2011年03月20日

東京大学・2011年入試問題(英語)解答のポイント(その2)


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以前、第4問まで簡単に感想というかコメントをつけました。(そのときの記事はこちら。)今回はその続きを記したいと思います。


第5問

この第5問について、空所補充や下線部関連の設問は、空所や下線を含むセンテンスの前後のセンテンスを丁寧に点検することで大方処理することができます。

各設問に対する解答の根拠が明確になるように、本文にかなりきっちりと書き込みがなされているという印象をもちました。

そういったきっちりとなされた書き込みを活用して時間効率よく正解に辿りつきたいものです。


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(1)

空所( 1a )

The knocking continued, and someone called out:‘( 1a )’

という流れなのでsomeoneはこの家の外の人、すなわち訪問者だとわかれば、ウの“Anyone there?”を迷いなく選べるでしょう。

日本語の「ごめんください」に相当する表現です。


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(2)

一読しただけでは指示内容を把握しづらいでしょう。こんなときは焦らず、先を読み進めてから戻ってくるのも一法です。


訪問者がまず目にしたのが下線部(2a)の“the unfortunate child”で、どうやらこの子はMrs.Brondieがどうしても覚えられなかった名前の持ち主のようです。(あとでこの名前はPerditaだと判明します。)

次文の前半で“Then she saw her mother,”「次に訪問者が目にしたのはその母親」であり、“and put her hand over her mouth”と続きます。

ここでandの次に別の主語が来ていないので主語は前文に引き続き訪問者であって、「訪問者は自分の手をあてた」となりますが、手をどこにあてたか、と言えば“over her mouth”です。

目の前の母親の口に手をあてたという解釈も一応は想定されますが、直後に‘Oh, my goodness!’という台詞が来ていることから「この訪問者は自分の手を自分の口にあてた」のだと考えられます。

この訪問者はMrs.Brondieのことですから下線部(2b)のherはMrs.Brondieだとわかります。

手を口にあて「なんてことなの」と口にした訪問者Mrs.Brondieはどうしたか。

“She arranged an ambulance to take her to hospital.”「彼女を病院に運ぶ手配をした」とあります。

下線部(2c)、このherは目の前の母親でしょう。

また、もし仮に病院に運ばれるのが“the unfortunate child”すなわちPerditaだとすると、次文の“Meanwhile, Perdita was taken in by the Ramsays, Flora and Ted,....”という文に矛盾するのもこのherがPerdita's motherを指していることの証左になります。


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(3)

freelyの母体となっている形容詞freeは「束縛されていない」が原義です。

ここから「〜がない」の意味が出ていることは周知の通りです。

例えば“admission-free concert”と言えば「入場無料のコンサート」のことですし、“alcohol-free beer”と言えば「ノンアルコールのビール」のこと。

さて、このことを踏まえると、下線部は「彼女(=Perdita)は何物にも縛られずに生きられるようになった」と直訳できます。「呼吸する、息をする」とは文字通り「生きる」ということですね。

このことと、次文で“Both Flora and Ted took trouble to make Perdita feel at home.”とあることを考え合わせると、

下線部は「不安に縛られずに、不安を感じずにいられるようになった」というほどの意味だとわかります。

よって、選択肢エの“She was able to recover her peace of mind.”が最も適切な言い換えとわかります。

ちなみに、“breathe (easily/freely) again”はcanやbe able toなどを伴い「ほっと息をつく、安堵のため息をつく」「ほっとする、安堵する、胸をなでおろす」の意味の慣用句として用いられます。(今回はableの縁語であるenableと共起しています。)

用例を挙げておきます。

By May the crisis was over and we could all breathe again.
(5月までには危機も去り、みんな胸をなでおろすことができた)

Finally the typhoon passed, and we were able to breathe easily again.
(やっと台風が通り過ぎ、私たちはほっとした)


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(1)

空所( 1b )

Flora...announced to her[=Perdita]that she was to see a doctor. Perdita consented, but she was afraid of having her speech examined by a stranger.‘( 1b )’said Flora, without offering any details.

