2012年08月07日

疑似分詞について


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例えば“a learned man”における learned のように、過去分詞の中には、ある属性・特性の所有を示すと見なしうる語があります。

この形にならい、名詞に -ed をつけて属性・特性を表す形容詞が造られる場合があります。

a bearded man(髭面の男)
a feathered hat(羽根飾りの付いた帽子)
(the)frosted ground(霜の降りた地面)


『プログレッシブ英語逆引き辞典』(小学館、1999年)の‘-ed’の項には2段組にして3頁分、1段につき大体70語ほどが収められていますので、かなりの数が登録されています。

次のハイフンつき複合語(hyphenated compound)の例を含めると、この接辞は生産性(productivity)が高いと言えるでしょう。

a kind-hearted girl(優しい心を持つ女の子)
a long-armed monkey(手の長い猿)
a one-eyed monster(一つ目の怪物)
a quick-tempered woman(短気な女性)
a three-legged stool(三脚の腰掛け)


こうした場合、-ed は「何々を持つ、何々を備えた、何々の(ある)」の意で、基体となる名詞が ある属性・特性を有していることを表しています。

今回は疑似分詞(quasi-participle)と称される用法について述べました。


(追記1)

本エントリーの執筆にあたり、以下の文献を参照しました。

西川盛雄『英語接辞研究』(開拓社、2006年、pp.243-4)
井上義昌『詳解 英文法辞典』(開拓社、1966年、pp.1046-7)

(追記2)

影山太郎 編『日英対照 形容詞・副詞の意味と構文』(大修館書店、2009年、pp.71-2)では -ed が付く基体名詞(N)にまつわる制限について記されています。また、『上掲書』(pp.229-32)では日本語の複合形容詞との比較が行われています。『上掲書』(pp.143-5,150-1)では「英語の名詞 -ed 形を日本語に訳すときは完了の「-た」に対応することが多い」という興味深い指摘がなされています。

(追記3)

黒川泰男『英文法の基礎研究−日・英語の比較的考察を中心に−』(三友社出版、2004年、pp.193-5)では、「人の性質・容貌・外見などを描写する際に、英語においては人を表す名詞(person, fellow, people, etc.)で文を終わらせる型がよく選ばれる。そのような文構成のひとつの傾向から推し量るならば、英語における複合形容詞は文法上の必要から形成されてきたと考えることができよう」という考察がなされています。

(追記4)

大塚高信『英文法論考』(研究社、1952年、p.283)は

かゝる compound を parasynthetic compound といふ。卽ち composition と derivation が同時に行はれて居るのである。(中略)derivative ending は、その直前の語だけについて居るのではなくて、二つ結合したものに附いて居る

と述べた上で、さらに

尚、hyphen を用ひて compound とはしないけれどもこれと同じやうに考へられるべきものに early riser, sound sleeper, practical joker, natural historian, New Englander の如きものがある。

と指摘しています。

(追記5)

林語堂『開明英文文法』(文建書房、1968年、pp.257-9)にも類例が豊富に提示されている他、a chair with three legs などの句や that child who looks sleepy などの節を前置の形容詞句に転換する練習問題が25題ついています。


posted by 石崎 陽一 at 22:33 | Comment(0) | 文法・語法ノート | 更新情報をチェックする
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