあります。

続きを読む
posted by 石崎 陽一 at 06:59 | Comment(0) | 語彙の学習・指導 | 更新情報をチェックする

2014年01月23日

多義語の覚え方(その5)


img_c6bc637ab810fcea90ea90ab5823483105aa4f71.jpg



しかし、すべての多義語が fast-board 型の語義構造を持つとは限りません。

ある語はその語源的意味をまったく捨て去り、比喩的な連鎖作用によって語義を拡張し、次から次へと新語義を獲得していくものもあります。


続きを読む
posted by 石崎 陽一 at 06:45 | Comment(0) | 語彙の学習・指導 | 更新情報をチェックする

2014年01月22日

多義語の覚え方(その4)


img20100119205339.jpg



ここで、fast と同じような語義構造を持つ語の例をもう一つ挙げてみましょう。


続きを読む
posted by 石崎 陽一 at 06:59 | Comment(0) | 語彙の学習・指導 | 更新情報をチェックする

2014年01月21日

多義語の覚え方(その3)


img20100118185622.jpg



これまで fast の原義を中心に、その語義構造に及びながら、意味の発展過程を考えました。

次に、関連諸語を視野に入れて話を進めていきたいと思います。


続きを読む
posted by 石崎 陽一 at 03:05 | Comment(0) | 語彙の学習・指導 | 更新情報をチェックする

2014年01月20日

多義語の覚え方(その2)


img20100113205244.jpg



さて、ここで英和辞典で fast(形容詞)の項にある、異なった語義を調べてみましょう。

@固着した、しっかりした
A忠実な
B長持ちする、色褪せない
C(眠りが)浅い
D速い、敏速な
E身持ちの悪い、すさんだ

以上が fast(形容詞)に見られる語義です。この6つの異なった語義を、最初に述べた fast の2つの基本的語義「しっかりした、不動の」と「速い」を基準に整理してみましょう。


続きを読む
posted by 石崎 陽一 at 06:30 | Comment(0) | 語彙の学習・指導 | 更新情報をチェックする

2014年01月19日

多義語の覚え方(その1)


img20100107084246.jpg



私たちが英語の辞典を引いてまず当惑するのは、一つの語が、語によっては、実に多くの語義を持っているという事実を知るときでしょう。

しかも、語によっては、一見するところまったく正反対の意味を持っているものもあり、一体なぜそんな相反する語義が一つの語の中にあるのだろうかと考えてしまいます。

たいていの人々はその一見相反する語義間の相違を深く追求することもなく、ただ納得のいかないままにしゃにむに覚え込むのでしょうが、実はそういう場合においてさえ、意味の変化の仕方を知ることによって、もっと能率的に単語の持つ異なった意味の相違を知ることができるのです。


続きを読む
posted by 石崎 陽一 at 07:58 | Comment(0) | 語彙の学習・指導 | 更新情報をチェックする

2014年01月14日

ギリシャ語の影響(その2)


img_e1d3f6db217ade5cde5cd0b5d3bfa943619767b5.jpg



Renaissance 以後になると、直接ギリシャ語からの借用が行われました。

しかし、ギリシャ語が英語に与えた影響は、単なる賃借関係というよりも、むしろ、その借用語が生んだ compounds(合成語)や derivatives(派生語)の数の莫大なことにあります。

compound とは、二つの語を合わせて造った新語のことです。

例えば、monos(単一)という語と、tonos(調子)という語を合わせると、monotone(一本調子)という新語ができるといった具合で、ギリシャ語はこの点において重要な言葉なのですね。

derivative とは、一つの語に prefix(接頭辞)や suffix(接尾辞)をつけて造った新語のことです。

例えば、monotone に色々の suffix をつけますと、monotony(名詞), monotonize(動詞), monotonous(形容詞), monotonously(副詞)などという derivatives ができます。

ギリシャ語は、こういう点では、日本語における漢語と同じで、造語力に富んだ言葉と言えましょう。

我々はギリシャ語やラテン語の主な造語要素を覚え、その結合の原則を飲み込んでおけば、単語を個々に記憶しなくても、その意味を察することができ、よほど労力の節約ができるはずなのです。


posted by 石崎 陽一 at 00:00 | Comment(0) | 語彙の学習・指導 | 更新情報をチェックする

2014年01月13日

ギリシャ語の影響(その1)


img20090104213813.jpg



ギリシャ借用語については、宗教用語の他、ラテン語あるいはフランス語を通して間接に借用されたものが多いです。

ラテン語経由のギリシャ語には、英語の第一歩でお世話になる alphabet, comma, colon, hyphen をはじめとして、

history, philosopher などの学術用語、

theater, drama, scene, chorus 等の演劇用語、

lily, rose, anemone, hyacinth [háiəsinθ] 等の花の名前、

orchestra, barytone 等の音楽用語、

その他 asphalt, camera, energy, typhus [táifəs] (チフス)など日本語になっている語も多い。

フランス語経由の語にも、atom, ink, academy, type, melon, tragedy, rheumatic 等、良かれ悪しかれ我々に関係の深い語がたくさんあります。

ギリシャ語がラテン語に入るときには、一定の法則による変形を受けました。

例えば、ギリシャ語の <u> はラテン語の <y> となり、<k> は <c> となり、その <c> は後に [e] または [i] という発音の前では [s] と読まれるようになりました。

