2012年10月01日

真摯に向き合うことの大切さ


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「わかればわかるほどわからなくなる」ことについて、窪薗晴夫『数字とことばの不思議な話』(岩波ジュニア新書、2011年、p.209)より引きます。


一つ謎を解くと、新たな疑問がいくつも出てくる。このドアの向こうには何があるのだろうと思って、夢中になってそのドアを開けてみると、そこにはまた別のドアがいくつもある。そのようにして疑問は尽きません。知の世界とはそういうものなのです。

ただ、部屋の中にある新しいドアの存在に気がつく人は多くないかもしれません。事実を暗記することだけに満足していると、このような知のドアは見えないと思います。一つのことを理解できたら、次に「どうしてだろう」「なぜだろう」と思う探求心が大切です。知識を得ることに満足せず、子どものような好奇心を持ち続けることが大切なのです。

知識が増えれば増えるほど、疑問も増えてきます。しかし、疑問が増えるということはけっして嫌なことではありません。「わからない」というのは嫌だと思う人も多いかもしれませんが、疑問を持つということは、「わからないことがわかっている」ということです。(後略)

その意味では、ノーベル賞をとるような賢人たちは私たちの何倍も知識が多いだけでなく、私たちの何倍もわからないことを知っているのだろうと思います。少し逆説的な言い方かもしれませんが、人間の賢さはわからないことの量で決まるのではないでしょうか。



人間の賢さはわからないことの量で決まる。

そう言えば、探求心、好奇心に関連して思い出したことがあります。

ノーベル化学賞を受賞した白川英樹さんの話です。

中学時代、白川さんが物理の授業で

「雲はなぜ落ちてこないのですか」

と尋ねたところ、担当の先生は

「雲をつかむような質問だね」

と洒落を言って、まともに答えてくれず失望したと語っておられたとのこと。

佐藤文隆『雲はなぜ落ちてこないのか?』(岩波書店、2005年)の冒頭(p.2)で紹介されている話です。

身につまされる話ですが、そのとき教師が

「すぐには答えられないが一緒に考えてみよう」

そう答えていたら白川さんは化学者ではなく物理学者になっていたかもしれません。

学習者として、また、教授者として、疑問に真摯に向き合う姿勢を大切にして(大切に育てて)いきたいと改めて思った次第です。


posted by 石崎 陽一 at 08:45 | Comment(0) | 最近読んだ本からの気づき | 更新情報をチェックする
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