2017年03月25日

事実ではなく「想念」を表す動詞のモード:仮定法現在


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まず最初に、「仮定法」という用語について確認しておきましょう。


仮定法は subjunctive mood を訳したものですが、少し前の文法書では subjunctive mode という用語も用いられていました。

この mode(やり方、方法)という語は日本語でもモードというカタカナ書きで使われるようになりました。

例えば、この記事を書いているパソコンには文字の入力モードがいくつかあります。

ひらがな入力モードや半角英数入力モードなどです。

またエアコンなどには消費電力を節約するための、プリンターにはインクを節約するためのエコノミーモードがついています。

入試を控えた中高生は受験モードに入っています。

こんな具合に、です。

いずれも普通とは違う「使い方」ですけれども、仮定法もこれと同じと考えてください。

すなわち、事実を事実として述べる普通の表現方法(直説法)とは異なり、

仮定法とは「頭の中のこと」「想念」を述べるのに用いるモード(動詞の形)ということなのですね。



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I insist that she leave at once.


Talmy Givón, English Grammar: A Function-Based Introduction, Volume U(John Benjyamins, 1993, p.275)より拝借した上の例文、

she という主語に対して leave という動詞の原形がきていても誤りではありません。

これはこの文全体の動詞が insist(求める)であり、この動詞に続く中身の部分(that 以下の内容)は要求した時点ではまだ現実になっておりません。

すなわち、要求内容というのは「事実」ではなく、「想念」である。

そのことを文法上で示すために用いられているのが leave という動詞の原形であり、このような動詞の原形の使い方を仮定法現在と呼んでいます。

このように、英語では、モード切替によって、すなわち、動詞の形を通して、気持ちの機微を伝えることができるというわけですね。


英語を聞くとき、読むとき、仮定法がわかれば、話し手の気持ちが実感をもって理解できます。

英語を話すとき、書くとき、仮定法が使えれば、自分の気持ちを正確に伝えることができます。

学んだことを、ぜひ実践でも利用してみてください。


それでは、また。


(追記)

たとえば Bergen Evans and Cornelia Evans, A Dictionary of Contemporary American Usage(Random House, 1957, pp.483-6)が subjunctive mode という項目を立てて英語における「法」を解説しています。


posted by 石崎 陽一 at 16:11 | Comment(0) | 文法・語法ノート | 更新情報をチェックする
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