ギリシャ語の kuklos がラテン語で cyclus となり、それが英語で cycle となっているのは、この法則によるものです。

ところが、ここにもまた例の復古思想(記事はこちら)が作用して、なるべく綴り字をギリシャ語に近づけようとする傾向が現れました。

「シネマ」に対して「キネマの天地」など「キネマ」があるのは、cinema よりも kinema の方がギリシャ語に近いという pedantic な思想から生じた混乱でしょう。

Fowler は、これは cinema-tograph の略だから当然 cinema と言うべきであり、またそのほうが more handy だと言っています。


posted by 石崎 陽一 at 00:00 | Comment(0) | 語彙の学習・指導 | 更新情報をチェックする

2014年01月12日

Renaissance とラテン借用語(その3)


img20090125152406.jpg



古典崇拝の結果は、かつてフランス語から採り入れた言葉の綴りをも、ラテンの語源が判明すると、またラテンの形に逆戻りさせるという pedantic な傾向を生みました。

debt や doubt の <b> は、フランス語から借用したときは入っていなかったのでしたが、その語源が debitum, dubitum だとわかると、それにあやかるために、わざわざ <b> を入れて綴りを難しくしてしまいました。

この場合は、綴りが変わっただけで、発音の方では <b> は今でも silent ですが、perfect の <c> や、fault, assault の <l> や、hamble, hospital などの <h> は、単に綴字上挿入されただけでなく、遂にはそれが発音されるようになりました。

こうした衒学的傾向が行き過ぎた結果、しまいには advance, advantage の <d> や、scent, scissors の <c> のように、語源上根拠のない綴字まで挿入するという、滑稽な誤りを犯すに至りました。

すでにフランス語から入っていた語が、後に再びラテン語から、異なった形で借用され、それらが doublet(二重語)をなしているものもあります。

sure と secure; blame と blaspheme; poor と pauper; abridge と abbreviate などがそれで、いずれも綴字の短いほうが、フランス語経由です。

フランス借用語の場合と同じく、ラテン語と元来の英語との間にも、多くの synosyms ができました。

fatherly と paternal; heavenly と celestial; hidden と latent; manly と masculine などがこれで、前が英語、後がラテン語です。

この最後の組には、もう一つ、フランス借用語の male が仲間入りをします。これに対して、女性側には womanly, womanish (英語), feminine (羅語), female (仏語)という組み合わせがあります。

この後の二つの差については、

1.female は人間以外についても言われるが、feminine は人間のみに使われる。

2.female は元来名詞だったのが形容詞的にも使われるようになったものだが、feminine の方は純粋な形容詞である。

3.female education は「女子」の教育、feminine education は「女性的教養」を与える教育、というような違いがある。

そういうことが Fowler の Modern English Usage に書いてあります。


posted by 石崎 陽一 at 00:00 | Comment(0) | 語彙の学習・指導 | 更新情報をチェックする

2014年01月11日

Renaissance とラテン借用語(その2)


img_e1d3f6db217ade5cde5cd0b5d3bfa943619767b5.jpg



ラテン借用語の中には、今日我々日本人の生活にも必要不可欠な語となっているものが多いです。

plus, minus, lens, antenna [ænténə], circus, bus (omnibus), bonus, alibi, series 等々。

英語の語彙中、ラテン語から入った語を抽出して、その数を調べることは、借用の経路が複雑であるために困難です。

しかし、逆に、ラテン語の辞書にある単語がどのくらい英語に入っているかを調べることは、それほど困難ではありません。

ある人の調査によると、だいたいその4分の1は英語になっているということです。

ドイツ語や何かと違う英語の難しさは、経験上、だいたいこの辺にあるように思われます。


posted by 石崎 陽一 at 00:00 | Comment(0) | 語彙の学習・指導 | 更新情報をチェックする

2014年01月10日

Rennaisance とラテン借用語(その1)


img20090126201338.jpg



英語にラテン語が初めて入ったのは、Anglo-Saxons がまだ大陸にいた頃のことであり、

その次に入ったのは、6世紀末、キリスト教が英国に伝えられたときのことです。

フランス語は、ラテン語の流れをくむ言語ですから、フランス語を借用したこともまた、間接にラテン語を借用したことになります。

しかし、昔の、書かれたラテン語から、意識的に、ラテン語を採り入れたのは、Renaissance 以来のことです。

Renaissance における、古くてしかも新しい思想を盛るためには、新奇の言葉が必要であり、その必要を満たすには、ラテン語あるいはギリシャ語を借用するのが一番手近な方法だったのですね。

こうして Renaissance に端を発したラテン語の借用は、その後も引き続き行われ、途中、幾分の消長はありましたが、この傾向はずっと今日にまで続いています。

posted by 石崎 陽一 at 00:00 | Comment(0) | 語彙の学習・指導 | 更新情報をチェックする

2014年01月08日

同義語の由来


img20090123230622.jpg



英語学習者が誰でも苦労することの一つは、読んでも読んでも、後から後からと、未知の単語が出てくることでしょう。

こんなにも語彙が豊富なのはいったいなぜでしょうか。

続きを読む
posted by 石崎 陽一 at 00:00 | Comment(0) | 語彙の学習・指導 | 更新情報をチェックする
ページトップへ戻る