という流れで、Floraは怖がるPerditaに対して“without offering any details”「細かいことは言わずに」空所( 1b )と発言したというのですから、

この空所には選択肢イの“Just to check!”を選ぶのが最も適切でしょう。


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(4)

Perdita decided that she must be brave. But...courage was not, after all, so easy to come by.

という流れで、「勇気を出そうとしたが、勇気を“come by”するのは困難に近かった」という主旨ですので、“come by”は選択肢イのobtainが最も近い意味でしょう。

ちなみに、“come by”というイディオム自体を知っていた受験生も多かったのではないかと思われます。

というのも、アップグレードやネクステージといった売れ筋の頻出問題集に掲載されているからです。


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(5)

与えられた8語(不要語2語を含む)を空所にあてはまるように並べかえる問題。

相も変わらずよくできた仕掛けです。

空所前後の環境を確認しますと、Perditaが診てもらうお医者さんに関する一連のdescriptionの一部で

He sounded like an exciting and interesting person. He had thinning grey hair, unfashinably long, and wore a pair of glasses with gold frames. The sleeves of his shirt were rolled, as if he were( 5 ).

となっています。

空所を含むセンテンスは

「そのお医者さんは、あたかも空所( 5 )のようにシャツの袖をまくり上げていた」

という意味で、as if節はシャツの袖をまくり上げている様がどんな様かを伝える内容になる必要があります。

空所の入口前にはwereが見えますので、与えられた英語を左から眺めていくと、

空所の入口付近は“interested in〜”となるか“about to〜”となるか、どちらかになりそうです。

ただ、「不要な語が二つ含まれている」という嫌な条件に耐えつつ組んでいくと、前者は手詰まりになってしまいます。

よって、“about to〜”を軸にする方向で試行を進めていくと、可能性としては

“about to find”か“about to engage”かのどちらかになります。

前者だと手詰まりになりますので、後者を展開して

“about to engage in physical labour”

とします。不要語はfindとinterestedでした。

findは第5文型で使うと補語に形容詞が来ますのでineterestedという分詞が使い道として出てきます。

findを使う線を早く捨てないと限られた時間では命取りになります。

また、“engage in〜”という固まりを作るのを妨げる煙幕としてもinterestedが有効に働いています。

「よくできている仕掛け」と述べた次第です。


この大問5を20分で解くプランであれば、この整序問題で立ち止まるのは得策ではありません。

「考えれば、解けそう」であり、実際時間をある程度かけられれば解けると思うのですが、

入試本番におけるように「限られた時間で得点を積み重ねる」ことを最優先にした場合は、30秒考えて事態が好転しなければ後回しにした方が賢明と言えるでしょう。


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(6)

空所の手前を眺めます。

a strange flower of brilliant blue, a kind of flower that could not( 6 )exist in nature

選択肢はいずれも副詞なので意味か語法で決着をつけざるを得ません。

ここでは空所直前のnotに注目。

選択肢ウのpossiblyは「その可能性はある」が原義でmaybeよりさらに低い確率を表明するのに用いられますが、

canやcouldを伴った否定文で使われると「可能性が全くない」ということから「絶対〜ない、どうしても〜ない」の意味が出ます。

ちなみに、空所に選択肢アのonlyを入れると「自然界にしか存在しない」となり述べたいことと逆になり、

選択肢エのcompletelyを入れると部分否定となり「自然界に完全に存在しているわけではない」の意となり不適です。


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(7)

選択肢に挙がっている動詞はいずれも文法上・語法上は空所に入れられますので、意味で決着をつけざるを得ません。

Perditaは医師の申し出を受け入れた(Perdita...agreed)のですが、それは

“in order to please him”というのが目的で、かつ

“because the invitation to hold one of the paperweights was what she had( 7 )for”という理由からのことでした。

過去完了に注意して意味をとると、

「文鎮の一つを手にするよう求められたこと」は「彼女が(それまでの段階で)“( 7 )for”していたこと」だった、となります。

ここで、先立つこと1つ前の段落の最終文で

Perdita found these objects delightfully attractive.

