2013年08月03日

要約の技法


要約.JPG



浜田文雄『文章理解の方法』(慶應義塾出版会、1996年)より備忘のため書き留めておきます。


要約というといかにも大層なことをするようだが、たとえば、それを「AはBである」というような短い文に置き換えることができればよい。そうゆう風にまとめることができない部分は切り捨てる。これは一つのゲームのようなものである。文章全体をこのようにして分断して要約した各部分を命題と呼ぶことにする。(中略)このような命題は状況や事実の要約・ある考えの表現・理屈や含意などをコンパクトに表すはずである。(後略)


このようにして作られた各部分の要約つまり命題がそろったら、後はほとんど機械的に、それらをつなげることによって、全体の要約をすることができる。(pp.3-4)


組み上げの作業は、一挙にやるのではなく、互いに因果関係のはっきりした2つの命題を見つけ出して、ペアを作ることからはじめるとよい。(p.38)


最終結論は(中略)その本のどこかに必ず存在する。(中略)普通の本で最終結論を見つけだせないか、複数の結論が示されたまま整理されていない場合には、その本は、完成していないか欠陥のある本である。(後略)

最終結論はたった一行で書くこともできるし、もう少し詳しく数行で書くこともできる。さらに詳しく要約することもできる。要約にはさまざまのレベルがあるから、どの程度に要約するかは、ほとんど技術的な問題である。
(pp.7-8)


一冊の本の中でも(中略)肉付けの部分を賞味することは後回しにする方がよい。読者はまず一冊の本の骨格を自身の手で明らかにした後に、肉付けの部分をゆっくり楽しめばよい。

問題は、文の骨つまり要約された中間命題とこの肉付けの部分をいかに区別できるかである。然し、その心配は無用である。区別ができない場合には、その部分をとりあえず中間命題として残しておけばよい。そうすれば、命題をつなげる段階で、それらははじき出されてしまうだろう。
(pp.11-2)


いかなる命題も、その真・偽が確かめられるものでなければならない。(p.13)


ほとんどの真偽は、議論の多いものとならざるを得ない。(p.15)


ある論文から、そこに含まれる定義および命題を抽出するためには、前置き・解説・例示・反証などのように論文の主張を細くする部分をまず削り落とすことである。これらは文章を豊かにするための肉の部分に相当する。そうすれば、削り落とせなかった部分として、文章の骨格を構成する骨となる定義や命題が見えてくる。(中略)定義や命題の抽出においては、単純化こそが重要であるから、たとえ原著者が拒否しても、思い切った単純化をしなければならない。この単純化は、骨を磨くことによって文の骨格を鮮明にすることである。(pp.16-7)


このようなまとめ方は、やや乱暴にみえるかもしれない。しかし、他者の判断というものは、そういうものである。(pp.35-6)


抽出された定義や命題相互間の結びつきを調べることである。そのためには、ある定義や命題が、他の命題の原因となるものを、探し出さなければならない。それらは、まず任意の2つの命題の間の因果関係として捉えることができよう。(pp.20-1)


完成した文の骨格は、そのまま要約の形になっている。まずこの文のもっともコンパクトな要約は、結論命題そのものである。あるいは(中略)「風が吹けば桶屋が儲かる」式の結論を得るためには、フロー・チャートの末端にある命題と、最終的な結論命題を直接に結び付ける文章を作ればよい。しかし、要約というからにはもう少し詳しいものが求められるのが自然である。そこで、この最終結論としての結論命題に直結する中間命題1、2および3を結論命題と組み合わせた要約文を作ることができる。それは次のような文章になるであろう。すなわち、

「中間命題1であり、中間命題2であり、そして中間命題3である。したがって、結論命題である。」

この文の中間命題および結論命題のところにそれぞれ、該当する文を挿入すれば、それで要約文はでき上がりである。後は、文章をもう少し読み易いように直すだけである。(中略)文の書き手がどのような点に力を入れているか、主張の特徴がどこにあるかを反映しているのであり、むしろそこに書き手のオリジナリティーが現れているものと考えられる。

このようにして、次第に多くの命題を取り込むことで、要約文はより詳しいものとなっていく。
(pp.22-3)


さまざまの要約度の文章を書くことができる。(p.43)


この文章は少しくどいところも残っているが、厳密さを重視した結果として、このような文を書くことが必要である。この文を正確にするということは、全体の正確な理解のため、ぜひとも必要なことである。(p.44)



文章・談話.JPG



続いては、寺村秀夫・佐久間あゆみ・杉戸清樹・半沢幹一『ケーススタディ日本語の文章・談話』(おうふう、1990年)より引きます。


XはYデアル」の「Xハ」の部分は、「Xニツイテイエバ」というように、その文で取り上げる主な事柄(話題)が何かを表している。文章や談話には、主としてどのような事柄について表現するのかを示す部分がある。(p.59)


「ノダ」の類型表現の代表的な意味は「説明」と認められる(p.80)



要約2.JPG



佐久間まゆみ 編『文章構造と要約文の諸相』(くろしお出版、1989年)についてはこれからじっくりと読み込みます。


posted by 石崎 陽一 at 12:27 | Comment(0) | 興味をもったこと | 更新情報をチェックする
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