2014年01月19日

多義語の覚え方(その1)


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私たちが英語の辞典を引いてまず当惑するのは、一つの語が、語によっては、実に多くの語義を持っているという事実を知るときでしょう。

しかも、語によっては、一見するところまったく正反対の意味を持っているものもあり、一体なぜそんな相反する語義が一つの語の中にあるのだろうかと考えてしまいます。

たいていの人々はその一見相反する語義間の相違を深く追求することもなく、ただ納得のいかないままにしゃにむに覚え込むのでしょうが、実はそういう場合においてさえ、意味の変化の仕方を知ることによって、もっと能率的に単語の持つ異なった意味の相違を知ることができるのです。


語義はいかにして派生したか

まず一つの語が一見するところ、正反対の語義を持っている例として fast を考えてみましょう。

fast にはどんな辞典を引いても「速い」という意味と「しっかりした、定着した」という意味が必ず見いだされるはずです。

a fast action や a fast Internet connection などの fast は「速い」という意味ですが、

Make sure the rope is fast. や Make the door fast. などの fast は動作の素早さを言うのではなく、「動かずに、しっかりした」という意味で、上の文はそれぞれ「ロープがしっかり固定しているか確かめなさい」「戸締まりをしなさい」の意味を表すのですね。

なぜ同じ語の中にこのように正反対の意味が生じたのでしょうか。

それをここで考えてみたいと思います。



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fast の本来の意味は “firm”(しっかりした、不動の)です。

動かずにしっかりとしている状態を最初は fast と言ったのですね。

よって、stand fast は「動かずにじっとしている」の意味であり、この fast の「しっかりした」の意味はここでは状態を表すのに用いられていますが、

これが例えば follow fast のように動作を表す動詞につけば「(人に遅れないように)しっかりとついて行く」というような意味になるわけです。

fast は「しっかりした」が原義ですから、例えば2時間がんばって立っているとして、そのがんばり方を fast と言えば、2時間がんばって足の速い人について行くそのがんばり方も同じく fast と言えることになります。

そこで、相手に遅れまいとして「しっかり」ついていくことは、もしその相手の歩行あるいは走り方が速い場合には、「しっかり」=「速く」の意味に移行します。

すなわち、「しっかりした」の意味がはじめは状態を述べるのにだけ用いられたものが、動作にまで発展したわけで、これが今日 fast が「速い」という語義を持つに至った次第です。


posted by 石崎 陽一 at 07:58 | Comment(0) | 語彙の学習・指導 | 更新情報をチェックする
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