2012年01月11日

提示の仕方による文型定着度の違いについて


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日本の心理学者の中にも、英語学習の問題について、様々な観点から独自の研究をされている方がいらっしゃいます。

そして、その研究成果は日本教育心理学会の機関誌に発表されています。

今回は『教育心理学研究』に掲載された興味深い調査結果をご紹介します。


永沢幸七氏は英語の文型を異なった条件で中高生、短大生などに示し、その結果を、目で見せた場合と耳で聞かせた場合とに分けて報告しておられます。

ここでお伝えするのは耳で聞かせた場合です。

Aグループには録音した18個の英文とそれに対応する日本語を聞かせます。

Bグループには英文だけを聞かせます。

また、A、B両グループとも2種類に分け、A1グループには18個の英文を繰り返して10回聞かせますが、A2グループには5回しか聞かせません。

BグループについてもB1グループには10回、B2グループには5回提示します。

この調査の結果、次のことがわかりました。


1.英文とそれに対応する日本語の両方を聞かせた場合の方が、英文だけを聞かせた場合よりも、いずれの条件でも、よい成績を示している。

2.10回聞かせた場合と5回聞かせた場合とでは有意の差は見られなかった。

3.一定期間を経過したのちどのくらい学習事項が保持されているかの調査でも、その結果は英文とそれに対応する日本語を聞かせた場合の方が英文だけを聞かせた場合よりもよく保持されていることがわかった。



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この調査結果に対し、英文に対応する日本語をいっしょに聞かせた方がよく学習され、保持されている点に注目したいと思います。

この調査で用いられた英文はいずれも平易なもので、聞いただけですぐに意味がわかるようなものです。

しかし、やはり日本語を媒介としないと、私たちの学習環境(生活環境)では定着しにくいということなのでしょう。

英語の授業ではなるべく英語を使うのがよいとよく言われますが、日本語をどう活用して学習効果を上げるかということは、考慮されるべき課題のようです。


(追記1)

今回の記事を執筆するにあたり、『教育心理学研究』(第16巻3号)に掲載の「文型学習に関する心理学的研究−呈示のしかたによる差異」という永沢幸七氏の論文を参照しました。

実物をご覧になりたい方は こちら をクリックしてください。PDFがダウンロードできます。

(追記2)

『ユメブン』(アルク、2011年)では、付属CDに暗唱例文(TARGET SENTENCES)を「日本語 ➜ 英語」の順に収録してあります。

これにより、上記のような学習効果が期待できるのと同時に、(例えば混雑した電車内などでも)1人で確認テストを行うことができます。


posted by 石崎 陽一 at 00:01 | Comment(1) | ユメブン | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
石崎先生

日本語を媒介したほうが効果が上がることを
証明した調査、私たち現場の英語教師には
心強い結果ですね。

これが英語→日本語と、日本語→英語では
学習効果に違いがあるのか、
あるとすればどれくらいあるのかを
調査してみたいですね。

ただその効果の差は、ユメタンですでに
証明されているようにも思います。

学習している最中は
日本語→英語のほうが
英語→日本語よりも
きついですよね。

でもそれだけ負荷がかかる分、
覚えてしまえば忘れにくくなるわけですよね。

ユメブンもそのメソッドを継承して、
覚えて理解してそして忘れない、
そんな文法力をまちがいなくつけさせる
内容になっていると思います。

今日、書店で見たユメブンたちに、
「たくさん買われて行くんだよ」と
声をかけておきました。

Posted by kapoon at 2012年01月10日 23:51
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