2017年05月07日

渡部昇一先生 ご葬儀ミサご報告



渡部昇一先生が2017年4月17日に御帰天されました。


謹んで御冥福をお祈りいたします。




4月19日には聖イグナチオ教会 聖マリア聖堂にて葬儀・告別式が密葬で営まれました。

幸い、教会の隣町に勤務校があるため、時間休をいただき、私は参列することができました。


詳細につきましては、上智大学文学部英文学科同窓会のホームページに報告記事が掲載されています。


渡部昇一先生 ご葬儀ミサご報告



(追記)


渡部昇一先生のご略歴


1930年 山形県鶴岡市に生まれる。

1953年 上智大学文学部英文科卒業。

1955年 上智大学大学院西洋文化研究科修士課程修了。

同年 上智大学大学院西洋文化研究科助手任命。

同年 ドイツ・ミュンスター大学留学。

1958年 英語圏で最初の英文法史をドイツ語で出版。

英国における初期英文法の発生に関するこのご研究に対し、国際的な評価を受ける。

同年 同大学より「大いなる称賛をもって」Dr. Phil.(哲学博士)を受ける。

同年 英国オックスフォード大学留学。

1960年 上智大学文学部英文科講師、規定により助教授を経て教授。

その間、フルブライト招聘教授として、アメリカ各地の大学(New Jersey, North Carolina, Missouri, Michigan 各州の6大学)において半学期ずつ1年間、比較文明論を講義する。

1994年 ミュンスター大学より「卓越せる学問的貢献の故に」Dr. phil.h.c.(名誉哲学博士)を受ける。

歴史ある同大学が欧米以外の学者に名誉哲学博士号を出したのは創立以来これが初めてのことである。

2001年 定年退職とともに上智大学名誉教授。


posted by 石崎 陽一 at 11:57 | Comment(0) | 近況報告・雑感 | 更新情報をチェックする

新しきは古きを排除するのではなく選択肢を増やす


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掲題は堀田隆一先生によるブログ記事のタイトルから採らせていただきました。


とかく二項対立的な図式に陥りがちな英語教育界にも活かしたい視点だと感じた次第です。


大切なのは、二項対立の両項は水と油のように相いれないものであるかのように考えるのではなく、

むしろ、両項の間の調和を保つことではないでしょうか。


というのも、古いものと新しいものというのは、暦が変わるようにいっぺんに変わるのではなくて、

共存するものであり、目的によってそれぞれ役に立つ点があると思うからです。


posted by 石崎 陽一 at 09:51 | Comment(0) | 教師論・学習指導・進路指導 | 更新情報をチェックする

2017年04月22日

less and fewer


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I've got less problems than I used to have.


という用例を挙げ、Michael Swan, Practical English Usage(OUP, 2016, p.169)は


In an informal style, less is quite common before plural nouns.


と認めた上で、


Some people consider this incorrect.


と注記しており親切です。


実際、私も


Which expression should we teach to students, fewer books or less books? (of course, on a prescriptive basis, the latter is not grammatically correct; on the other hand, nowadays, "less books" types of expression can often be found on various media.)


という質問をした際、インフォーマントの一人から


You should never teach “less books.” Besides being increasingly common, the ignorant use of “less” rather than “fewer” with respect to number is also laughed at and generally derided. In terms of the level of stupidity it suggests, it’s roughly equivalent to saying “I literally died laughing” rather than saying, hyperbolically, “I nearly died laughing.”


という助言を提供されたことがあります。


posted by 石崎 陽一 at 11:23 | Comment(0) | 文法・語法ノート | 更新情報をチェックする

2017年04月21日

関係代名詞 that の非制限用法


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関係代名詞 that の非制限用法について、Quirk et al., A Comprehensive Grammar of the English Language(Longman, 1985, p.1259)より備忘のため書き留めておきます。


A nonrestrictive interpretation is occasionally introduced by that when a premodifier or determiner would make a restrictive clause absurd, but when which, on the other hand, might imply too parenthetic a relation:

I looked at Mary's sad face, that I had once so passionately loved.[6]

In [6] we seem to have an elliptical form of an appositive expression:

I looked at Mary's sad face, a face that I had once so passionately loved.[6a]

Here the appositive a face justifies the restrictive clause that follows.

