2014年03月29日

<o> が[ʌ] と読まれる理由


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安井稔『英語とはどんな言語か−より深く英語を知るために−』(開拓社、2014年、pp.116-7)より備忘のため書き留めておきます。


現代英語において [ʌ] 音を表す最も普通な字母は u である。たとえば、but, up, cut など。ところが、u 以外にも [ʌ] 音を表す字母がある。o である。たとえば son, some, love などである。ここで、字母 o が [ʌ] 音を表す語を重いだすままに拾ってみることにしてみよう。ton, tongue, among, money, none, done, glove, front, month, sponge など。ここまで並べると、何か気づくことがあるかもしれない。

そう、[ʌ] の音価をもつ字母 o の前か、あと、あるいは両方に字母 m か n, あるいは v が生じていることである。これは理由のあることであった。まず、これらの語における字母 o は、本来、字母 u であったのである。これらの語の場合、字母 u を筆記体のローマ字 u のように書くとミニム(minim)の長い連続体が生ずることになり、判読不可能となりかねない状態にあった。(ミニムというのは、ローマ字の筆記体で上から下へ引く1本の棒のことをいう。m にはミニムが3つある。)この苦境を避けるため考案されたのが、こういう環境にあった u の上部を閉じるという書記法上の工夫であった。o が[ʌ] と読まれる語を探そうとするなら、前後に n, m を含む語を探せということになった次第である。

なお、字母 u が[ʌ] と読まれず、[u] と読まれる語もいくつかある。bull, put, pulpit(教会の説教壇), pull, bullwork(重労働)など。いずれも直前にある両唇音 [p, b] によって[ʌ] への変化をはばまれたものである。



(追記)

宇賀治正朋『英語史』(開拓社、2000年、p.187)は上記 none と no(形容詞)との関係について、

両者は an と a, mine と my, thine と thy と同じ関係にある。各ペアの最初のメンバーが基本形で、後のメンバーは基本形から -n が落ちてできた派生形である。

と述べたのち、none と no の発音の分化についても記しています。


posted by 石崎 陽一 at 14:42 | Comment(0) | 発音・アクセント・文字(の指導) | 更新情報をチェックする
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