2017年08月08日

「否定要素の前置に伴う倒置の原則」と「文末焦点の原則」の折り合いについて


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基本5文型その他で学習したように、英語は語順がきちんと決まっている言語なので、主語と述語動詞の順を逆にするのにも、一定の決まりがあります。

何らかの理由で、主語(S)と述語動詞(V)の順が逆になることを倒置(語順転倒)と言います。

疑問文を作る際や「There is 構文」などでも倒置は見られますが、以下、これ以外に倒置が行われる代表的な場合を記します。

否定語(句)を文頭に出す場合


否定の意味を持つ副詞(句・節)を文頭に出すことがあります。

これは、

どの部分が否定の対象になっているかをはっきり示すため

です。

このとき、後ろは Yes/No 疑問文と同じ語順となります。

例を見てみましょう。


Never have I seen such a beautiful bird.
(私はこれまでにこんな美しい鳥を見たことがない)



never を文頭に置いて「一度もない」という否定の意味を強調しています。

後続要素が have I seen と、Yes/No 疑問文と同じ語順になっている点に注意。


なお、ここで強調しておきたいのは、

否定語の前置に伴う倒置は世間で言われるような「強調」を目的としたものではない

ということ。

否定の意味を持つ副詞(句・節)を文頭に出し、語順を転倒させるのは、

どの部分が否定の対象になっているかをはっきり示すため

なのでしたね。

(まぁ強いて言えば、どの部分が否定の対象になっているかを明示するという点で「強調」と言えなくはありませんが、きわめてミスリーディングな言い方だとわたしは思います。)


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as, than 節において倒置(語順の転倒)が行われる場合


There the men wear skirts as do the women.
(そこでは、女性と同様、男性もスカートをはいている)

Mary knew Tom better than did the others.
(メアリーは、他の誰よりも、トムをよく知っていた)



このように比較を表す as や than の節において主語と代動詞が倒置する場合を『英文法小辞典』(北星堂、1991年、p.132)は

文体的倒置

に分類し、

頭でっかちになるのを避け、文(節)の均整をとるために用いられる

と述べています。

つまり、本記事の冒頭で示した「否定要素の前置に伴う倒置の原則」とは異なる原理が働いているのですね。


なお、


Science sometimes simplifies things by producing theories that reduce to the same law phenomena previously considered unrelated − thus clarifying our understanding of the apparent complexity of the universe.(2011年・東大)


の下線部におけるような、いわゆる「SVOM ⇄ SVMO」型の倒置も文体的倒置に分類されます。

文体的倒置には、もちろん、文末焦点の原則が働いています。


posted by 石崎 陽一 at 12:20 | Comment(0) | 文法・語法ノート | 更新情報をチェックする
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