2014年01月22日

多義語の覚え方(その4)


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ここで、fast と同じような語義構造を持つ語の例をもう一つ挙げてみましょう。


board に例をとれば

board は本来の意味は「板」です。

この原意は今もなお用いられており、専門用語としては幅が4½インチで厚さが2½インチを越えない板を指します。

この板の意味は bulletin board(掲示板), blackboard(黒板), ironing board(アイロン台), diving board(飛び込み台), chessboard(将棋盤), drawing board(製図板)などの語に見られます。

また、本の装丁を言う場合、表紙がボール紙のときは(bound)in boards と言いますが、これは本の表紙が薄い板であったときの名残りで、board の実質は時代とともに板からボール紙に変わったけれど、名称だけが昔のまま残っている例です。

よって、ここで用いられている board はボール紙を意味し、これはボール紙を指す語 pasteboard, cardboard の第2要素の中に見られるものと同じです。

また、board(板)は the boards となって、

板からできているもの ➔ 床板 ➔ 劇場の舞台

となり、tread the boards, on the boards は「舞台を踏む、俳優である」の意味になります。

一方、board の原義「板」は、板で作られているものの意からその意味が限定され、特に「テーブル」を意味するようになりました。

ひとたびテーブルを指すようになりますと、テーブルの上またはテーブルを囲んでなされるいろいろな事柄を述べるのに用いられるようになります。

そこからテーブルの意味が2つの異なった方向に分化、発展し、次のような意義の推移をします。

1.テーブル ➔ @テーブル上の食物 ➔ A食事

2.テーブル ➔ @相談・討議のためテーブルを囲んで座る人々 ➔ 相談・討議する一団の人々、委員(理事会・重役会・評議員会など)

以上挙げた fast および board は1つの語が本来の古い語義を保存するとともに、新しい語義を発展させ、さらにそれからいくつかの新しい語義を発展させる場合でした。

多義語で複雑な語義構造を持つものにはこの種のものが多いです。

よって、この種の語の意味を正しく知るには、語源までさかのぼりその後の原義をつきとめ、その後の意味の発展過程を見極める必要があるというわけです。


posted by 石崎 陽一 at 06:59 | Comment(0) | 語彙の学習・指導 | 更新情報をチェックする
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