2014年01月20日

多義語の覚え方(その2)


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さて、ここで英和辞典で fast(形容詞)の項にある、異なった語義を調べてみましょう。

@固着した、しっかりした
A忠実な
B長持ちする、色褪せない
C(眠りが)浅い
D速い、敏速な
E身持ちの悪い、すさんだ

以上が fast(形容詞)に見られる語義です。この6つの異なった語義を、最初に述べた fast の2つの基本的語義「しっかりした、不動の」と「速い」を基準に整理してみましょう。


原義からの整理が必要

歴史的には「しっかりした、不動の」が最初の語義であることはすでに触れました。

この根本的意味は上記訳語の@にあたり、Make sure the rope is fast. や The door is fast.(戸がしまっている), a fast hold on a rope(綱をしっかりつかむこと)などの fast に見られます。

この古い語義は英国の方言にも残っていて、His finger was fast in the window.(彼の指は窓にはさまれた)などの fast の用法にも見られます。

Aの語義は@の語義の比喩的な適用で、主に人について用いられ、「しっかりした、不動の」の意味から「節操の固い」「忠実な」の意味になります。a fast friend(忠実な友), fast friendship(変わらぬ友情)

Bの語義も@からの派生で「しっかりとついていて容易に落ちない」の意味です。fast colors(不変色)

Cも「しっかりした、不動の」が原義で「しっかりとした(眠り)」 ➔ 「深い(眠り)」となります。

Dの語義は今日もっとも一般的なものですが、それが@から別途発達したものであることはすでに述べました。

EはDの発展です。生活態度が落ち着かず、次から次へと刺激を求めて飛び歩くような、そういう速さがこの語義の裏にあります。

よって、a fast woman, a fast man はそういう態度の男女を指し、「不身持ちの女、放蕩児」の意味となり、fast society はそういう人たちの仲間を指すことになります。

また、lead a fast life はそのような生活をする意味に用いられます。

fast の本来の意味は “firm” ですが、a fast liver(放蕩児)は a loose liver とほとんど同義語であることを考えるとき、fast = loose となり、他の場合にはまったく相反する意味を持つ両語が、この場合、同じように使われてさえいるわけです。

以上は fast が形容詞である場合ですが、副詞の場合も同様に考えれば容易でしょう。


posted by 石崎 陽一 at 06:30 | Comment(0) | 語彙の学習・指導 | 更新情報をチェックする
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