2011年06月01日

provide は「なる」と訳出できる場合も


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provide という動詞は「前もって」の意の接頭辞 pro- と「見る」の意の語幹 -vide の足し算です。


「先見する」の原義から「備える」「備えて遣る」「備え付ける」「支給する」「供給する」「あてがう」「与える」などの意味が出ています。

(ちなみに、形容詞形の provident は「先見の明のある、用心深い」の意です。)


しかし、時折次のような用例に出会って訳出に工夫が必要になることがあります。


(1) provide a great pleasure
(2) provide a good indication of〜
(3) provide a valuable clue to〜
(4) provide cause of〜
(5) provide serious competition for〜
(6) provide a good opportunity to do



このようなときは、provide を「なる」とするとうまく処理できます。


(1) 大きな楽しみとなる
(2) 〜のよい目安(判断材料)になる
(3) 〜の貴重な手がかりとなる
(4) 〜の原因となる
(5) 〜にとって脅威的なライバルになる
(6) 〜する良い機会となる



(追記)

-vid- や -vis- といった語幹は「見る」を表し、次の語が派生しています。

video(ビデオ)
★audio にならった造語です。

vision(理想像)
★心の目で見るもの。

visa(ビザ)
★旅券を見てスタンプを押したり書き込んだりして外国に入国の許可を与えたことを証明するもの。

visage(顔つき、顔立ち)
★誰であるかは顔を見てわかります。

visit(訪問する)
★-it は「行く」の意。exit(出口)や itinerary(行程表)という語にも入り込んでいます。文字通り、人を見に行く、人に会いに行くことです。

devise(工夫する、発明する)
★de- は分離を表します。「見分ける工夫をする」が原義。

improvise(即席に作る、間に合わせる)
★not の意の im- と「前もって」の pro- および「見る」の -vis- の足し算ですので「前もって見ないで」が原義。

revise(改訂する、訂正する)
★「再び」の re- と -vis- の足し算ですので「見直す」が原義。

supervise(管理する、指揮する、指図する、監督する)
★over の意の super- と -vis- の足し算ですので「人全体を見渡す」が原義。

evident(明白な)
★「外に」の意の e- と -vid- の足し算ですので文字通り、「見え見え」な様を表します。


posted by 石崎 陽一 at 21:07 | Comment(3) | 読解の学習・指導 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
関連する話になるかわかりませんが。。。質問です。
predictという動詞ですが、pre-(前に)+-dict(言う)=「予見する、予報する」というわかりやすい語です。しかし以前
A University of Michigan study found that mealtime at home was the single strongest factor predicting better achievement scores and fewer behavioral problems for children.
という英文で困ってしまいました。
このときpredictingの意味上の主語はthe...factorだと思うのですが、そうすると、このpredictはいかに訳出すべきか。
さらに井上義昌「英語類語辞典(縮刷版)」p.361には「predictは人のみに用いる」とあります(まあその後に「foretellとしばしば互に代わり用いられる」ともあるのでforetellのように物を主語にすることもあるかもしれませんが。ALCの英辞郎にもIf you dream of Mt. Fuji, it predicts good luck.というのはありますし・・・)
しかし一般的に英英辞典などでも[to tell in advance]的なものしか乗っていないようなのですが。
先ほど見つけたONLINE ETYMOLOGY DICTIONARYにある
「Scientific sense of "to have as a deducible consequence" is recorded from 1961. 」という記述が一番しっくり来るのですが。まっとうな"Definition"を見つけられていません。先生はどのようにお考えになりますか。
取り留めなくて、しかも長文ですみません。
Posted by matsuzaki at 2011年06月19日 09:44
matsuzakiさま、コメント深謝です。

さて早速ですが、回答をしてみます。

ご存じのように、英語にはある表現を下敷きにしてその表現の一部を変えることで意味の上で変化をもたせることがよくあります。

“walk to school”が“go to school”のバリエーションであるが如く、です。

結論から申しますと、お示しのpredictは

analysis of the factors creating traffic congestion
(交通渋滞を生じさせる原因の分析)

等におけるcreateのバリエーションではないかと私は考えました。

「引き起こす」というcreate(あるいはcause)の意味に「やがて」「この先」という含みをもたせるためにpredictを使ったのではないか。

と申しますのも、predict を“be predictive of”とパラフレーズして英辞郎を参照しますと

“condition that is predictive of kidney disease”という用例が示され「腎臓病の前兆となる症状」という訳が与えられています。

(つまり“condition that predicts kidney disease”ということです。)

ここから、お示しのpredictは「何かの前兆となる、やがて何かを引き起こす、この先の何かにつながる」という語義で使われているのではないかと思い至ったというわけです。

そのような用例が一般化して1961年から“to have as a deducible consequence”という語義で用いられているのではないでしょうか。

なお、factorとpredictとのコロケーションについてですが、

グーグルで“factor predicting”とフレーズ検索してヒットした学術記事の用例を見ましても

「predictは人のみに用いる」という井上義昌氏のコメントはoutdatedのようです。

ちなみに、ジーニアス大英和には「人・観察などが」と、ウィズダム英和には「人・理論などが」という注記が記載されています。

この「など」にfactorやconditionを含めて構わないという風に捉えればよいのではと思いますがいかがでしょうか?
Posted by 石崎 陽一 at 2011年06月19日 14:15
早速のコメントありがとうございます。

うーん。改めて読むと、自分の書いてることの支離滅裂っぷりに気付いて汗顔の至り。いいたかったことを要約すると「辞書には一定義として独立させてほしい」ですね。To sayとか「予言する」では表現し切れていませんよね。

>analysis of the factors creating traffic
>congestion
>(交通渋滞を生じさせる原因の分析)
>等におけるcreateのバリエーションではないかと
>私は考えました。

100%同意します(授業で扱ったときは「(予測されうる妥当な結果として)〜を引き起こす」のような感じに訳してしまいました)。これしか訳せませんよね。
出版社には、「だったらこれで辞書を書いてくれ」と小一時間問い詰めたいです。生徒は辞書の定義と例文から学び取るものと思いますが、これは不親切な気がしますね。

井上義昌の件はやはり引用元が古すぎですね。反省。便利なんですけどね。。。
しかし、人以外を主語とした(辞書)例文の少なさには困りました。科学系で主に使われるからでしょうか。。。
>グーグルで“factor predicting”とフレーズ検索
>してヒットした「学術記事」の用例を見ましても
と仰られている点と、私が引用した
>Scientific sense of "to have as a deducible
>consequence"
も合致しますし。 学術系タームなのかもしれませんね。


何にせよ、思っていた以上の大量かつ丁寧な返信、誠にありがとうございます。勉強になりました。
Posted by matsuzaki at 2011年06月20日 19:45
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