2017年02月12日

配分複数と配分単数


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中山仁『ことばの基礎1 名詞と代名詞』(シリーズ 英文法を解き明かす − 現代英語の文法と語法@;研究社、2016年)を読み進めています。

英作文の授業準備に重宝する場面も多そうだなと感じました。

配分複数と配分単数について、『上掲書』(pp.115-8)に基づいてまとめておきます。


−−−−−−


Our daughters are doctors.

の doctors は、主語である our daughters の一人ひとりが「医師」(a doctor)であることを表します。

そのような一対一の対応関係が複数当てはまるので複数形が用いられます。

かような場合の doctors を専門用語で配分複数(distributive plural)と呼んでいます。

この配分複数は、上のように、補語の位置にだけ生じるものではありません。

次のように、目的語の位置に生じる例もあります。

a.Have you all brought your cameras?

b.Hand in your papers next Monday.


これは、それぞれ、

a'.Each has a camera.

b'.Each has to hand in one paper.


という内容を伝えています。

このような文では配分複数を用いるのが普通です。

しかし、個々の対応関係に焦点を当てた場合は目的語の名詞句が単数となることもあります。

この場合の単数を配分単数(distributive singular)と呼んでいます。

次の各文は配分複数と配分単数の両方が可能とされます。

c.The students raised their hand(s).

d.We smell with our nose(s).


ただし、どちらかと言えば配分複数が普通です。

特に「their +名詞」や「our +名詞」を使った表現では配分複数がよく使われる傾向が強いようです。


(追記1)

江川泰一郎『英文法解説』(金子書房)の改訂三版(1991年、p.16)は配分複数、配分単数の用語こそ出さね、数に関する語法上の注意として「単数と複数の使い分け」を立項し言及しています。この程度の扱い方がほどよいと個人的には感じています。

なお、『英文法解説』の改訂新版(1964年、p.12)には

従来の学習文法ではあまり扱われていないが、実際に自分で英語を書いてみると、誰しも一度は迷う問題である

との文言が見られましたが、改訂三版では削除されています。

また、『英文法解説』の初版(1953年、pp.26-30)には「単複数形に関し注意すべき事項」という項目は立てられていますけれども、いわゆる配分複数、配分単数に関してはまだ言及はありません。


(追記2)

Children put things in their mouth.

という英文に関し、Bergen Evans & Cornelia Evans, A Dictionary of Contemporary American Usage(Random House, 1957, p.456)は次のように述べています。

During the nineteenth century the use of a plural noun(中略)in this construction was considered unliterary. But in the United States today, many people prefer to say children put things in their mouths.


either construction is acceptable today. There is no difference, in meaning or in tone, between them.

また、配分複数の用例が the King James Bible から文証されています。


posted by 石崎 陽一 at 16:49 | Comment(0) | 文法・語法ノート | 更新情報をチェックする
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