2017年12月17日

サンスクリット語と日本語、英語の意外な関係


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サンスクリット語とは?


サンスクリット語は古代インドで用いられた文章語です。

古代文明の発祥地として高い文化を享受していたインドは、殷文明を誇った中国の民族と昔から通商などを通じての交流がありました。

仏教もまたインドから中国に伝えられたものです。

したがって、中国語にはサンスクリット語の外来語が豊富にみられます。

日本語とサンスクリット語の関係は?


サンスクリット語は、日本では梵語と呼ばれることが多く、大体は中国を経由して日本語に入っています。

仏教関係の言葉が圧倒的に多いです。

日本語に入ったサンスクリット語の例は?


ここでは主として今でもよく使われている梵語起源の日本語を挙げましょう。

難読と思われる語には読み仮名を添えます。


閼伽、阿闍梨(アジャリ)、痘痕(アバタ)、阿弥陀、韋駄天、優曇華(ウドンゲ)、盂蘭盆、閻魔、和尚、伽藍、瓦、袈裟、金毘羅(コンピラ)、三昧、支那、釈迦、娑婆、舎利、刹那、禅、卒塔婆、荼毘(ダビ)、陀羅尼(ダラニ)、達磨、塔、奈落、涅槃(ネハン)、鉢、般若、仏陀、菩薩、菩提、曼荼羅、夜叉(ヤシャ)などなど


中には日常用語として使われているものもあり、仏教文化がどれだけ国民の各層にしみこんだかを物語っているものと考えられます。

サンスクリット語と現代英語との関係は?


実は、寺や僧に金品を寄付する人を指す「檀那、旦那」もサンスクリット語に由来すると言います。

「檀那、旦那」という日本語は、もとを正せば、「布施」を表す dāna(原義は「与えること」)から来ているとのこと。

ところが、中国や日本では、「檀那、旦那」というと、「布施を与える人、施主、仏教の後援者」を指す言葉になりました。

(ちなみに、「布施をする人」を意味するサンスクリット語は dāna-pati です。pati は「主」を表します。)

そして、この dāna(与えること)はさらに「与える」を表す語根 dā にさかのぼります。

この語根 dā からは現代英語の donate(寄付する、寄贈する), donor(臓器提供者)などが生まれています。

公共の機関などに金品を「与える」のを donate と、臓器を「与える」人を donor と、英語では呼び慣わすに至っているわけですね。

また、文法用語の dative(与格)や、綴りは少し異なりますが「寄付する」の意の endow [indau] も同根です。


(追記1)

横井忠男『外来語と外国語』(現代ジャーナリズム出版会、1973年、p.10)より引いておきます。

梵語すなわちサンスクリットは、東洋系の言葉のように思われがちですが、実施兄は、ギリシャ語・ラテン語や大部分の近代ヨーロッパ語と同じく、印欧語族の一派に属し、比較言語学上非常に重要な位置を占めています。


(追記2)

新村出『外来語の話』(教育出版、1976年、p.67)より引いておきます。

漢訳仏経を経て日本に入ってきた印度の古語が非常に多いことは、今さら言う必要もないくらいで、その数量は、おびただしきに上り、その性質も、極めて重要な価値を持っているものが多いのである。(中略)梵語の「梵」というのも、これは印度全般の名称のように使われてきているが、実は「婆羅門」すなわち Brāhman を音訳したものであって、印度の婆羅門種族のみを指したものであった。それを「梵天」などと称して尊称としていたから、本来はそういう狭い意味であったものが、広く古代印度の敬称のように発展してしまったのである。


(追記3)

その他、本記事を執筆するのに以下の文献を参照しました。

中村元 編『仏教語源散策』
(東書選書、1977年、pp.193-4)

田中建彦『外来語とは何か』
(鳥影社、2002年、pp.162-4)

新村出『外来語の話』
(教育出版、1976年、pp.72-3)

楳垣実『日本外来語の研究』
(研究社、1963年、pp.42, 45)


(追記4)

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posted by 石崎 陽一 at 16:26 | Comment(0) | 語源の話 | 更新情報をチェックする
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