2013年11月30日

語の結びつき方の解釈


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実際の場合、語は決して単独に用いられるものではありません。

いつも他の語と何らかの関係において結びついています。

よって、文を正しく理解するためには、この結びつき方のもつ意味をはっきり知っていることが必要です。

ある言語において、語句の結びつき方の習慣を広く体系的に述べたものが文法ですから、

解釈にあたっても文法の知識が重要であることはいうまでもありませんが、

理解という立場から考えますと、

単なる文法の知識だけでは解決できないいろいろな問題にぶつかるわけですね。

ここでは語の結びつき方の解釈について、特に注意すべき場合を二、三挙げてみます。

Lucy is an angel of a girl.
(ルーシーは天使のような女の子だ)


文字通りには「女の子の天使」ですが、この場合、angel of a = angelic と考えて結構です。

日本語でも「兄さんのばか」(ばかな兄さん)などと言いますね。

この of は material, substance(材料、内容)を表す of から出た用法で、

in the person of, in the form of の意味に使われています。

a palace of a house(宮殿のような家)や a mountain of a wave(山のような波)など、類例はたくさんあります。

なお、関連記事はこちらをクリック

また、慶應大学の堀田隆一先生が運営されている「hellog〜英語史ブログ」でもこちらの記事こちらの記事とで扱われており有益です。

Tom's expression was indicative of his anger.
(トムの表情には怒りが表れていた)


「be 動詞+形容詞(+ of)」の固まり=動詞

と考えることのできる場合が多いです。

この文は Tom's expression indicated.... と考えるといい。

The girl looked at me with a look expressive of surprise when I spoke to her in Japanese.
(日本語で話しかけたらその子は驚いたような表情で僕の方を見た)


この例のように be 動詞がない場合には「形容詞+ of」は現在分詞と同じように考えることができます。

すなわち、a look expressing surprise と考えます。

これは次のように考えれば先の例と同じになります。

a look(which wasexpressive of surprise
= a look which expressed surprise


(追記1)

大塚高信『英文法の知識』(三省堂、1956年、pp.35-6)は

a fool of a man(= a foolish man)のような言い方の of も同格の of と見てよかろう、とし、

この言い方では、文法的に見ての主要語は fool で of a man は修飾語であるが、意味の上では man が主要語で fool of が形容詞に相当する。これは a number of (= numerous) people や these kind of books などと平行する形式と意味との食い違いの例である

と注をつけています。


(追記2)

井上和子・山田洋・河野武・成田一『現代の英文法 第6巻 名詞』(研究社、1985年、pp.553-8)では「形容名詞」という項目のもとに詳述があります。


(追記3)

また、吉川美夫『新英文解釈法』(文健書房、1957年、pp.325-8)では「A of B」の項の下で詳述がありますが、この他にも、something of a success(= to some extent)のように ‘(代)名詞 of 名詞’ の形の句で、(代)名詞の方が、程度の副詞に相当する意味になることがある場合に言及しています。なお、山崎貞『新々英文解釈研究 第九訂版』(1979年、pp.34-8)にも言及があります。

また、吉川美夫『英文法詳説 増補改訂版』(文建書房、1955年、pp.479-85)でも詳しく扱われています。


(追記4)

吉川美夫『新英文解釈法』(文健書房、1957年、pp.177-9)にも ‘形容詞+ of’ の便利な場合として詳述があります。

名詞を修飾する場合には、‘形容詞+ of’ を名詞の直後に置けば、そのまま名詞に結び付く。動詞の形を用いれば、関係代名詞を用いねばならないであろう。また、同格的補語としても用いられるから、この形の方が便利である。

1.He gave a long dismal whistle indicative of surprise and dismay. − Dickens, Old Curiosity Shop(彼は、驚きとろうばいを示す長く引いた陰気な口笛を鳴らした)

2.She slept upon her couch, forgetful of her homelessness and orphanage. − Id., Dombey.(彼女は、自分が家のない身であり、孤児であることを忘れて、寝いすの上で眠っていた)



なお、山崎貞『新々英文解釈研究 第九訂版』(1979年、pp.41-5)にも言及があります。


(追記5)

an angel of a girl や a brute of a man, a mountain of a wave といった「同格の of-phrase による特殊表現」は「ME 後期以後フランス語の影響」であると宮部菊男『格と人称』(研究社、1954年、pp.63-4)の同格属格の項で指摘されています。


(追記6)

金口儀明『現代英語の表現と語感』(大修館書店、1977年、p.249)より引きます。

an angel of a maiden(天使のような乙女)(cf. ein Engel von einem Mädchen)のように不定冠詞+名詞+ of の combination において名詞がその表示する性質によって of の次に来る名詞を形容する表現形式がある。(中略)colloquial な表現に多く見られる。

なお、『上掲書』(pp.93-5)にも立項され詳述されており、95ページでは、「of の前の語に主点があるが、訳語は統合的である」と述べられています。



posted by 石崎 陽一 at 11:08 | Comment(0) | 読解の学習・指導 | 更新情報をチェックする
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