2014年01月12日

Renaissance とラテン借用語(その3)


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古典崇拝の結果は、かつてフランス語から採り入れた言葉の綴りをも、ラテンの語源が判明すると、またラテンの形に逆戻りさせるという pedantic な傾向を生みました。

debt や doubt の <b> は、フランス語から借用したときは入っていなかったのでしたが、その語源が debitum, dubitum だとわかると、それにあやかるために、わざわざ <b> を入れて綴りを難しくしてしまいました。

この場合は、綴りが変わっただけで、発音の方では <b> は今でも silent ですが、perfect の <c> や、fault, assault の <l> や、hamble, hospital などの <h> は、単に綴字上挿入されただけでなく、遂にはそれが発音されるようになりました。

こうした衒学的傾向が行き過ぎた結果、しまいには advance, advantage の <d> や、scent, scissors の <c> のように、語源上根拠のない綴字まで挿入するという、滑稽な誤りを犯すに至りました。

すでにフランス語から入っていた語が、後に再びラテン語から、異なった形で借用され、それらが doublet(二重語)をなしているものもあります。

sure と secure; blame と blaspheme; poor と pauper; abridge と abbreviate などがそれで、いずれも綴字の短いほうが、フランス語経由です。

フランス借用語の場合と同じく、ラテン語と元来の英語との間にも、多くの synosyms ができました。

fatherly と paternal; heavenly と celestial; hidden と latent; manly と masculine などがこれで、前が英語、後がラテン語です。

この最後の組には、もう一つ、フランス借用語の male が仲間入りをします。これに対して、女性側には womanly, womanish (英語), feminine (羅語), female (仏語)という組み合わせがあります。

この後の二つの差については、

1.female は人間以外についても言われるが、feminine は人間のみに使われる。

2.female は元来名詞だったのが形容詞的にも使われるようになったものだが、feminine の方は純粋な形容詞である。

3.female education は「女子」の教育、feminine education は「女性的教養」を与える教育、というような違いがある。

そういうことが Fowler の Modern English Usage に書いてあります。


posted by 石崎 陽一 at 00:00 | Comment(0) | 語彙の学習・指導 | 更新情報をチェックする
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