2013年06月30日

「形容詞飢饉」


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井上ひさし『私家版 日本語文法』(新潮社、1981年、p.9)より備忘のため書き留めておきます。


(前略)ちかごろは逆に古本の文法書を買いあさって歩いている。理由はいくつかあるけれども、ひとつは柳田國男(一八七五−一九六二)のいう〈形容詞飢饉〉のせいである。この百年間に西欧文明が洪水のように日本へ流れ込んできた。誤解をおそれずに粗っぽくいえば文明とは名詞の一大集団のことであるから、たちまちこの島国は横文字を漢語に移しかえた名詞で溢れてしまった。その証拠にどんな国語辞典でもいい、任意の一頁をごらんください。半分近くが名詞で占められているはずだから。ところがその名詞の数に見合うだけの動詞や形容詞が入ってこない。接続詞の移入は皆無にひとしい。そこで名詞以外の品詞が品切れになったわけである。


posted by 石崎 陽一 at 19:48 | Comment(0) | 文法・語法ノート | 更新情報をチェックする
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