2012年07月31日

viz. の z について


PA033877.JPG


viz.(すなわち)における z について、中島邦男『英語学論究』(南雲堂、1967年、p.271)より備忘録的に書き留めておきます。


ラテン語の videlicet(you may know)の略字だが、z がどこにもないのに z がくっついているのは、et もしくは -et に対するラテン語の略字が z という字に似ているためのもの。言わば Mr. 式の略し方である。


すなわち、videlicet は viet. と略されており、-z は -et の略字に由来するというのですね。


(追記1)

ちなみに、この z は、写本時代にはもともと 7 という形状をしていました。

次は The Peterborough Chronicle の写本の facsimile です。

写真b.JPG
(クリックすると拡大します)

7 という略字(通例 Tirorian nota と呼ばれる)は合計7ヶ所に見えますが、2行目の頭にあるのが分かりやすいかもしれません。

この 7 の下線の先が、右に折れる字体になり、z に似て成立に至った、という説を上野景福氏は紹介しておられます。(『現代英語教育講座 第九巻 英語の諸相U』(研究社、1965年)所収、「符号・記号・略語の由来」(p.180))

なお、画像は Dennis Freeborn, From Old English to Standard English: A Course Book in Language Variation across Time(London:Macmillan, 1998, p.10)より採りました。


(追記2)

videlicet の前半要素はラテン語 vidēre(to see)に、後半は licēre(to be allowed)に由来します。なお、licēre からは license という英語が出ています。


PC044233.JPG


「そういう疑問を一つでも自分で解くと、うんと力が伸びるものだ」

とおっしゃって完爾とされた。約二年間、単数名詞に -s のつく疑問を私は持ち続けたわけだし、順太先生はその答えを知っていて、二年間に少なくとも二十回はお会いしているのに教えて下さらなかったわけである。


渡部昇一『英文法を撫でる』(PHP新書、1996年、p.43)



posted by 石崎 陽一 at 18:20 | Comment(0) | 英語史的な説明 | 更新情報をチェックする
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