2017年08月08日

強調効果を生み出す − 語順の転倒


xt2a9610.jpg



日本語は、「が」や「を」といった助詞があるおかげで、単語の配列はかなり自由です。

例えば、

「その熊がその男性を襲ったんだ」



「襲ったんだよ、その男性を、その熊が」

などと語順を変えて言うことが可能です。


一方、英語には助詞がありません。

正しく意味を伝えるためには、単語の配列(語順)が大切になります。

The bear attacked the man.

という文を

Attacked the man the bear.

と言っても意味をなしませんし、

The man attacked the bear.

とすると、意味が全く逆になってしまいます。

「その熊が(the bear)」「襲った(attacked)」のように、英語では

主語の次に述語動詞を置く

のが普通の語順であり、この

普通の語順を変えるのは、決まった場合に限られる

のですね。



pf020087.jpg



私たちになじみ深いのは、疑問文をつくるときでしょう。


The bus was late. → Was the bus late?

The bus came late. → Did the bus come late?



こんなふうに、普通の語順が疑問文の語順になることを

語順の転倒

と呼んでいますが、実は、この語順の転倒は疑問文をつくるとき以外にも起こります。

次の例をご覧ください。


(1)I never dreamed of that.

(2)Never did I dream of that.


どちらも「今までそのことは夢にも思わなかった」という意味を表しています。

しかし、(2)は、never という否定語で文が切り出されているため、続く部分に語順の転倒が生じています

(2)の下線部が疑問文でもないのに疑問文の語順になっているのは、それが理由です。

別の例を見てみましょう。

「not only A but(also)B」(AだけでなくBも)という表現が使われています。


(3)The bus was late as usual. It not only came late, but today it broke down.

(4)The bus was late as usual. Not only did it come late, but today it broke down.


双方とも「バスはいつもどおり遅れた。遅れて来ただけでなく、今日は故障もしたんだよ」という内容を伝えています。

ところが、(4)では、(3)の文中にある not only という否定語句が文頭に出され、それに伴い、語順が転倒しているのがわかります。

このように、疑問文ではないのに語順の転倒が生じている場合、混乱しやすく、意味をとりにくくなるので、注意が必要です。

しかし、そもそも、なぜ、正常な語順をあえて変えるのでしょうか?



xt2a9600.jpg



それは、(3)〜(4)の例の場合、not only で文を始め、後続する部分に(疑問文でもないのに)語順の転倒を起こすことで、

not が否定するのは only なのだ

ということを明確にするためです。

そうやって

どの部分が否定の対象になっているか

をはっきりと示し、聞き手の注意を引きつけているわけです。

結果として、

文全体に強調効果を生み出す

ことにつながるのですね。


なお、「not only A but(also)B」(AだけでなくBも)という表現は、話し手がAよりもBのほうに重きを置いているときに用いる言い方です。

Aには話し手が「言うまでもないこと」として挙げる例が、Bに話し手が言わんとする内容がそれぞれ盛り込まれることまで押さえておくと、英文における情報の軽重や流れを的確にとらえることができるでしょう。


それでは、また。


(追記)

「語順の転倒」は「倒置」とも呼ばれます。


posted by 石崎 陽一 at 12:20 | Comment(0) | 文法・語法ノート | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。
ページトップへ戻る