Usually the use of nonrestrictive that shows that a writer has muddled what he has wanted to set down, as in the following example from a serious article:

One of the most important recent developments in neutral hydrogen studies of our Galaxy has been the discovery of high velocities in the centre and in regions away from the plane, that I have mentioned.

Despite the comma − and the corresponding prosodic separation if this is read aloud (a separation that is essential if plane were not to be thought the antecedent head) − it seems likely that the writer originally wanted the relative clause to be restrictive, as it could readily have been if placed earlier:

... has been the discovery that I have mentioned of high velocities ...

However, this position of the relative clause violates the rule that prepositional phrases precede relative clauses as postmodifiers, producing a rhetorically unacceptable sentence.



posted by 石崎 陽一 at 09:26 | Comment(0) | 文法・語法ノート | 更新情報をチェックする

2017年03月29日

made of と made from の意味的分化の萠芽


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たとえば

This table is made of oak.

の of と

Wine is made from grapes.

の from とは対照的に考えられていますが、


大塚高信『英文法ノート』(泰文堂、1948年)は


of は off の weak form であり、off は分離の意味を示す語であるから、of もその意味を有つて居る。卽ち、現代英語だと 'from' に相當するのである(pp.58-9)

of の原義が 'from' であるのであるから、これら二つに意味の相違が出來たのは習慣上のことである(p.59)


と喝破し、John Milton(1608-74)のものしたラテン文典(1669年出版)に

made of と made from の意味的分化の萠芽

が認められると指摘しています。


posted by 石崎 陽一 at 19:47 | Comment(0) | 文法・語法ノート | 更新情報をチェックする

2017年03月26日

イギリス英語における、直説法による仮定法現在の代用


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(a)I insisted that he change his clothes.

(b)I insisted that he changed his clothes.


この2つの例文を挙げ、Quirk et al., A Comprehensive Grammar of the English Language(Longman, 1985, p.1015)は


insist を request の意味で用いる場合は後続の that 節内では仮定法現在を、

insist を assert の意味で用いる場合は直説法を用いる



と説明しています。

((b)は事実を主張するのですから、直説法を用いるのはごく自然です。)


ところが、その上で、次のような但し書きを付しているのが注目に値します。

曰く、如上の説明から


that 節内で仮定法現在の使われている(a)において insist が request の意で用いられているのは明らかだけれども、

that 節内で直説法の使われている(b)においてもまた、insist が request の意で用いられている可能性が半分はある



というのです。



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このように、『上掲書』(p.1182)は

insist に限らず、suggest, propose, recommend などの説得動詞(suasive verbs)に後続する that 節内で直説法の動詞が用いられる場合

を認め、

それは主にイギリス英語に限られる

と述べています。

つまり、冒頭に掲げた


(b)I insisted that he changed his clothes.


という、後続する that 節内に直説法を用いた文においても insist が request の意となり得るのは、

特にイギリス英語においてのことである

ということなのですね。

実際、Geoffrey Leech, Marianne Hundt, Christian Mair, and Nicholas Smith, Change in Contemporary English: A Grammatical Study(CUP, 2009)は


the indicative after suasive expressions is indeed a syntactic Briticism(p.57)


であり、


In spoken English, the indicative is used much more frequently than the subjunctive, whereas in written BrE, it is the least frequent alternative.(p.56)


であると指摘しています。(下線部は現筆者による。)


したがって、

説得動詞(suasive verbs)に後続する that 節には直説法の動詞は使用されない

かの如く述べることは控えたほうがよいと思われます。



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(追記1)

R.A. Close, A Reference Grammar for Students of English(Longman, 1975, p.47)は imagined action in the future を表す動詞として propose と recommend を取り上げて


(a)We propose[recommend]that Mr X should go.

(b)We propose[recommend]that Mr X goes.

(c)We propose[recommend]that Mr X go.


(a)We propose[recommend]that Mr X should be dismissed.

(b)We propose[recommend]that Mr X is dismissed.

(c)We propose[recommend]that Mr X be dismissed.


