2015年02月07日

時・条件の副詞節における will の不使用について − 歴史的観点から


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慶應大学の堀田隆一先生が運営されている「hellog〜英語史ブログ」は日頃から多くを学ばせていただいているウェブサイトです。

時・条件の副詞節における will の不使用について、その質疑応答欄でのやりとりに興味を引かれました。

備忘のため書き留めておきます。


質問

私は中高生に英語を教えているのですが、未だに「なぜif節等では未来形ではなく現在形を使う」のかがいまいちよく分かりません。歴史的にはどのような説明がされるのか、ご教示お願いできますでしょうか。


回答

時・条件の副詞節における will の不使用について歴史的に正確に説明しようとすると厄介なところもありますが、大筋としては以下の通りです。古い英語では問題の副詞節に現われる動詞の形態は、直説法ではなく仮定法の現在で表されていました。例えば、if it be fine tomorrow のようにです。近代英語期以降、仮定法が衰退し形態的に直説法に吸収されていくと、前述の節は if it is fine tomorrow となりました。したがって、当初から問題の節内で助動詞 will が用いられるということは一般的ではなく、動詞は現在形(ただし「仮定法」現在)が普通だったということです。

現代の共時的な観点からは「未来の出来事として will が用いられるべき副詞節内であるにもかかわらず will が現われないのはなぜか」という問題意識が生じそうですが、通時的な観点からは、時・条件の副詞節と will の結びつきは最初から不在だったと述べることができます。歴史的には、上記の問題意識よりもむしろ、仮定法現在がなぜ、どのように近代英語期以降に衰退し、直説法現在に吸収されていったかという問いが重要になってきます。



(追記1)

if 節の中に will が用いられる場合は、will が if 節の主語の意志を表し、主に if you will excuse... の形式をとるときと、if it will(make)... の形式をとるときの二つのタイプがあり、ともに決まり文句になっていると柏野健次『英語語法ライブラリ−ペーパーバックが教えてくれた−』(開拓社、2011年、p.35)は指摘しています。また、後者は if と it の間に you think を補って考えればよいと補足がなされています。

(追記2)

なお、この問題は、その後、以下の記事でフォローがなされています。

時・条件の副詞節における will の不使用


posted by 石崎 陽一 at 11:59 | Comment(0) | 英語史的な説明 | 更新情報をチェックする
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