2013年08月03日

英語学習の方向性の正しさに対して確信を抱いた機会のこと


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ここのところ、指導の参考になるかと、自分の学習履歴を振り返っています。

今回は、英語学習の方向性の正しさに対して確信を抱いた出来事について記します。


学部時代のライティングの授業において

research paper の執筆指導を通じ

いわゆる academic writing の基礎を叩き込まれ、

journal writing を通じ

アウトプット量の継続的な確保(多作)を習慣づけられました。

慣れないながらも毎回の課題に必死の思いで取り組み、

その都度いただいたダメ出しを消化し、改善を目指しました。

その甲斐あってか、

大学院の入試(入院試験w)においては

英語圏の有識者から、ずっと日本育ちにもかかわらず、

それまでの学習の成果を認めていただく経験をし、

自信をつけたのを覚えています。

どれほど嬉しかったかは、今でもこのような些事を鮮明に記憶していることからもわかります。



exam.JPG

(クリックすると拡大します)



当時、文学研究科英米文学専攻・博士前期課程の入試科目は

英文学史、米文学史、英語史、古英語、中英語、第1外国語(英文和訳、和文英訳)、第2外国語(独文和訳)

というセットから成り立っていました。

上の写真は、その中でも、私が実際に受けた和文英訳の試験問題を示しています。

かねてより、私は

外国語に訳すというのは単なる単語の置き換え作業ではなく

翻訳作業だと考えていましたので、

この試験に臨むにあたり、


1.内容把握(吟味)
2.和文和訳
3.構造分析
4.英訳
5.内容吟味



というプロセスを大切に、与えられた時間を目一杯使って丁寧に取り組みました。



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初日の学科試験が終わり、2日目の口頭試問の折りのことです。

予想だにしなかったことですが、

1年生のときに Sherwood Anderson, Winesburg, Ohio という連作短編集を半年間読んでいただいた

Joseph S. O'Leary 先生(現 英文学科教授)から次のような言葉を頂戴したのでした。

曰く、

「チェスターフィールド卿」の英訳を初め、君のは背景知識に裏付けられた、平易で自然な英語でなされた良い翻訳だ、今回の試験でこれだけの水準の訳を提出したのは君ひとりだ、文士がパトロンに絶縁状を突きつけた文学史上有名なこの事件がピンときていない答案も残念ながら見られたのだよ云々。

Irish English で excellent translation と言われたその響きが今も私の耳の底に残っています。

あの日の口頭試問における O'Leary 神父のコメントは、

それまでの英語学習の方向性の正しさに対する確信を、私に抱かせてくれた講評でした。


(追記)

件の問題文に記された、文士がパトロンに絶縁状を突きつけた文学史上有名な事件について、渡部昇一『英語学史』(大修館英語学大系13、1975年、p.551)より引きます。

Johnson が辞書を企画したとき、Chesterfield にパトロンとしての支持を求めたが、10ポンド贈ってもらっただけであった。7年後、辞書の完成が近いことを聞いた Chesterfield は World 誌に寄稿して Johnson の功を称えて暗にパトロンになることを申し出た。これに対し Johnson が手きびしい拒絶の手紙を出して、文人とパトロンの関係を絶つという歴史的なことをなした。


posted by 石崎 陽一 at 15:15 | Comment(0) | 思い出話 | 更新情報をチェックする
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