という3対の例文を挙げ、(a)は formal, (b)は informal, (c)は formal and typical of official style だと考えられると記しています。

綿貫陽・マーク・F・ピーターセン『表現のための実践ロイヤル英文法』(旺文社、2006年、p.204)は

(b)に相当する言い方について、「くだけた言い方」以外、とりわけ「書くときは避けたほうが無難」と指南しています。


(追記2)

B.D. Graver, Advanced English Practice(OUP, 1986)の第3版は

should in noun clauses after suggest, recommend, etc.

という項目を立て

Should is often used in a 'that' clause, after the verbs like suggest, recommend, require, decide, etc.

Should is sometimes omitted in such sentences, leaving only the infinitive without to.

The verb form is then sometimes 'regularized' to give the 'normal' sequence of tenses.

と指摘しています。

特に、上の2つ目の点において、「should が省略されて動詞の原形が残ることがある」という言い方がなされているのに目を引かれました。


(追記3)

(a)We insist that Marsha tell the truth.

(b)We insist that Marsha tells the truth.

(c)We insist that Marsha must tell the truth.

Lynn M. Berk, English Syntax(OUP, 1999, pp.149-50)は上の3つの文を挙げ、

(b)も(c)も伝える意味は(a)と変わらないが、この2つは subjunctive utterances ではなく、directives(指示)である

旨のコメントをしています。

なお、小西友七 編『現代英語語法辞典』(三省堂、2006年、p.636)には insisted に後続する that 節において must が用いられた例とともに「命令的な意味を表す will」が時制の一致を起こした例を挙げています。


(追記4)

Huddleston and G.K.Pullum, The Cambridge Grammar of the English Language(CUP, 2002, p.996)は

ambiguity between mandative and non-mandative clauses

という項目を立てています。


(追記5)

『詳説レクシスプラネットボード』(旺文社、2004年、pp.144-5)に興味深い統計データと分析が掲載されています。


(追記6)

Geoffrey Leech, Marianne Hundt, Christian Mair, and Nicholas Smith, Change in Contemporary English: A Grammatical Study(CUP, 2009, pp.51-70)で詳述されています。

ちなみに、本記事のタイトルは同書(p.54)の

Another variant, namely the indicative (e.g. I recommend that she uses fewer passives), is really only an alternative in BrE.

という記述から採りました。


(追記7)

千葉修司『英語の仮定法 − 仮定法現在を中心に −』(開拓社、2013、pp.19-20, 224-8)にも詳述があります。


(追記8)

「説得動詞(suasive verbs)に後続する that 節には直説法の動詞は使用されない」との誤解を招きやすい記述を有する書籍には、たとえば、友繁義典『英語の意味を極めるU − 動詞・前置詞編 −』(開拓社、2016年、pp.24-5)があります。


(追記9)

小西友七 編『現代英語語法辞典』(三省堂、2006年、p.636)は

(a)I insisted that he should stay in bed.

(b)I insisted that he stay in bed.

(c)I insisted that he stays in bed.

(d)I insisted that he stayed in bed.

という4例を挙げ、(a)の should stay は英米ともに堅い表現、(b)の stay は英米ともにくだけた表現、(c)の stay は英国のくだけた表現であり、(d)は過去のアリバイを主張していると説明しています。


(追記10)

Bergen Evans and Cornelia Evans, A Dictionary of Contemporary American Usage(Random House, 1957, p.484)より引いておきます。

In the United States the present subjunctive is almost always used here, as in I suggested he take it with him, we insisted that she get to work on time, it is imperative that he know the truth. In Great Britain this use of the present subjunctive is considered "pedantic." Englishmen prefer to use the auxiliary should as in I suggested he should take it with him. In the United States the simple subjunctive is the form used most often in natural speech. The construction with should appears too, but is felt to be "bookish" or "British."


(追記11)

稲田俊明『〈新英文法選書3〉補文の構造』(大修館書店、1993年、p.147)より引いておきます。

アメリカ英語で義務の仮定法が使われるところで、イギリス英語では直説法が使われる傾向がある(ただし be 動詞はイギリス英語でも直説法は避けられる)。

なお、「義務の仮定法」とは mandative subjunctive の同書における訳です。

ちなみに、柏野健次 編著『英語語法レファレンス』(三省堂、2010年、p.283)は「命令を表す仮定法」としています。


posted by 石崎 陽一 at 12:10 | Comment(0) | 文法・語法ノート | 更新情報をチェックする

いまは廃用となった say の不定詞付き対格(accusative with infinitive)の用法


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安藤貞雄『現代英文法講義』(開拓社、2005年、p.358)は


John is said to be a millionaire.


