2017年02月19日

何らかの理由で本来の姿かたちを失った物を表す(その2)


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『攻略! 英語リスニング』2015年4月号、Lesson 1 Chili con carne には、チリコンカンにまつわるさまざまな食物を表す名詞が登場します。


It's a spicy stew, usually with beef..., chili peppers, and beans. I usually add garlic and onions. Sometime a bit of cumin. Some people put grated cheese on top, sour cream maybe, and they eat it with crackers or corn chips or tortillas.


...back in the 19th century people combined dried beef, fat, salt and pepper, and chili peppers in chili bricks, which they added to boiling water.


先の記事で、

ある名詞が可算か不可算かは語によって決まっているのではなく、原形を留めているかどうかが可算名詞と不可算名詞の違いとして表れてくる

のだと述べましたが、この点から上例を眺めてみましょう。


−−−−−−


chili peppers, beans, crackers, corn chips, tortillas は可算名詞として複数形で使われていますので、このことから、材料として丸ごと複数個が用いられることがわかります。

また、cheese や fat などの固体、water や sour cream という液体、salt, pepper, cumin といった調味料は一定の大きさや形がないため、不可算名詞として扱われています。

それは food, meat, beef も同様です。

garlic もみじんに刻まれ元の姿をとどめていないためでしょう、不可算名詞として使われています。

なお、タマネギもみじん切りにして用いますので、不可算名詞として扱いonionとなるところですけれども、複数個刻んだものという意識で、ここでは、例外的に、onions という複数形が使われています。

これは「加工前の複数」と呼ばれる異例の用法です。


(追記1)

「加工前の複数」という呼称は樋口昌幸『[例解]現代英語冠詞事典』(大修館書店、2003年、p.30)に見られる言い方です。

同書は mashed potato(es) や grated carrot(s), scrambled egg(s) のほか、almond(s) のように

小さくきざまれて姿かたちが失われるにもかかわらず複数形をとる

例を挙げ、このような例で複数形が用いられる場合があるのは

きざまれたり混ぜられたりしたのは複数個のニンジンや卵であったことを明示的に表すため

だと述べ、明快です。


(追記2)

中山仁『ことばの基礎1 名詞と代名詞』(シリーズ 英文法を解き明かす − 現代英語の文法と語法@;研究社、2016年、pp.125-8)では「気になる名詞の単複とその用法」として chopped onion(s), sliced tomato(es), diced carrot(s) などの語法について詳述されており、たいへん有益です。


(追記3)

関連記事はこちら。

chili pepper と chili peppers


posted by 石崎 陽一 at 20:49 | Comment(0) | 文法・語法ノート | 更新情報をチェックする
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