とありましたことを考慮しますと、選択肢ウのhopedを入れるのが最も適切でしょう。

“hope for〜”は「〜を期待する、願う」という意味で、“hope for the happiness of the people”「国民の幸福を願う」のように使います。

うっかり選択肢イのaskedを選んだ人がいたかもしれませんが、Perditaがそれまでの段階で「文鎮の一つを手にするよう求めることを要求していた」という記述は本文中にありませんので不適です。


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(8)

...he[=Doctor Oblov]was treating her as a little girl, she felt−but so beautiful was the object that it somehow allowed her to overcome that feeling.

下線部のポイントとしては指示語の指示内容の追跡やovercome, somehowといった語彙の知識と合わせ、

1.動詞allowの訳出の仕方

2.無生物主語の訳出の仕方

が問われています。

動詞allowは無生物の主語を迎えるとenableとほぼ同義になります。

例えば、

The regulation will allow these students to vote on the incorporation of the village with neighboring municipalities.

という英文は“the regulation”「この条例」という無生物が主語ですので

The regulation will enable these students to vote on the incorporation of the village with neighboring municipalities.

とほぼ同じ意味と考えることができます。

無生物主語は主語だからといって「〜は、〜が」(場合によっては「〜も」)と処理しては日本語に馴染みにくいので、「〜で」とし、目的語をあたかも主語のように「〜は、〜が」(場合によっては「〜も」)としてみるのがコツでした。

このコツを上の英文に適用すると

「この条例で(=この条例によって)、中学生も平谷村の近隣市町村との合併問題に関して投票することができるようになります」

のようになります。

さて、以上のポイントを踏まえて下線部(8)を指示語を残して和訳してみますと、

「そのこと(it)によって、どうにか彼女はその感情(that feeling)を抑えることができたのだった」

となります。

問題では「itとthat feelingが意味する内容を明らかにすること」が求められていますが、

itは直前の“the object”すなわち“the paperweight”を、that feelingは“he was treating her as a little girl, she felt.”の内容を、それぞれ意味していると考えられます。


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(9)

下線部の“the doctor's simple questions”が意味する具体的な質問内容と合致しないものを選ぶ問題。

「合致しないもの」を選ぶので、基本的には消去法を使います。

しかしまぁ恐ろしく平易。

時間切れで取りこぼすなんてもったいない。


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(10)

Yes, there were occasions when she spoke without difficulty; she could recite whole verses of Shakespeare, which she had learned from her mother.

ときて、

At this Doctor Oblov leaned back in his chair, knitting his fingers.

という流れ。

前置詞atの基本イメージは「点」です。

ですから、場所的には「地点」、時間的には「時点、瞬間」を表します。

例えば、

I jumped from my seat at the sound of the explosion.

という英文は

「爆発音を聞いて、私は椅子から飛び上がった」

という意味です。

よって、下線部の意味としては選択肢の中ではアの“Hearing what she said,”が最も適切です。


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(1)

空所( 1c )

やりとりとしては、

‘Shakespeare?’
‘( 1c )’Flora interrupted loudly.

という流れですから、「声高に遮った」Floraの台詞としては

選択肢カの“That's what she said!”が最も適切でしょう。


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空所( 1d )

‘( 1d )’asked the doctor. ‘Just a verse or two?’
It did not need effort; Perdita recited Hamlet's famous speech, which was her easiest piece.

医者が空所( 1d )とaskしたとありますが、「尋ねた」のか「頼んだ」のか、どちらなのか。

次の‘Just a verse or two?’という発言と、その後にPerditaが“Hamlet's famous speech”をreciteしたと書かれていること。

以上から医者は彼女に何かを「頼んだ」とわかります。

よって、選択肢では丁寧な依頼を表すオの“Would you mind?”を選ぶのが最も適切です。


posted by 石崎 陽一 at 01:19 | Comment(0) | 入試問題・英語 | 更新情報をチェックする
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