2011年04月29日

The Oxford English Dictionary のこと


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大学3年生の時の渡部昇一先生の講義は Steven Pinker の Language Instinct でしたが、先生は4月、初回のクラスで開口一番

「可能な限り早く OED を買いなさい」

と言われました。

私は住み込みで新聞配達をしながら生活費を切りつめ、すでに2年生の時に買って「私有」していましたので、内心得意だったのを覚えています。

先生はさらに

「旅行に行くのに10万円、20万円平気で使うのに、OED を買い惜しむのは最大の堕落である」

ともおっしゃいました。

渡部先生のご著書を愛読し、先生の教えを直接受けていましたので
「英語で飯を食う」ことを目指す学生が OED を買うのは当たり前だと思っていましたが、これが上智以外ではあまり「常識」ではないらしいことを後になって知ることがありました。


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その後東京都に奉職し、勤めた初任校で、ある先輩の先生がアドバイスしてくださったのですが、その先輩は

OED を引けるようになったら一人前ですよ。図書館に通いなさい」

と言われたのです。

さすがに「学部の2年の時から持って日々お世話になっています」とも言いかねましたので、その時はただ「はい」と答えておきました。

恐らく「OED を引け」という指導はしても、学部生に「買え」と喝破するような教授は、渡部先生をおいて他にはいないということなのかもしれません。


(追記)

堀田隆一先生によるこちらの記事もが有益です。

OED Online に触れてみる


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その本を買うために金が足りなかったら、アルバイトをして金を得て買った方が、図書館から借りるよりは、結局、時間の節約になると思う。
渡部昇一『知的生活の方法』
(講談社現代新書、1976年、p.111)


知的生活とは絶えず本を買いつづける生活である。したがって知的生活の重要な部分は、本の置き場の確保ということに向かわざるをえないのである。つまり空間との格闘になるのだ。そしてこの点における敗者は、知的生活における敗者になることに連なりかねないのである。知的生活の敗者という言葉が強すぎるとすれば、知的生活に重大なる支障を蒙むると言ってよかろう。
『上掲書』(p.95)



posted by 石崎 陽一 at 18:42 | Comment(7) | 思い出話 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
懺悔します。大学にも現任校にもOEDがあるので買っていません。。。
しかし金銭的にはもう手も届くのでそろそろ買っておこうかなぁ。買うなら第3版が電子版がでる(一部出ていますが)前に2版でほしいですね。
しかし、めったに引かない気が。。。
漬物石になってしまったりして。。。
Posted by matsuzaki at 2011年04月30日 10:22
matsuzakiさま。OEDは19世紀以前の文献にあたる際には不可欠なものです。私は興味の焦点が18世紀英国にあり、今でも当時の文芸作品等を読むのに重宝しています。何と言っても各単語の戸籍簿ですから、転義に強く、他の諸辞典では足りないと感じたらOEDを開く、というように頼りにしているわけです。今の時代、空間の問題もありますし、電子版を買われてもよいと思いますよ。一覧性は低いですが検索性が高いですしね。いつもありがとうございます。
Posted by 石崎 陽一 at 2011年04月30日 16:59
早速のレスありがとうございます。
いや確かに古い文献に当たるときに、どうしても現代の「科学的」辞書では不便を感じますね。

以前授業で背景知識として聖書の話をするときに、KJVを抜粋しましたが、語義が違うところがあってかなり生徒も戸惑っていました。ジーニアスの『原義』もG4などでは簡潔な表記になってますし、不足しますね。

CDRom版を検討していますが、本棚に並べてみたい気も←病気。
Posted by matsuzaki at 2011年05月02日 12:09
matsuzakiさま。コメント深謝です。私は住み込んでいる新聞専売所で寝るときは畳の上一面にOED全巻を敷き詰め、枕ならぬ敷き布団にしていましたよ(って何の話だか^^;)
Posted by 石崎 陽一 at 2011年05月06日 00:42
石崎さま。
Oxford English Dictionaryを購入しようとネットサーフィンをしておりました。このサイトを目にしました。secondでなくてもよく廉価であればと思って探しています。やはりsecond editionの方がいいでしょうか。全17巻でも間に合うような気がしています。私はシェークスピアかチョーサーあたりを趣味で読み進められたらと思っています。
Posted by ganpon at 2011年09月27日 22:55
ganponさま、はじめまして。

>私はシェークスピアかチョーサーあたりを趣味で
>読み進められたらと思っています。

それでしたら

・Shakespeare Lexicon and Quatation Dictionary
(Alexander Schmidt編;2vols.)

・A Chaucer Glossary(Norman Davis 他編)

をお使いになるのがよいかもしれません。

信頼のおけるものですが、ともにペーパーバックで、廉価で入手できると思います。

(私はシュミットを1997年に2巻3000円で、チョーサーグロッサリーは同じ頃にたしか2000円くらいで購入しましたが、今でもアマゾンでほぼ同様の値段のようです。)
Posted by 石崎 陽一 at 2011年09月28日 03:55
お忙しいところ、そして突然のコメントご容赦ください。某大学の露文に在籍する者です。なんとかOEDを買いたいのですが、全部でいくらぐらいするものなのでしょうか。また、どこで買えるのでしょうか。PS:神保町で全17巻?が3万円で販売されていました。これは最新版とは違うものでしょうか。よろしくお願いします。
Posted by ボンコレ at 2012年11月12日 17:50
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