という英文は


* People say John to be a millionaire.


という「現在ではすたれている」構文に対応する受動文であると指摘し

Christopher Marlowe が手がけたローマ詩人 Ovid の Amores の翻訳より


This thou wilt say to be a worthy ground.
(これこそは立派な分野だ、あなたは言うだろう)



という例を挙げ、

これはラテン語法(Latinism)でいまは廃用であるとする OED 第二版のコメントを付しています。


posted by 石崎 陽一 at 10:41 | Comment(0) | 文法・語法ノート | 更新情報をチェックする

2017年03月25日

事実ではなく「想念」を表す動詞のモード:仮定法現在


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まず最初に、「仮定法」という用語について確認しておきましょう。


仮定法は subjunctive mood を訳したものですが、少し前の文法書では subjunctive mode という用語も用いられていました。

この mode(やり方、方法)という語は日本語でもモードというカタカナ書きで使われるようになりました。

例えば、この記事を書いているパソコンには文字の入力モードがいくつかあります。

ひらがな入力モードや半角英数入力モードなどです。

またエアコンなどには消費電力を節約するための、プリンターにはインクを節約するためのエコノミーモードがついています。

入試を控えた中高生は受験モードに入っています。

こんな具合に、です。

いずれも普通とは違う「使い方」ですけれども、仮定法もこれと同じと考えてください。

すなわち、事実を事実として述べる普通の表現方法(直説法)とは異なり、

仮定法とは「頭の中のこと」「想念」を述べるのに用いるモード(動詞の形)ということなのですね。



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I insist that she leave at once.


Talmy Givón, English Grammar: A Function-Based Introduction, Volume U(John Benjyamins, 1993, p.275)より拝借した上の例文、

she という主語に対して leave という動詞の原形がきていても誤りではありません。

これはこの文全体の動詞が insist(求める)であり、この動詞に続く中身の部分(that 以下の内容)は要求した時点ではまだ現実になっておりません。

すなわち、要求内容というのは「事実」ではなく、「想念」である。

そのことを文法上で示すために用いられているのが leave という動詞の原形であり、このような動詞の原形の使い方を仮定法現在と呼んでいます。

このように、英語では、モード切替によって、すなわち、動詞の形を通して、気持ちの機微を伝えることができるというわけですね。


英語を聞くとき、読むとき、仮定法がわかれば、話し手の気持ちが実感をもって理解できます。

英語を話すとき、書くとき、仮定法が使えれば、自分の気持ちを正確に伝えることができます。

学んだことを、ぜひ実践でも利用してみてください。


それでは、また。


(追記)

たとえば Bergen Evans and Cornelia Evans, A Dictionary of Contemporary American Usage(Random House, 1957, pp.483-6)が subjunctive mode という項目を立てて英語における「法」を解説しています。


posted by 石崎 陽一 at 16:11 | Comment(0) | 文法・語法ノート | 更新情報をチェックする

2017年03月20日

hundreds of … の指すものの数


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『研究社 英語の数量表現辞典 増補改訂版』(研究社、2007年、p.23)より備忘のため書き留めておきます。


英語では 1600 を sixteen hundred と表現することがあるので hundreds of … の指すものの数が 1000 を超えることもある。thousands of … は数万程度まで、millions of … も数千万程度まで含みうる。また、桁にとらわれず漠然と「莫大な数の」の意味でこれらの表現を使うこともある。


(追記)

『上掲書』には tens of, hundreds of, thousands of, tens of thousands of, hundreds of thousands of, millions of, tens of millions of, hundreds of millions of, billions of など漠然とした大きな数が一覧になっており便利です。


posted by 石崎 陽一 at 16:04 | Comment(0) | 文法・語法ノート | 更新情報をチェックする

関係副詞の非制限用法で、why や how を用いたいとき


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安井稔『英文法総覧』(初版;開拓社、1982年、p.135)が


関係副詞の非制限用法は、when と where に限られるが、why や how を用いたいときには、for which reason, in which などをもって代用させる


と指摘していてハッとしました。


posted by 石崎 陽一 at 15:57 | Comment(0) | 文法・語法ノート | 更新情報をチェックする
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